敦くんの食事が終わった後は原作通りになった｡




敦くんは孤児院を追い出され、斃死しそうだったこと。
虎に狙われて殺されかけていること｡そして極め付けには･････







「あの鴨居頑丈そうだね。例えるなら人間1人の体重に耐えられそうな位

あ、でもそれだと詩織と心中出来ないね｡もっと違う方法を探そうか？」


「治くん｡私は一緒に心中しないよ」



「えー｡この間は一緒にしようね♡って云ってくれたじゃないか」



「それは今度一緒に買い物に行こうねって話だったでしょ！

私心中なんて一言も言ってないよ！」



「でも心中はしてくれるんでしょ？何が良いかなぁ｡拳銃は痛いし、首吊りも嫌なら････････
入水なんてどう？」



「だからしないってば！」



「えー｡どうしてさー」









治くんはまた頬を膨らませている。それ可愛いんだよね！

もしかして私がその顔に弱い事を知っててやってるのかな？







「おい太宰！立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするな！後、詩織との自殺の算段もやめろ」





「違うよ｡首吊り健康方だよ｡知らない？」




「何！？そんな健康法があるのか！？」









ああ、国木田さん治くんにまた騙されてる････｡






とまぁ治くんが私を心中に誘って来たりしましたが、

今は敦くんに虎に狙われている事情を確認しています。








「敦くん｡虎に狙われたのはいつの話なの？」



「院を出たのが2週間前｡川であいつを見たのが4日前」



「確かに虎の被害は2週間前からこっちに集中している。それに4日前に鶴見川で虎の目撃証言もある。」






治くんが考え込んでいるが直ぐに顔付きが変わった｡もう分かったのだろう。






「敦君これから暇？虎探し手伝ってくれないかな？」



最初は拒否していた敦くんだったけど報酬で目の色が変わった。


お金で目の色が変わってる敦くんを身近で見たけど反応が可愛過ぎて私は悶えるので必死だった。







「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に」


「おい三人で捕まえる気か？」


「いいから」





目的を持った皆はそれぞれ立ち上がった。







「ほら、詩織も行くよ」



「うん！」





差し伸べてくれたその手を私は取る｡





握ってくれる治くんの手はいつも冷たいから、私が握り返して温めてあげる｡






治くんは喜びながら嬉しそうに握ってくれるから、私もつい嬉しくなるの｡