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「やぁ、迎えに来たよ詩織」
「・・・うわぁ。行きたくねぇ・・・」
「ほら早く乗り給え。時間がなくなってしまう」
開かれている車の中へ私が乗り込むのを確認してから隣の運転席へと太宰は乗り込む。
シートベルトを閉める私に太宰は蔓延の笑みだ。
一体何故こんな事態になってしまったのかというと、其れはとある日に遡る。
ーーー
「詩織。今度私と一緒に逢引に行かないかい?」
突然何を云い出すかと思えば、とんだ発言を口にする太宰が気持ち悪すぎて世界が震撼した。
・・・いや本当にしていないが、まぁ少なくとも私は身の危険を感じて悪寒が止まらない。理由は一つ、何せ此奴と関わるとロクな事がないからである。
「は?なんで」
「・・・そんなあから様に嫌そうな顔をしないでくれ給えよ。悲しくてそこにある川へ今すぐ入水しに行きそう」
「どーぞどーぞしてきて下さいな。私としてはそれが人生最大の悦びですので」
「・・・私、一応先輩だよ?」
「悪いけど入社してから一度も先輩だと思った事ないね。それで今度は一体何が目的なの?」
「その云い草は心外にも程があると云うものだ。好いてる女性を逢引に誘って何か問題でもあるのかい?」
・・・あんたが云うから問題なんだよ、とは云わず、その代わり物凄く蔑んだ目をしてあげた。なんて優しい私。
「で、私との逢引は行ってくれるのかい?」
「その日は用事があるからパスで」
「あらら。其れは本当?」
「勿論。私は太宰先輩と違って私生活が忙しいので。って事で他を中って下さいな」
「でもこの頁には予定なんて書いてないけど」
「はぁ?先刻から何を見て云ってるの?」
「何って、君の手帳だけど」
「・・・は?」
その言葉に流石の私も頭が混乱し、太宰の手元を見る。少し淡桃がかった花柄の私の手帳があの穢らしい太宰の手に収まっていたので、勢いよく手を伸ばし其れを即座に取り返した。
いきなりの事には流石の太宰も反応出来なかったのか、拍子抜けした声を上げた。
「ありゃ」
「勝手に人の鞄を漁るな。糞太宰」
「その呼名は嫌な思い出しか無いので止めてくれ給え。それで、詩織は私と逢引してくれるのかな?」
「・・・・・・二時間だけなら」
「了解。ではその日の夜、私が迎えに行くよ」
ーーーー
そうして、迎えに来た此奴の車に乗り、今に至る。事前に行き先を知らせもしない隣の男はあの変な歌を鼻歌で歌っており、もの凄く機嫌が良い様だ。その歌声が何とも胸糞悪い。
「・・・ねぇ、何処に向かってるの?」
「んー?君との死に場所、かな」
「は!?」
「なんてね。冗談だよ。お楽しみはとっておく物だ。安心し給えとっても善い処さ。すぐ着くよ」
本当かよ此奴。
「・・・疑ってない?私の事」
「勿論。だってあの太宰治ならやりかねないし」
「お望みとあらば今からでもお勧めの場所に連れて行きたいけど、また今度の機会ね。さぁ、着いたよ」
太宰を睨み付けていた視線を車窓へ移すと、
聳え立つビルの中で一際煌びやかに回る観覧車を見つけて、思わず歓声を上げてしまった。
「わぁ・・・。凄い、綺麗」
「ふふっ、喜んで貰えたようで何よりだ。じゃあ少し降りようか」
その提案に勿論私も賛成し外へと降りると、包帯まみれの手を差し伸べられる。
何となくその手を取れば、ふわりと優しく握られる。合わさっている手元を一度視線を向けて、もう一度太宰に焦点を合わせると、太宰は私を見て軽く微笑んだ。
「・・・なんでそんなに笑ってるの」
「いや、詩織が何時もと違って可愛らしい上に何より君とこうして逢引出来たのが嬉しくてね」
「何それ。凄い嘘っぽい」
「本当だよ。君とこうして居られる日が楽しみで仕方なかったんだ」
そう云って太宰は繋いでいない方の手を私の頬へと添えると親指でそっと肌を何度もなぞる。
余りに優しい触れ方をするものだから、流石に私も段々と恥ずかしくなってきた。
顔を逸らそうにも顔を掴まれていて出来ない為、このまま羞恥に耐えるしかない。
「おや、そんなに真っ赤にして・・・。流石に詩織の中にも羞恥心と云う物はあったんだねぇ」
「・・・っるさい」
「強がりは善くない。素直にそろそろ私の事を好きになったらどうだい?」
「んな事一生あるかこの野郎!もういい帰る!」
その言葉と共に太宰を振り払って車へと戻る。私を咎める様な太宰の声が聞こえたけど、そんなの無視だ。
先刻の太宰の獣を捕らえる様なその目に、胸
が高鳴った気がしたのは、きっと気の所為だと、念仏を唱える様に復唱しながら思い込む事にした。
