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少女友情録

ユユは、困っていた。
何に困っているのか、その話をする為には、まずは学校の話からしなければならない。

ユユと、その幼馴染ミミの通う学校は、この海沿いに築かれた小さな町唯一の高校だった。
そんなに規模が大きく無い町とはいえ、たった1つしかないとなればそれなりの人数が通っている。
クラスは30人程が3クラスある仕組みだ。
現在高校2年生になったユユとミミは、1年生の時とは違い別々のクラスになってしまった。
ミミの通う一組は新任の男の先生が担任で、教室の雰囲気が柔らかく、流行りの話もできて楽しいのだとミミはよく話していた。
対してユユの通う三組は、大人な女性の先生で、かなりルールに厳しい。
授業中の私語やスマホの音なんかが聞こえたものなら、授業がすぐに中断されてクラスの人全員が説教を受けるレベルだった。
もちろん見つかればスマホも没収される。
ユユ自身は、普段からテストや宿題もきっちりやるタイプだったし、校則なんて守って当たり前だと思っているので対して気にしていなかったのだが、
もちろんそうじゃない生徒もいる、むしろ、この教室にはこの空気感に耐えきれない生徒の方が多かったらしく、何度怒られても違反者は絶えなかった。
そしてそういう者からすると、真面目な人ほど煩わしかったりするらしい。
担任の先生にも認められていたユユは、次第に嫌がらせを受けるようになった。
ユユはその相手に興味すらなく、無視を続けていたのだが、それが今思えば逆効果だったのかもしれない。
最初は読んでいた本を隠されたり、新品の消しゴムを勝手に使われていたり、そんなレベルだった。
けれど、教科書やノートへの落書きや破られたりまでになってくると、流石に親にも不審がられた。
そこまではユユも想定していた事だったのだが、思っていた以上に親は心配し、最終的には転校するという話にまで発展した。
ユユはそれが嫌だった。
だってミミと離れ離れになってしまうから。
この街で高校を転校するということは、この街から離れるということだから。
それでもユユの両親は、そんな嫌がらせをしてくる子と同じ学校に通わせ続けるなんてできないと訴え続け、
最後はユユが折れた。
そこで冒頭に戻る。未だにミミに転校の事を伝えられていないユユは、今もこうして頭を悩ませているという訳だった。
「明日こそ、伝えよう」
こういう時の自分の不器用さが嫌になったりしつつ、決意を固めてユユは目を閉じた。
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