ブルーロック夢
自分の欲求に蓋をしがちな青ちゃんの内緒にしてることが聞けるなんて!
頑張るしかないじゃんね!?
でも私、熊倉里穂子は帰宅部で、青ちゃんはサッカー部。
無為に時間を過ごす自分が嫌だからってずーっと鍛えてた頑張り屋の青ちゃんに勝てると思う?
見込みゼロ、賭けごとにすらならないよ。
でもどうしても勝ちたい。
だったらもう、どんな手を使ってでも逃げ切ってやるんだから!
「捕まえた……!」
サッカーの試合中よりもずーっとゆっくり走る青ちゃんが、私に触れようとした瞬間。振り返って一言。
「ブラのホックが外れちゃったからちょっと待って?」とか「あのね、心の準備がしたいの……」とか。
三日三晩寝ずに考えたとっておきの理由をぶつけるの。
照れたり、ごくりと生唾を呑んで「わ、分かったぁ」と後ろを向いてくれる優しい青ちゃんに「ごめんね」と舌を出しながら静かに走り去る。
おかしいな、って青ちゃんが振り向いたときには私はもう居ない。流石のクイックネスもタイムアップには敵わないよね――あ、終わりを告げるチャイムが鳴ったよ!
「やった、私の勝ち!」
「酷いよ里穂ちゃん……」
顔を赤くして、でもあれだけ走り回ったのに息一つ切らしてない青ちゃんに詰め寄る。ルールはルールだからね!
ちょっと沈黙が流れた後に青ちゃんは喋り出した。
「母さんがさ、その……準備してて」
「なんの?」
「俺んちの客間に……ベビーベッドが置いてある……」
「べ」
ベビー。子ども……ま、孫!
「肌着? とかも買っちゃった、って言ってて」
「わたしたちけっこんしてないよ!?」
「そうなんだけど……うちの父さんも母さんも、幼稚園のころから俺たちが結婚するものだと思ってて」
「青ちゃんは? 青ちゃんは……どう思ってるの?」
「……里穂ちゃんが、俺としてくれるなら……しよ?」
あれ? 私、鬼ごっこに勝ったよね?
内緒にしてることだけじゃなくプロポーズまで伝えられたら、どう頑張っても負けじゃんか! もう! 大好き!