女性の贖罪


ブロロロロロ…
バイクの上でも肌を撫でる風が痛いほどに冷たかった。
心の穴でも吹き抜けていきそうなこの感覚に、少しの虚しさを覚えつつ、目的の買い物が出来たことには満足感を覚える。
しかし、やはり心身ともに冷えきっては運転も辛くなってくるというもので、なにか暖かいものが欲しくなってきた。どこか停められる場所はないだろうか。
ちらちら見渡しながら走っていると、幸運にも夜の光に紛れるコンビニを見つけた。
ひとまずここに停め、そのままホットドリンクを買うことにしよう。
女性が少しの幸運に心を踊らせコンビニを目指すと、入口に中学生程の少年を見つける。
こんな時間に何をしているのだろう、このぐらいの歳の子は、家でケーキでも食べているものかと思っていたので、驚きと心配を抱く。
声をかけようかと思ったが、このまま話すのでは結局身体が冷えてしまうと思い、コンビニでカイロとホットコーヒーを買う事にして、少年を1度見送った。
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改めて買い物を終え、入り口に戻る。
やはり少年が立っていた。
今度こそと思い声をかけるが、なぜか反応がなかった。
どこか上の空といった様子にまた心配を覚えつつ、今度は肩を叩いて声をかけてみる。
「ねぇ、そこの君」
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