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ブルーロック夢



 始終落ち着かない様子で買い物をしていた男女を見送ったのは、ついさっきのこと。あまりにも挙動不審だったからまさか、と思っていたが何もなく。胸を撫で下ろし、あくびをひとつ零したとき――また、その男女がやってきた。
少女の方は意を決したような面持ちで、ずんずんと自分の元へ歩いてきた。
けれど口を開こうとした瞬間青年に手を引かれ、レジ横のイートインスペースに連れて行かれた。
やはり挙動不審だ。怪しい。聞き耳を立てる。
「なんで止めるの。だったら青ちゃんが聞いてよ、どこにあるか」少女の声。
「えっ、俺? ……嫌だぁ……里穂ちゃん、また今度にしようよぉ」青年の声。
「……青ちゃんは我慢できるかもしれないけど、わ、私は……」泣きそうな声。
「そ、それは……俺だって……」震える声。
何を探していたのか理解したと同時にいてもたってもいられず「お客様、こっちです」とふたりに手招きをした。
これで解決したと思ったが、目的の物を前に繰り広げられるふたりの会話をバイトが終わるまでの三十分間ずっと聞かされた挙句、帰宅したあと胸のムカムカにしばらく悩まされたのであった。

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