樋口が銃を乱射する。弾が無くなるほど撃ち込んだ場所には煙が立つ。
これで全員仕留めた。それを確認する為に煙が止むのを待つと、立っているのは血濡れの女1人だった。








｢詩織さ･･･ん？｣

｢詩織お姉様･･･｣

｢あ、あ、｣








少し驚いた樋口だが、それは直ぐ冷静に変わる。



｢成程。貴方の氷の異能で三人の前に壁を作り、尚且つ自分の急所も氷で防御していたと。
ですが、弾の全ては防ぎきれなかった様ですね｣





女はニヤりと薄笑いを浮かべるも、膝を屈した。それと同時に三人の空間を隔てていた壁が反射で光ながら無情にもぼろぼろと崩れ落ちた。


樋口は弾丸を入れ替えてもう一度、今度は女を対象に銃を構える。指を添え撃つ瀬戸際だった。






｢詩織お姉様！｣

｢ナオミちゃん！こっちに来ちゃ駄目！｣







樋口は直ぐに狙う対象を変えそのまま銃を放った。放たれた弾丸はナオミの身体に直撃した。

ナオミの身体からは血しぶきか飛び、そのまま倒れる。谷崎は急いで倒れかけるその身体を支えた。







｢ナオミ！！！ナオミ！ナオミ！しっかり！目ェ開けて！ナオミ！

どどど、どうしよう･･･止血帯、敦くん！止血帯持ッて無い？いや違う･･･い医務室まで運ばないと！敦くん足持ッてーーー｣








そんな谷崎の様子に顔色一つ変えることもなく、容赦なく谷崎へと銃を構える。








｢そこまでです。貴方が戦闘要員でないことは調査済みです。健気な妹君と同僚の後を追っていただきましょうか｣




｢･･･あ？チンピラ如きがーーナオミを傷つけたね？｣








異能力『細雪ーー』






｢敦くん 詩織さんを連れて奥に避難するんだ。こいつはーーーボクが殺す｣







樋口は見える谷崎に銃を乱射するがそれは中らない。もう谷崎はそこにはいない。







｢姿は見えずとも弾は中る筈っ！｣

｢大外れ｣






谷崎は背後に樋口の背後に周り頸を掴み力を込める。






｢死んで終えーーー！｣


｢谷崎くん！そこから離れてぇええ！｣









詩織が何かに勘づき、急いで大声を挙げる。だが、女が声を掛けても時は既に遅し、咳払いが聞こえたと同時に谷崎は倒れた。









その青年は敦が手配書の写真で見た顔と同じ顔をしていた。


｢僕は芥川･･･。そこの娘と同じくポートマフィアの狗である。｣