そう、この胸に感じる高鳴りは、きっと、きっと気の所為だと再度自分の頭に認識させた。
「・・・うわぁ。行きたくねぇ・・・」
「ほら早く乗り給え。時間がなくなってしまう」
開かれている車の中へ私が乗り込むのを確認してから隣の運転席へと太宰は乗り込む。
シートベルトを閉める私に太宰は蔓延の笑みだ。
一体何故こんな事態になってしまったのかというと、其れはとある日に遡る。
ーーー
「詩織。今度私と一緒に逢引に行かないかい?」
突然何を云い出すかと思えば、とんだ発言を口にする太宰が気持ち悪すぎて世界が震撼した。
・・・いや本当にしていないが、まぁ少なくとも私は身の危険を感じて悪寒が止まらない。理由は一つ、何せ此奴と関わるとロクな事がないからである。
「は?なんで」
「・・・そんなあから様に嫌そうな顔をしないでくれ給えよ。悲しくてそこにある川へ今すぐ入水しに行きそう」
「どーぞどーぞしてきて下さいな。私としてはそれが人生最大の悦びですので」
「・・・私、一応先輩だよ?」
「悪いけど入社してから一度も先輩だと思った事ないね。それで今度は一体何が目的なの?」
「その云い草は心外にも程があると云うものだ。好いてる女性を逢引に誘って何か問題でもあるのかい?」
・・・あんたが云うから問題なんだよ、とは云わず、その代わり物凄く蔑んだ目をしてあげた。なんて優しい私。
「で、私との逢引は行ってくれるのかい?」
「その日は用事があるからパスで」
「あらら。其れは本当?」
「勿論。私は太宰先輩と違って私生活が忙しいので。って事で他を中って下さいな」
「でもこの頁には予定なんて書いてないけど」
「はぁ?先刻から何を見て云ってるの?」
「何って、君の手帳だけど」
「・・・は?」
その言葉に流石の私も頭が混乱し、太宰の手元を見る。少し淡桃がかった花柄の私の手帳があの穢らしい太宰の手に収まっていたので、勢いよく手を伸ばし其れを即座に取り返した。
いきなりの事には流石の太宰も反応出来なかったのか、拍子抜けした声を上げた。
「ありゃ」
「勝手に人の鞄を漁るな。糞太宰」
「その呼名は嫌な思い出しか無いので止めてくれ給え。それで、詩織は私と逢引してくれるのかな?」
「・・・・・・二時間だけなら」
「了解。ではその日の夜、私が迎えに行くよ」
ーーーー
そうして、迎えに来た此奴の車に乗り、今に至る。事前に行き先を知らせもしない隣の男はあの変な歌を鼻歌で歌っており、もの凄く機嫌が良い様だ。その歌声が何とも胸糞悪い。
「・・・ねぇ、何処に向かってるの?」
「んー?君との死に場所、かな」
「は!?」
「なんてね。冗談だよ。お楽しみはとっておく物だ。安心し給えとっても善い処さ。すぐ着くよ」
本当かよ此奴。
「・・・疑ってない?私の事」
「勿論。だってあの太宰治ならやりかねないし」
「お望みとあらば今からでもお勧めの場所に連れて行きたいけど、また今度の機会ね。さぁ、着いたよ」
太宰を睨み付けていた視線を車窓へ移すと、
聳え立つビルの中で一際煌びやかに回る観覧車を見つけて、思わず歓声を上げてしまった。
「わぁ・・・。凄い、綺麗」
「ふふっ、喜んで貰えたようで何よりだ。じゃあ少し降りようか」
その提案に勿論私も賛成し外へと降りると、包帯まみれの手を差し伸べられる。
何となくその手を取れば、ふわりと優しく握られる。合わさっている手元を一度視線を向けて、もう一度太宰に焦点を合わせると、太宰は私を見て軽く微笑んだ。
「・・・なんでそんなに笑ってるの」
「いや、詩織が何時もと違って可愛らしい上に何より君とこうして逢引出来たのが嬉しくてね」
「何それ。凄い嘘っぽい」
「本当だよ。君とこうして居られる日が楽しみで仕方なかったんだ」
そう云って太宰は繋いでいない方の手を私の頬へと添えると親指でそっと肌を何度もなぞる。
余りに優しい触れ方をするものだから、流石に私も段々と恥ずかしくなってきた。
顔を逸らそうにも顔を掴まれていて出来ない為、このまま羞恥に耐えるしかない。
「おや、そんなに真っ赤にして・・・。流石に詩織の中にも羞恥心と云う物はあったんだねぇ」
「・・・っるさい」
「強がりは善くない。素直にそろそろ私の事を好きになったらどうだい?」
「んな事一生あるかこの野郎!もういい帰る!」
その言葉と共に太宰を振り払って車へと戻る。私を咎める様な太宰の声が聞こえたけど、そんなの無視だ。
先刻の太宰の獣を捕らえる様なその目に、胸
が高鳴った気がしたのは、きっと気の所為だと、念仏を唱える様に復唱しながら思い込む事にした。
そう、この胸に感じる高鳴りは、きっと、きっと気の所為だと再度自分の頭に認識させた。