さえずり
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肩に止まる鳥のさえずりは
あまりにも心地良い
そんなにその場所が
気に入ったのならば
好きなだけ
そこにいるといい……
廊下の向こうで、黒いローブがヒラヒラと動いている。
歩くたびに揺れるそれが、まるで私を誘っているようで。
たまらず追いかけ、背中に向かって声をかけた。
「スネイプ教授!」
ローブの揺れがピタリと止まり、ゆっくりとこちらへ振り返る。
相変わらず私を見下ろす目は冷たいけれど、以前と比べて立ち止まってくれるようになった。
それがとても嬉しくて、私は満面の笑みを教授に向ける。
「我輩を呼び止めるに値する正当な理由を聞かせてもらえますかな?」
「特にありません!」
自信満々に言えば、教授はまたかと言いたげにため息をついた。
こうなることをわかっていながら、いつも止まってくれる。
好意が加速するのは、当然に思えた。
「もう二度と、理由もなしに我輩を呼び止めるのはやめることだ。今後一切だ。だが、君のことだ。これだけ言っても三歩進めば忘れるのだろう」
「安心してください。五歩まで覚えてます!」
教授の額に怒りの青筋が見えた気がして、「ではまた!」と踵を返す。
廊下の向こう側には同僚の男子生徒がいて、私を見るなりニヤリと笑った。
「またスネイプかよ。お前も飽きねぇな」
「まぁね」
「物好きな奴。そうだ、今度の日曜に空き教室でパーティーやるけど、来るか? スネイプのおもしろいネタ持ってんだろ、教えてくれよ」
「絶対盛り上がるから!」と笑う男子に、私は笑みを返しながら首を横に振った。
エピソードならたくさんある。
魔法薬を爆発させかけた時に、減点しながらアグアメンティで助けてくれたこと。
教授のローブが扉に挟まりそうになるのを防ごうと自ら挟まれに行った時、呆れながらも皮肉を交えてケガの心配をしてくれたこと。
よくよく考えたらおもしろいネタは思い浮かばない。全部、私とスネイプ教授の二人だけの思い出だ。
「遠慮しておくよ。じゃあ、またあとで!」
男子に手を振って、その場を後にした。
私を見つめる視線に、気付くこともなく。