貴方とのさよならを
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ーーーーあの太宰治が来た。
それだけで響めきだす部下を前に女は冷静だった。
戸惑いを見せた部下達を先に向かわせ、あれだけいた人影は一切無くなり太宰と女の二人だけになった。
「あら、此処に来るのは珍しいわね。如何かしたの?」
「否、別に何も無いさ。部下を連れてるって事は
これから任務かい?」
「・・・ええ。そうなの。今から向かう処だったわ」
「へぇ。今日は何の任務だい?」
「そうね。今回は殺しの私怨よ。
本当は尤迅く殺したかったんだけどね。
私の部下の力量不足でそうもいかなかったの。
ーーでもやっと、やっと私の願いが叶うわ。」
「君をそんなにも狩り立たせるなんてーーー。一体どんな女性なのだろうね」
「ふふふっ。知りたいなら教えてあげるわ!
治の元恋人だったあの女よ!」
女は狂気を持った目で嬉しそうに手を広げながら、少し興奮気味に話を続けた。
「私ね、あいつの事がずっと嫌いだったの!
貴方に助けて貰ったあの日から、私はただひたすらに上を向いて歩んできたわ。
今の私にはあんな下を見てばかりの奴の何処が良かったか正直判らない位よ。
ーーでもそんな苛つきも無くなるわ。
だってこうして貴方が、治が私の傍にいてくれるもの」
女は少し離れた場所にいる太宰に寄り添う様に近付き甘える様な仕草で寄り掛かる。
然し、そんな女の行動に目もくれることもなく、女を振り切る様に歩く。二人の距離は再び遠くなった。
太宰の表情は下を向いており尚且つ髪で隠れていて見る事は出来ない。
「標的は詩織だったんだ。其の願いが叶うと良いね。実は私もね、今から任務なんだ」
「今から?どんな任務なの?」
「ーーーーそうだね。きっと直ぐに判るよ」
「・・・え?」
その瞬間、二人しかいなかったはずの静かな空間で大きく耳を割く様な音が聞こえた。
其れは聞き慣れた筈の一発の銃声の音だった