貴方とのさよならを
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治さんが今度はこれでもかというくらい目を大きく見開くと、ゆっくり私の方へ近付く。
歩く度に聞こえる靴の音が何時もよりやけに大きく聞こえた。
手を懐に入れる。ああ私、拳銃で殺されるのだろうか。少しだけ怖くなって目を瞑る。
けれど思っていた痛みなんてこなくて、代わりに髪に何かが付けられる様な感触がした。
思わず目を開けて触ってみると、花の形をした髪飾りのようなが私の耳に刺さっていた。
「今日良いものを見つけてね。君にあげる」
「これは・・・?」
「模造品の白いカーネーションの花らしいよ。
矢張り私の見立て通り、君に良く似合ってる」
そう云って治さんは優しくまるで愛しい物を見る様な目で笑う。
・・・・・・何で。本当に何でなの?
この間からそうだ。私を嫌っているのか、
好いているのか分からない行動ばかりとる。
何を考えているのか、真意が私には理解出来ない。
目に涙が溜まる。零れそうになるのを必死に堪えた。
「・・・・・・じゃあ私とは別れてはくれないって事?」
「そうだねぇ。その件に関しては私もそろそろ潮時だと思っていたよ。じゃあ別れようか」
「・・・・・そう、今まで有難う。後この髪飾り・・・」
「其れは君にあげると云っただろう。要らないなら捨ててしまっても構わないよ」
「・・・・・・分かったわ」
そして治さんは私の顔を覗き込むように屈んで触れるだけの接吻をした。静かな空間で唇が音を立てて離れる。
これが治さんとの最後の接吻だ。
「じゃあね。詩織」
「ええ。さようなら治さん」
次はちゃんとあの女と倖せになって下さいね。
彼が部屋から消える。その後ろ姿を目に焼き付けた。
これでもう思い残す事なんて、そう思う筈なのに
何故だか私の目からは涙が溢れて止まらなかった。
歩く度に聞こえる靴の音が何時もよりやけに大きく聞こえた。
手を懐に入れる。ああ私、拳銃で殺されるのだろうか。少しだけ怖くなって目を瞑る。
けれど思っていた痛みなんてこなくて、代わりに髪に何かが付けられる様な感触がした。
思わず目を開けて触ってみると、花の形をした髪飾りのようなが私の耳に刺さっていた。
「今日良いものを見つけてね。君にあげる」
「これは・・・?」
「模造品の白いカーネーションの花らしいよ。
矢張り私の見立て通り、君に良く似合ってる」
そう云って治さんは優しくまるで愛しい物を見る様な目で笑う。
・・・・・・何で。本当に何でなの?
この間からそうだ。私を嫌っているのか、
好いているのか分からない行動ばかりとる。
何を考えているのか、真意が私には理解出来ない。
目に涙が溜まる。零れそうになるのを必死に堪えた。
「・・・・・・じゃあ私とは別れてはくれないって事?」
「そうだねぇ。その件に関しては私もそろそろ潮時だと思っていたよ。じゃあ別れようか」
「・・・・・そう、今まで有難う。後この髪飾り・・・」
「其れは君にあげると云っただろう。要らないなら捨ててしまっても構わないよ」
「・・・・・・分かったわ」
そして治さんは私の顔を覗き込むように屈んで触れるだけの接吻をした。静かな空間で唇が音を立てて離れる。
これが治さんとの最後の接吻だ。
「じゃあね。詩織」
「ええ。さようなら治さん」
次はちゃんとあの女と倖せになって下さいね。
彼が部屋から消える。その後ろ姿を目に焼き付けた。
これでもう思い残す事なんて、そう思う筈なのに
何故だか私の目からは涙が溢れて止まらなかった。