こたつとみかんの魔力に魅入られたとき。
「俺リツカの家に住みたい」
ぷかぷか浮かぶひよこと一緒に湯船に浸かったとき。
「俺、リツカの家で暮らす……」
新茶と和菓子をアルフレッドに出したとき。
「俺、リツカの家から帰りたくない」

もう。
そうやって、そう言って、とろけた笑顔で何度私の心臓を撃ち抜いたか！
……でも別に、私が居なくても良いんでしょ？
貴方が好きなのは私じゃなくて、この家。
ねえ教えてアルフレッド。その言葉の意味を。
なんて。聞けたらいいのに。
怖くて聞けない。今の関係が壊れたらどうなっちゃうんだろう。

ああ、ひとりぼっちの秋の夜。
いつもそこに居るお月様も、今日は出てきてくれない。