ごちゃまぜ短編
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「ーー■」
「ーーー■■」
「聞こえているか、■■よ」
何処からか、悲しげな少女の声がした。
確かにその声は聞こえている。
でも、声が出ない。
「ーーー目を覚ますのだ、■■よ」
目蓋を開きたい、でも重くて動かせない。
身体から何か熱い''もの''が流れ出ていくのが自分でも分かる。でも、何があったのかよく思い出せない。
ボタボタと水滴が滴り、私の頬へと落ちる。
語り掛けてくれていた少女は私の傍らにいるようで、私の手は温かなその少女の手に包まれていた。
「何故、何故余を庇ったのだ!余はサーヴァントだ。多少の怪我を負ってもどうということはない!なのに、何故・・・」
ーーああ、そうか。私は彼女の、ネロ・クラウディウスのマスターで、戦闘でボロボロになってしまった彼女を庇ったのだ。
我ながらなんて馬鹿な事をしたのかと自覚はある。でも、それでも彼女をーーー。
「ーー奏者?」
目蓋が少しずつ開き、うっすらと視界が映し出される。目前の少女の髪は砂埃などで汚れ、彼女を象徴する赤いドレスは所々大きくも小さくも破けてしまっている。
それでも彼女の美しさは消えてはいなかった。
「目が覚めたのだな!余の声が聞こえているか?聞こえているのなら手を握り返してくれ!」
ネロの言う通りに力の入らない手をそっと握り返すと彼女は眉を下げて涙を堪える。
両手で握った私の手の上におでこを乗せて安堵する彼女に申し訳なさが込み上げる。
「・・・ネ、ロ、ごめん、ね」
「! 喋るでない!そなたが無事ならばそれでよいのだ」
「ネロは、無、事?」
「・・・うむ。こうして余は生きている。そなたのおかげだ」
「そっか、良か、った。これで、守れてなかったら私、っ!」
突然喉へ何が迫り上がり、赤いものを地上へ吐き出す。口から咳出たそれは、どうにも止められなかった。
「もう良い!喋るなと言っておろう!何かあれば後で沢山聞く。だから今は安静にするのだ」
よいな、と私を柔らかく、何かを恐れるような真剣な眼差しと口調で論する彼女に私は従えない。従う事はできない。
もう既に自分で自覚はある。
「私、一生後悔、するところ、だった」
「馬鹿もの!もう良いと言っているのが聞こえぬのか!!」
「だって、ネロにとって、死ぬ事は一番、怖い事でしょう?」
「っ!」
「だから、死ぬのが私で良かったなって、ゴホッ」
「何を言うのだ。余は、余は、そなたに置いて行かれる事の方が一番辛い・・・。だから、余を、置いて逝くな・・・」
また赤いものを吐き出してしまった私を見てネロの顔が苦痛に歪み、彼女の目に再び涙が溢れそうになる。
ああ、そっか。彼女はローマ国民に死にかけで置いて行かれて、一人淋しい思いを味わいながらも結局は亡くなってしまったのだった。
そんな思いをまたさせてしまうなんて、彼女のマスター失格だ。
「そうだよね、ごめんね、ネロ」
謝る事しか出来ない私を、どうか許してほしい。最期に貴女を泣かせる事しか出来なかった、憐れで馬鹿なマスターを。その存在を忘れて欲しくない。
でもそんな酷な願いすらも口に出来る訳もなく消えるのだから、なんと惨いことだろう。
「少しの間、だったけど、ありがとう、貴女はは私のーーーー」
''最初で最後の最高のサーヴァントだよ''
死ぬ前にそう言いたかったのに口だけ動いて声を発せなかった。それが、死に際で1番悔しい。
再び重くなる目蓋を開きたい気持ちは大きかったけど、力の抜けた体がそれを阻んだ。
それに伴って意識も消え失せ、保つことが出来ない。
ネロの悲痛な程の叫び声が耳に届いたけど、
それも段々と遠くなる。
最期に、太陽に照らされて愛らしく微笑む顔が見たかった。
もっと、生きて彼女と一緒にいたかった。
でも、それはもう叶うことは無い。
暗闇の中から沢山の星々がキラキラと輝いているのが見えた。
それは私が最期に見たとても美しい景色だった。
