今日も今日とて平和な探偵社だったが、小事件が発生した。






｢何？太宰が行方不明ぃ？｣

｢そうなんです。電話も繋がらないし、下宿にも帰ってないみたいで･･････｣

｢どうせ川だろ｣

｢土中では？｣

｢拘置所でしょ｣






その時賢治の脳内にはある人物が閃いた。





｢あ！そしたら詩織さんに聞けば太宰さんの場所が分かるんじゃないですかー？｣

｢確かにそうですね！でも詩織さんの姿が見当たらないような･･･｣


｢今、詩織さんはいないよ｣




突然、扉から出てきた青年は云う。
その姿を見て敦は目を輝かせて嬉しげに笑む。





｢谷崎さん無事でしたか！｣

｢おい。詩織は何処に行ったのだ｣

｢さぁ？''用事があるから少し出掛けてくる''とだけ｣

｢谷崎･･･。何故太宰の場所を聞いておかなかったのだ｣

｢そうですよー。そしたら楽だったのに｣






国木田と賢治は溜息をつく。それにげんなりと肩を落としたのは谷崎だ。




｢国木田さん･･･それに賢治くんまで･･･｣





その会話を不思議に思い、敦は皆へと問う。







｢あのぅ･･･どうして楽なんですか？｣

｢太宰はな、毎回詩織には行先を告げているのだ。しかも御丁寧にな｣

｢そ、それって川に行ってくるとかそう云う事を態々伝えてるってことですか？｣

｢ああ。詩織もそれをあしらったりせずに見送りまでする始末だ。太宰が調子に乗るから
余り甘やかすなと云ってはいるのだがな｣

｢でも送り迎えされる時の太宰さん、本当に嬉しそうですよね。｣

｢へぇー。ちょっと見てみたいです｣

｢その内見れるさ、きっと。太宰さんに関してはボクが調べておくよ。詩織さんは･･･｣

｢詩織なら心配要らないさ。太宰と同じ場所に向かってるからね｣

｢え？そうなンですか？｣

｢僕の推理は誤魔化せないよ｣

｢乱歩さんの云う通りなら大丈夫だろう｣








そう云い納得する国木田にある意味驚く敦がいた。





そして一方その頃、乱歩の云う通り詩織はとある場所へ向かっていたのだった。