サファイアブルーの空を飛んで
けたたましく鳴る玄関のチャイム。時計を見ると午前八時過ぎ。
まだ眠れたが起床せざるを得なかった。
(……もしかして)
昨日のあの少女が尋ねて来たのではないかと思い、適当な服に着替えてから慌てて階段を駆け下りた。
応対するジョンの視線の先に彼女の姿はなく、昨日の商店のお節介焼きな店主だった。
ほっとしたような、残念なような。そんな気持ちを抱きながらまた二階へ行こうとしたが、ジョンに呼び止められた。
「アル、この場所分かるか?」
小さなカードのようなものを見せられる。
アメリカ、サウスタウン。そしてこの街の名前とこの家から遠くない場所を示す番地とーー聞いたことのない地名。
「いや、初めて見たよ」
そう言うと店主が溜息を吐き、眉間に皺を寄せた。
「昨日の閉店前に来た子がお財布を置いて帰っちゃってねぇ。呼び止めようとしたときにはもう姿が見えなくて」
割と早めにお財布に気付いたのに足の速い子なのかしらねえ、と続けて話す。
「この街の子だったらオーナーが知らないはずないだろうし、最近引っ越してきたのだろうか」
「でも、番地の近いジョンもアル君も知らないってことは……」
店主とジョン、二人して首を傾げ陰り声を上げた。
そんな中、アルフレッドの頭に昨日のことが思い起こされる。
通ったことの無い道の先にぽつんとあった、最近建てられたものには見えない家。そこに居た、見慣れない少女。そしてーーその少女に一瞬で家に飛ばされたこと。
確証はないが、本能があの子だと告げている。
「俺、その子知ってる」
その言葉に二人は顔を見合せ目を丸くさせていたが、お構い無しに財布の入っている袋を奪い取る。
「渡してくる!」
全ての力を持ってして走り出す。
後ろの方で名前を呼ぶ声が聞こえたが振り返らなかった。
雨は止んでいる。
流石に何分も全力で走ることは出来ず、店に着いた頃には汗が流れ息も上がり、歩くことで精一杯だった。
辺りを見回し昨日の道を見つけたが、昨日よりも鬱蒼と草が生い茂っている。ここは道ではないから通るな、と言わんばかりに。
けれどアルフレッドはお構い無しに歩を進めた。
「また明日って言ってたのは、こういうことだったのかな」
わざと忘れられた財布だとアルフレッドは思った。今日もまた家を尋ねるように、と。
まだ眠れたが起床せざるを得なかった。
(……もしかして)
昨日のあの少女が尋ねて来たのではないかと思い、適当な服に着替えてから慌てて階段を駆け下りた。
応対するジョンの視線の先に彼女の姿はなく、昨日の商店のお節介焼きな店主だった。
ほっとしたような、残念なような。そんな気持ちを抱きながらまた二階へ行こうとしたが、ジョンに呼び止められた。
「アル、この場所分かるか?」
小さなカードのようなものを見せられる。
アメリカ、サウスタウン。そしてこの街の名前とこの家から遠くない場所を示す番地とーー聞いたことのない地名。
「いや、初めて見たよ」
そう言うと店主が溜息を吐き、眉間に皺を寄せた。
「昨日の閉店前に来た子がお財布を置いて帰っちゃってねぇ。呼び止めようとしたときにはもう姿が見えなくて」
割と早めにお財布に気付いたのに足の速い子なのかしらねえ、と続けて話す。
「この街の子だったらオーナーが知らないはずないだろうし、最近引っ越してきたのだろうか」
「でも、番地の近いジョンもアル君も知らないってことは……」
店主とジョン、二人して首を傾げ陰り声を上げた。
そんな中、アルフレッドの頭に昨日のことが思い起こされる。
通ったことの無い道の先にぽつんとあった、最近建てられたものには見えない家。そこに居た、見慣れない少女。そしてーーその少女に一瞬で家に飛ばされたこと。
確証はないが、本能があの子だと告げている。
「俺、その子知ってる」
その言葉に二人は顔を見合せ目を丸くさせていたが、お構い無しに財布の入っている袋を奪い取る。
「渡してくる!」
全ての力を持ってして走り出す。
後ろの方で名前を呼ぶ声が聞こえたが振り返らなかった。
雨は止んでいる。
流石に何分も全力で走ることは出来ず、店に着いた頃には汗が流れ息も上がり、歩くことで精一杯だった。
辺りを見回し昨日の道を見つけたが、昨日よりも鬱蒼と草が生い茂っている。ここは道ではないから通るな、と言わんばかりに。
けれどアルフレッドはお構い無しに歩を進めた。
「また明日って言ってたのは、こういうことだったのかな」
わざと忘れられた財布だとアルフレッドは思った。今日もまた家を尋ねるように、と。