「ーーー■■」
「聞こえているか、■■よ」
何処からか、悲しげな少女の声がした。
確かにその声は聞こえている。
でも、声が出ない。
「ーーー目を覚ますのだ、■■よ」
目蓋を開きたい、でも重くて動かせない。
身体から何か熱い''もの''が流れ出ていくのが自分でも分かる。でも、何があったのかよく思い出せない。
ボタボタと水滴が滴り、私の頬へと落ちる。
語り掛けてくれていた少女は私の傍らにいるようで、私の手は温かなその少女の手に包まれていた。
「何故、何故余を庇ったのだ!余はサーヴァントだ。多少の怪我を負ってもどうということはない!なのに、何故・・・」
ーーああ、そうか。私は彼女の、ネロ・クラウディウスのマスターで、戦闘でボロボロになってしまった彼女を庇ったのだ。
我ながらなんて馬鹿な事をしたのかと自覚はある。でも、それでも彼女をーーー。
「ーー奏者?」
目蓋が少しずつ開き、うっすらと視界が映し出される。目前の少女の髪は砂埃などで汚れ、彼女を象徴する赤いドレスは所々大きくも小さくも破けてしまっている。
それでも彼女の美しさは消えてはいなかった。
「目が覚めたのだな!余の声が聞こえているか?聞こえているのなら手を握り返してくれ!」
ネロの言う通りに力の入らない手をそっと握り返すと彼女は眉を下げて涙を堪える。
両手で握った私の手の上におでこを乗せて安堵する彼女に申し訳なさが込み上げる。
「・・・ネ、ロ、ごめん、ね」
「! 喋るでない!そなたが無事ならばそれでよいのだ」
「ネロは、無、事?」
「・・・うむ。こうして余は生きている。そなたのおかげだ」
「そっか、良か、った。これで、守れてなかったら私、っ!」
突然喉へ何が迫り上がり、赤いものを地上へ吐き出す。口から咳出たそれは、どうにも止められなかった。
「もう良い!喋るなと言っておろう!何かあれば後で沢山聞く。だから今は安静にするのだ」
よいな、と私を柔らかく、何かを恐れるような真剣な眼差しと口調で論する彼女に私は従えない。従う事はできない。
もう既に自分で自覚はある。
「私、一生後悔、するところ、だった」
「馬鹿もの!もう良いと言っているのが聞こえぬのか!!」
「だって、ネロにとって、死ぬ事は一番、怖い事でしょう?」
「っ!」
「だから、死ぬのが私で良かったなって、ゴホッ」
「何を言うのだ。余は、余は、そなたに置いて行かれる事の方が一番辛い・・・。だから、余を、置いて逝くな・・・」
また赤いものを吐き出してしまった私を見てネロの顔が苦痛に歪み、彼女の目に再び涙が溢れそうになる。
ああ、そっか。彼女はローマ国民に死にかけで置いて行かれて、一人淋しい思いを味わいながらも結局は亡くなってしまったのだった。
そんな思いをまたさせてしまうなんて、彼女のマスター失格だ。
「そうだよね、ごめんね、ネロ」
謝る事しか出来ない私を、どうか許してほしい。最期に貴女を泣かせる事しか出来なかった、憐れで馬鹿なマスターを。その存在を忘れて欲しくない。
でもそんな酷な願いすらも口に出来る訳もなく消えるのだから、なんと惨いことだろう。
「少しの間、だったけど、ありがとう、貴女はは私のーーーー」
''最初で最後の最高のサーヴァントだよ''
死ぬ前にそう言いたかったのに口だけ動いて声を発せなかった。それが、死に際で1番悔しい。
再び重くなる目蓋を開きたい気持ちは大きかったけど、力の抜けた体がそれを阻んだ。
それに伴って意識も消え失せ、保つことが出来ない。
ネロの悲痛な程の叫び声が耳に届いたけど、
それも段々と遠くなる。
最期に、太陽に照らされて愛らしく微笑む顔が見たかった。
もっと、生きて彼女と一緒にいたかった。
でも、それはもう叶うことは無い。
暗闇の中から沢山の星々がキラキラと輝いているのが見えた。
それは私が最期に見たとても美しい景色だった。
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