ハリポタ
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『ちょっとアンタ、待ちなさい』
「??」
あの人と初めて話したのはハリー達と一緒に移動教室へ向かっている時だった
ロンとハリーはわかりやすく嫌そうな顔をしている
それもそのはず、声をかけた人は銀とエメラルドグリーンの寮服を身にまとっていたから
いつもならハリー達と同じように嫌悪感を抱くが、そんな事は感じず息が詰まる
スッキリとした鼻筋に綺麗な銀髪に相手を射るような紫色の瞳
それから、薄い唇に強調するかのような赤いリップ
綺麗な人だと思った
「スリザリンの奴が何の用だよ」
『あら、他寮の生徒に話しかけちゃ駄目かしら?それにアタシはその子に用があるのよ』
「わ、私!?」
『アンタ以外誰がいるのよ。今日の放課後、中庭に来なさい』
「え?えぇ?」
『良いわね?逃げるんじゃないわよ』
私の返答も聞かずにその人はさっさと教室へ向かってしまった
「ハーマイオニー、君あいつに何をしたんだよ」
「な、何もしてないわよ!!」
「よりによって"女王様"に呼び出されるなんて」
私だって理由が知りたい
あの人の名前はエリン・ペンドラゴン
学校一の美貌を持ち、試験では常にトップに名前がある成績優秀者
さらに名家出身で幾つものお見合いの話が来ているらしい2つ年上のスリザリン生
まさに高嶺の花の存在なのだ
そんな人がどうして私なんかに
だって私はスリザリンと敵対するグリフィンドールで、マグル生まれだ
なのに、どうして……
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とうとう来てしまった約束の放課後
いつもなら図書館で課題をやっている時間だけど女王様との約束なら別
約束を破ったらどんな仕打ちが来るかわからないから
『あら、ちゃんと来たのね』
「せ、先輩!!」
『それじゃあ、行きましょ』
いきなり手を捕まれ、ズンズンと中庭から廊下を突き進み、さらには校舎から離れ、禁じられた森へと入っていく
でもある所まで来ると先輩は足を止めこちらを見る
『いい?ここから先はアタシの秘密の場所なの。だから誰にも言わないで』
わかった?と鋭い目つきで睨まれ私はコクコクと首を縦に振るしかなかった
茂みをかき分けると物騒だった森から辺り一面、薔薇で溢れた庭園のようになっていた
「綺麗」
そう呟くと先輩はふふっと微笑んだ
『偶然見つけたのよ。薔薇を保存するのに少し魔法を使っているけどね。ついて来なさい』
先輩の後について行くと茶色の東屋が見えた
そこにあったベンチに腰掛けた先輩は『座りなさい』と私を招く
長い足を組んでいる先輩はそれだけでも絵になる
ぽーっと見惚れていると先輩は大きなポーチを取り出した
中には沢山のリップ……
「えっと今から何を?」
『私に合わない色があって処分するのに困っていたのよ。あんたにあげるわ』
「えぇ!?そんな、急に言われても!!」
『ほらこのピンクとかあんたに似合うわよ』
私の話しなんて無視して先輩はポンポンとリップを取り出す
未使用だから安心して、なんて言ってるけどそうじゃないです!!
「せ、先輩、こんなにたくさん貰えないですよ!!」
『遠慮しないで、あんたに似合いそうなのに』
「で、でも……」
『試してみるだけでも良いの。お願い』
きっと似合うはずだから、なんて言われたら承諾するしかなかった
『好きなの選びなさい』
「じゃあこれで……」
手に取ったのは容器がブルーブラック色で薄いピンクのリップ
『·····』
「先輩?」
『ごめんなさい·····これだけでいいの?他は?』
「これが良いです」
どうしてこのリップを見つめているんだろう
「も、もしかして大事なものでした!?」
『違うわよ!処分に困っているって話したでしょ!?ほら、じっとしなさい』
頬を優しく掴まれ、細い指先で私の唇を軽く叩いて口紅を馴染ませる
『ふふ、よく似合ってるわ』
手鏡を手渡され鏡に映った自分を見る
なんだろう、このリップを塗ったら不思議と背筋が伸びる
『勉強も大事だけど、息抜きでメイクもしてみなさい。アンタ、素材は悪くないからどんな色も合うと思うわ』
「·····え?」
『その気になればいつでも言いなさい。教えてあげるわ』
ふわっと微笑んだ先輩はこの庭にある薔薇よりも美しく、とても輝いている
「ふふッ」
『なによ?』
普段、クールで勉強もクディッチもできるスリザリンの女王様と呼ばれた人がこんな優しい笑顔をするだなんて想像出来ない
『ほら、戻るわよ。夕食に遅れちゃうわ』
「そーですね!!」
グリフィンドールの友達が知ったら驚くだろうなぁ
先輩がこんなに優しい人だなんて
手の中にあるリップは夕日で反射して美しく輝いている
私はそっとそれを握りしめ、ポケットになくさないよう大切にしまった
「いつか先輩のような人になりたいです」
『あら、私みたいになりたいだなんて100年早いわ』
最後ざっつ!!!恐らくシリーズ化するかもしれないです!!