このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ブルーロック夢



 残り二枚のカード。体温でぬるくなったそれのどちらに手を伸ばしても彼女――里穂子の表情は変わらない。
思い返せば昔からそうだった。次で決着がつくかもしれない局面であっても楽しげに笑う里穂子からはジョーカーの位置を察することができず、誰もババ抜きでは彼女に勝てなかった。
――青志を除いては。
「じゃ、こっち……わ、やったぁ俺の勝ち! っあ、ゴメン……喜んじゃった」
青志は里穂子と真逆で、壊滅的にババ抜きが弱い。表情や目線でジョーカーの位置がバレてしまい、あっという間にアタリを持っていかれるのがお決まりのパターンだ。
けれど里穂子には勝てる。何度周りからイカサマを疑われたことか。
「もっと喜んで? 青ちゃんが勝つとね、私の心は全部青ちゃんにはお見通しなんだなーって嬉しくなるの。ねえねえもう一回しようよ!」
再戦をねだる里穂子の今日一番眩しい笑顔に、青志はただ頬に熱を宿すことしかできなかった。

3/10ページ
スキ