Fate
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「やぁ、見ず知らずの人間さん。初めましてだね」
目を覚ますと見たことも無い建物の中に自分は立っており、目前には確かに見ず知らずの人がいた。
ウルフ耳を持つ男性はサラッと突然社交的に話し掛けてきた。・・・彼は人間なのだろうか。
「ああ。私は人間じゃないよ。フードを被っていないから耳が見えるだろう?これは人間には付いていないからね。ああ、因みに私は夢魔だよ」
「夢魔・・・?」
「おや、聞いた事ないかい?夢を喰う者達の事」
「聞いた事あります。でも、それは御伽話でしょう?」
「君の世界ではそうなのかい?実在しない者として扱われている、と」
「そうなりますね」
「それは私としてはとても悲しいなぁ。
ところで見たところ君は魔力すら持たないただの人間のようだけど、どうやってこの世界に来たんだい?」
「知りません。寝ていただけなのに、気が付いたらここにいました」
「じゃあ偶然迷い込んでしまった、という事になるね。余り例を見ない上に考えられない事例だ」
「そんなこと言われても・・・。あの、どうにか帰れないんですか?」
「んー。私は君の世界で言う魔法使いでもあるから、願いを叶えてあげたい気持ちは山々だけれども、残念な事に私の知る世界の人間でない以上は魔法を使える術がない」
「・・・どうして使えないんですか?」
「さっきも言った通りさ。別の人間に魔法を使ってしまえば、君の世界に多大な悪影響を与えかねない。最悪の場合、世界が滅ぶかも」
「そ、そんなにですか?・・・じゃあいいです」
唯一の希望すらも失ってしまった私にはどうすることも出来ない。この人の言う通り所詮、一般人なのだ。
だからじっとしていよう。本当の自分が寝ているからか、今の私は眠ることができないが
目を瞑るくらいなら許されるだろう。
部屋の隅にいて時が来るのを待つしかない。
それが私に出来る唯一、だ。
「お待ちなさいお嬢さん。閉じこもるのはまだ早いよ」
行動に移す前にそれは止められる。
思わず振り返って魔法使いを見つめた。
「君は頭が冴えるようだ。だがそれ故に自分に結論を強いるのは良くない。いい機会だし、視野を広げてみようとか思ったりしないかい?」
「どういうことですか・・・?それに、」
「ああ、名前かい?これは失敬。
私はマーリン。この塔に住まう君とは別の世界の者さ。素敵なお嬢さん、お名前を聞かせてくれるかい?」
「・・・如月、詩織、です」
「詩織。素敵な名前だね。ご両親は良い趣向をお持ちのようだ。さて、では早速始めようか」
「始める?一体何を・・・?」
「決まってるじゃないか。君が驚く様な、ハッピーエンドの話さ」
マーリンと名乗る男性はニヤけるような笑顔で語り部と自ら名乗り出て、杖を片手に話し始めた。
そして彼が口にした''別の世界''という物をこれから知ることになる事を、私は知らずにーーー。
目を覚ますと見たことも無い建物の中に自分は立っており、目前には確かに見ず知らずの人がいた。
ウルフ耳を持つ男性はサラッと突然社交的に話し掛けてきた。・・・彼は人間なのだろうか。
「ああ。私は人間じゃないよ。フードを被っていないから耳が見えるだろう?これは人間には付いていないからね。ああ、因みに私は夢魔だよ」
「夢魔・・・?」
「おや、聞いた事ないかい?夢を喰う者達の事」
「聞いた事あります。でも、それは御伽話でしょう?」
「君の世界ではそうなのかい?実在しない者として扱われている、と」
「そうなりますね」
「それは私としてはとても悲しいなぁ。
ところで見たところ君は魔力すら持たないただの人間のようだけど、どうやってこの世界に来たんだい?」
「知りません。寝ていただけなのに、気が付いたらここにいました」
「じゃあ偶然迷い込んでしまった、という事になるね。余り例を見ない上に考えられない事例だ」
「そんなこと言われても・・・。あの、どうにか帰れないんですか?」
「んー。私は君の世界で言う魔法使いでもあるから、願いを叶えてあげたい気持ちは山々だけれども、残念な事に私の知る世界の人間でない以上は魔法を使える術がない」
「・・・どうして使えないんですか?」
「さっきも言った通りさ。別の人間に魔法を使ってしまえば、君の世界に多大な悪影響を与えかねない。最悪の場合、世界が滅ぶかも」
「そ、そんなにですか?・・・じゃあいいです」
唯一の希望すらも失ってしまった私にはどうすることも出来ない。この人の言う通り所詮、一般人なのだ。
だからじっとしていよう。本当の自分が寝ているからか、今の私は眠ることができないが
目を瞑るくらいなら許されるだろう。
部屋の隅にいて時が来るのを待つしかない。
それが私に出来る唯一、だ。
「お待ちなさいお嬢さん。閉じこもるのはまだ早いよ」
行動に移す前にそれは止められる。
思わず振り返って魔法使いを見つめた。
「君は頭が冴えるようだ。だがそれ故に自分に結論を強いるのは良くない。いい機会だし、視野を広げてみようとか思ったりしないかい?」
「どういうことですか・・・?それに、」
「ああ、名前かい?これは失敬。
私はマーリン。この塔に住まう君とは別の世界の者さ。素敵なお嬢さん、お名前を聞かせてくれるかい?」
「・・・如月、詩織、です」
「詩織。素敵な名前だね。ご両親は良い趣向をお持ちのようだ。さて、では早速始めようか」
「始める?一体何を・・・?」
「決まってるじゃないか。君が驚く様な、ハッピーエンドの話さ」
マーリンと名乗る男性はニヤけるような笑顔で語り部と自ら名乗り出て、杖を片手に話し始めた。
そして彼が口にした''別の世界''という物をこれから知ることになる事を、私は知らずにーーー。
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