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少年が優しさを知るまで

ぺこりとお辞儀をして、徐々に離れていくバイクの音を聞く。
最初は気づかなかったが、女性はバイクでここまで来ていたらしい。
先程の話を思い出しながら後ろ姿を見ているとなんだかかっこよく見えて、将来自分もバイクに乗ろうかと考えながら見えなくなるまで見送った。
自分の手元には、カイロが2つと、少しの満足感が残っていた。
でもこのままここで立っていると、女性の心配の声が聞こえてくる気がして、すぐにココアの缶を捨てて、道を歩き出す。
名前も知らない通りすがりの女性に身も心も温めてもらったという不思議な出来事だったが、思い返すと不思議と嬉しい気持ちになる。
すぐ後に彼は気づいた、これが優しさだったのだと。
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