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甘味は
甘さが全てじゃないんですよ
「伊紗さぁん、糖分が足りないんですけど~」
浴衣姿でベッドに転がりながら、漫画を読んでいたメフィストが叫ぶ。
傍らで本を読んでいた伊紗は、クスッと微笑んだ。
「メフィストさん、その漫画の主人公みたいに糖尿病になっちゃいますよ?」
「私は悪魔だから、関係ありません☆」
「でも、その体は人間じゃないんですか?」
「……」
返す言葉もなく、メフィストは諦めたように寝返りを打った。
本当に糖分が足りなくてイライラしているのか、浴衣の裾が乱れることも気にせず両足をパタパタと動かしている。
伊紗はクスクスと笑いながら、本を閉じて立ち上がった。
「じゃあ、待っててくださいね。すぐ持ってきますから」
「急いでください。お腹と背中が引っ付きそうです」
「冗談言える元気があるなら、大丈夫ですよ」
伊紗は戻って来ると、その手にはお盆。
急須と茶菓子がちょこんと乗っていた。
「お茶が入るまで待ってくださいね」
「今日は何ですか?」
「和菓子ですよ。京都から取り寄せてもらったんです」
関心を示したのか、メフィストは菓子を見つめた。
見た目が滑らかな白い兎。
ほんのりピンク色に染まった蓮の花。
中で金魚が泳いでいる透明な羊羹。
「食べてしまうのがもったいないですね」
「メフィストさんもそう思いますか? かわいいですよね!」
湯気が漂うお茶を渡しながら、伊紗は微笑む。
「たまにはこういうのもいいなぁ、と思ったんです! メフィストさんはすぐ食べちゃうから、今日は目でも楽しんでくださいね」
「心外ですねぇ。私はちゃんと視覚でも楽しませていただいてます!」
「言いつつ食べようとしないでください!」
メフィストから爪楊枝を取り上げ、それを菓子の傍らに置きなおす。
そして、ビシッとメフィストを指差した。
「いいですかメフィストさん! 和菓子は甘味であると同時に芸術作品なんですよ!!」
「はあ、そうですか」
「職人さんが一つ一つ丹精込めて作ってるんですよ!」
「そうですね」
「だから一口で食べちゃうなんてそんなこーー」
次の言葉は、メフィストに飲み込まれた。
触れただけの唇が離れると、メフィストが満足したように微笑む。
「貴女を黙らせるには、この方法が一番だ」
食べたいから食べるんです
この和菓子も
貴女のように