ごちゃまぜ短編
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「俺と一緒になってくれ」
今のは幻聴だろうか。
突然の求婚発言に驚きを隠せず、口が開きっぱなしになる。
聞こえていないと思ったのか、目の前にいる少年はもう一度口を開いた。
「あんたに惚れたんだ。俺と一緒になってくれ」
ああ、開いた口が塞がらないとはこういう事なのだろうか。初めて体験した気がする。
驚きで固まって動かない私を少し心配したのか、屈んで顔を覗き込んで来た。
「おーい大丈夫か?聞こえてるか?」
「は、はい、きこえています」
「じゃ返事、聞かせてくれよ」
闇夜に光りそうな赤眼を細め、口角を上げながら彼は私へと問う。
期待させるような事を言ってはいけないと断りを入れようとした時、後ろから父の声が聞こえた。
「詩織!そいつから離れろっ!」
「え・・・? でも、」
「いいから此方へ来なさいっ!」
力強く腕を引かれて赤眼の少年と離される。
どうして父がこんなに慌てているのか、理解出来なかった。
「よォ。あんたが''詩織''のオトウサマか?」
「っ!だったらなんだ!」
「詩織に惚れた。結婚させてくれ」
「巫山戯るのも大概にしろ」
「ふざけてなんかねぇよ。俺は本気だぜ?」
「貴様、いい加減にーーっ」
言い合いがヒートアップする前に父の袖口を引っ張って止める。優しい父は膝を付いて私と目線を合わせた。
「どうした、詩織?」
「お父様。どうしてこの方をそうも毛嫌いなさるのですか?」
「それはーーー」
「私、この方に危害なんて加えられていませんよ。寧ろ見知らぬ私を心配して下さった、とてもお優しい方です」
「だそうだぜ。オトウサマ?」
「黙れ。兎に角、お前に詩織はやらない。どうしても娶りたいのであれば、影の国へ行き修行を積んでこい。無事に帰ってきたら許してやる」
父の発言に驚愕した。
''影の国''は1度行けば帰って来れないとまで言わしめられている場所だ。
父は何を考えているというのだ。
見知らぬ少年に何もそこまでの仕打ちをしなくても良いのではないか。
「お父様っ、何を仰るのです!何もそこまで・・・」
「ーーーいいぜ。修行して帰って来ればいいんだろ? 約束だぜ、オトウサマ」
二人とも私の意見を取り持つ気さえ感じられず、そのまま話がどんどん進んでいく。
過保護な父だと分かってはいたけど、よもやここまでとは思いもしなかった。
影の国へ行かされるなんて、ほぼ死ぬ事と同意だ。この少年になんと詫びの言葉を述べれば良いか、分からなかった。
「詩織、俺は強くなる。で、お前の事を迎えに行く」
そう決意を持った眼でその意志を伝えてくる彼に父の手前何か言葉を返す事が出来ず、一言だけと私は小さく口を開いた。
「ご武運を、お祈り致します・・・」
「おう!」
私の台詞に輝くような笑みを浮かべて足を翻す。ああ、一つ、とても大事な事を聞き忘れていた。
「あのクランの番犬さん!」
「ん?」
「貴方のお名前をお伺いしても・・・?」
「ああ、俺は''セタンタ''だ」
「・・・セタンタ、様」
私に再び別れを告げて足を翻す。その足取りは何処か近所に赴くような軽々とした物に感じた。
今のは幻聴だろうか。
突然の求婚発言に驚きを隠せず、口が開きっぱなしになる。
聞こえていないと思ったのか、目の前にいる少年はもう一度口を開いた。
「あんたに惚れたんだ。俺と一緒になってくれ」
ああ、開いた口が塞がらないとはこういう事なのだろうか。初めて体験した気がする。
驚きで固まって動かない私を少し心配したのか、屈んで顔を覗き込んで来た。
「おーい大丈夫か?聞こえてるか?」
「は、はい、きこえています」
「じゃ返事、聞かせてくれよ」
闇夜に光りそうな赤眼を細め、口角を上げながら彼は私へと問う。
期待させるような事を言ってはいけないと断りを入れようとした時、後ろから父の声が聞こえた。
「詩織!そいつから離れろっ!」
「え・・・? でも、」
「いいから此方へ来なさいっ!」
力強く腕を引かれて赤眼の少年と離される。
どうして父がこんなに慌てているのか、理解出来なかった。
「よォ。あんたが''詩織''のオトウサマか?」
「っ!だったらなんだ!」
「詩織に惚れた。結婚させてくれ」
「巫山戯るのも大概にしろ」
「ふざけてなんかねぇよ。俺は本気だぜ?」
「貴様、いい加減にーーっ」
言い合いがヒートアップする前に父の袖口を引っ張って止める。優しい父は膝を付いて私と目線を合わせた。
「どうした、詩織?」
「お父様。どうしてこの方をそうも毛嫌いなさるのですか?」
「それはーーー」
「私、この方に危害なんて加えられていませんよ。寧ろ見知らぬ私を心配して下さった、とてもお優しい方です」
「だそうだぜ。オトウサマ?」
「黙れ。兎に角、お前に詩織はやらない。どうしても娶りたいのであれば、影の国へ行き修行を積んでこい。無事に帰ってきたら許してやる」
父の発言に驚愕した。
''影の国''は1度行けば帰って来れないとまで言わしめられている場所だ。
父は何を考えているというのだ。
見知らぬ少年に何もそこまでの仕打ちをしなくても良いのではないか。
「お父様っ、何を仰るのです!何もそこまで・・・」
「ーーーいいぜ。修行して帰って来ればいいんだろ? 約束だぜ、オトウサマ」
二人とも私の意見を取り持つ気さえ感じられず、そのまま話がどんどん進んでいく。
過保護な父だと分かってはいたけど、よもやここまでとは思いもしなかった。
影の国へ行かされるなんて、ほぼ死ぬ事と同意だ。この少年になんと詫びの言葉を述べれば良いか、分からなかった。
「詩織、俺は強くなる。で、お前の事を迎えに行く」
そう決意を持った眼でその意志を伝えてくる彼に父の手前何か言葉を返す事が出来ず、一言だけと私は小さく口を開いた。
「ご武運を、お祈り致します・・・」
「おう!」
私の台詞に輝くような笑みを浮かべて足を翻す。ああ、一つ、とても大事な事を聞き忘れていた。
「あのクランの番犬さん!」
「ん?」
「貴方のお名前をお伺いしても・・・?」
「ああ、俺は''セタンタ''だ」
「・・・セタンタ、様」
私に再び別れを告げて足を翻す。その足取りは何処か近所に赴くような軽々とした物に感じた。