少女友情録
海が薙ぐ音がする。
蝉の音はどこか遠い。
目の前には、話したいあの子。
「「ねぇ」」
一緒に口を開いて、一緒に笑いあった。
ひとしきり笑った後、ユユは少しイタズラをするような笑顔でじっと見つめる。
「先に言って?」
ミミは困ったように笑いながら、それに応える。
「今日は、どうしたの?今度こそ、言いに来たんだよね?」
満足そうに頷いて、ユユは続ける。
「うん。今日こそは伝えるから。ちょっと聞いてくれる?」
「もちろん。ゆっくりでいいからね」
そのまま言われた通り、ゆっくり全てを話していった。
担任の先生のこと、クラスメイトのこと、嫌がらせをされていること。
そして、転校のこと。
驚いたような、腑に落ちたような、そんな身振りをしながら聞いていたミミは、やがてユユの不安を掬いとるように言い放った。
「それで言いづらそうにしてたんだ。なんでもハッキリ言うユユが珍しく言い淀んでたから、何事かと思った。
大丈夫だよ、連絡先も知ってるし、繋がっていればまた会える。それに、離れることよりも、ユユがそんな嫌がらせを受けてたことの方がショックだったな。その環境から離れられるなら、何よりだよ。
もちろん、寂しいけどね」
「…寂しいね」
2人の声は、少し震えていた。
しばらく潤んだお互いの瞳を見つめた後、ユユは恐る恐る抱きついた。
「これからも、友達だよね」
「当たり前でしょ、どこに居てもね」
抱き返したミミの体温は、染みるように暖かった。
蝉の音はどこか遠い。
目の前には、話したいあの子。
「「ねぇ」」
一緒に口を開いて、一緒に笑いあった。
ひとしきり笑った後、ユユは少しイタズラをするような笑顔でじっと見つめる。
「先に言って?」
ミミは困ったように笑いながら、それに応える。
「今日は、どうしたの?今度こそ、言いに来たんだよね?」
満足そうに頷いて、ユユは続ける。
「うん。今日こそは伝えるから。ちょっと聞いてくれる?」
「もちろん。ゆっくりでいいからね」
そのまま言われた通り、ゆっくり全てを話していった。
担任の先生のこと、クラスメイトのこと、嫌がらせをされていること。
そして、転校のこと。
驚いたような、腑に落ちたような、そんな身振りをしながら聞いていたミミは、やがてユユの不安を掬いとるように言い放った。
「それで言いづらそうにしてたんだ。なんでもハッキリ言うユユが珍しく言い淀んでたから、何事かと思った。
大丈夫だよ、連絡先も知ってるし、繋がっていればまた会える。それに、離れることよりも、ユユがそんな嫌がらせを受けてたことの方がショックだったな。その環境から離れられるなら、何よりだよ。
もちろん、寂しいけどね」
「…寂しいね」
2人の声は、少し震えていた。
しばらく潤んだお互いの瞳を見つめた後、ユユは恐る恐る抱きついた。
「これからも、友達だよね」
「当たり前でしょ、どこに居てもね」
抱き返したミミの体温は、染みるように暖かった。
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