「わぁ〜今日もとっても素敵な日だなぁ〜」

朝起きて、彼女はいつもそんな事を言う。
全く、可愛いものだと思ってしまいながらも、私も起き上がった。そして、そんな笑私に気付いた彼女は朝の挨拶、おはようと柔らかな声で言ったきた。私はそれに対し、まだどこか眠たさのある声でおはよう、と返した。

彼女と知り合ったのはもう3年ほど前の事だった。知り合いの友人として飲み会で紹介され、そこから色々ありつつもこのように恋仲という仲までなり、いまでは共に時間を、毎日暮らしている。

そんな彼女は必ず、朝日を浴びる。
起き上がり、そしてカーテンを開けてまだ素敵な事は起こっていないのにも関わらず、素敵な日だと断言してその日を始めるのだ。私は、彼女のようにそんなことはしないが、でも起き上がって、私も一緒に朝日を浴びるようにはなった。

「名前、今日は何か予定でもあるのかい」

「今日、？うーん、特にはないかなぁ！惣右介さんは？」

「私も。今日は久し振りにゆっくりと過ごそう。掃除は明日にでも一緒にしようか」

「ええ、いいよ、ちゃちゃちゃ〜！て終わらせて、一緒にご飯でも食べにいこ！」

全く君は、その掃除をするのに私も含めているのかな。折角の土曜日だ、お互い昨日の仕事の疲れを感じているだろう。日曜にして、そして今日はゆっくり過ごそう。もう一度、彼女にそう言うと、分かってくれたようで、今日1日をどう過ごすか、とまた改めて考えてくれるようだ。
そんなとき、彼女のお腹の音が聞こえてきた。
ご飯の時間だ、笑わずに私もお腹が減ったということを、彼女に合わせるためではなく、実際にそう感じたので一緒にリビングに向かった。

「....海いいなぁ」

ご飯を食べ終え、お互いにソファに座って本を読んだりして今日一日をどう過ごすか、という事を話ていたら彼女が窓の外を見つつ、海に行きたいと言ってきた。

「いいね、それじゃ今日は海辺で君のランチでも食べたいな」

「え、私の作るご飯でいいの？」

なんて事を言うのだ、全く。
私は君の作るご飯、とても大好きなんだよ。
そう言うと、彼女もまた私の作るご飯を好きだと言ってくれた。海に行くと決まったら、彼女は勢いよく立ち上がり、台所に立ってランチの内容をまずは決めるのか、うーんうーんと、悩んでいたが、ひらめきを感じたのかすぐに冷蔵庫から食材を取り出して、それを作り始めた。

「手伝だおう」

「いいよ、惣右介さんはゆっくりしてね」

ああ、彼女はいま集中しているんだな。全くこっちを見向きもせずにそういう時は集中している時だということを、この3年間で学んだ。じゃあ、お言葉に甘えて私はゆったりとしていよう。


「わぁぁ〜〜綺麗なところ〜〜」

お昼、少し遅く家を出て10分でつく、海に到着した。人混みもなく、歩く人もいまは少ない。僕達は近くにあるベンチに座って風と共に流れてくる磯の香りを感じながら少々お互いに海を眺める。
たまに、1人の時もこのようにしてこの海で時間を過ごしてはいたが、まさか彼女を作ってここに一緒に来るとは、3年ほど前は考えていなかった。

「写真撮ろ〜」

「おや、私が海をバックにして撮ってあげるよ。貸しなさい」

「え、じゃあ...えへへ、お願いしま〜す」

そう言い、立ち上がった彼女はこちらにピースを向けて、私は写真を撮った。すぐにその携帯を彼女に渡さず、LINEを開いて私のほうにこの写真を送信した。彼女に携帯を渡し、私達はランチを楽しんだ。

「楽しかったねぇ〜」

「そうだね、また来ようか」

「今度は皆で来たいね！」

私は君とだけでも良いけど、でも世の中には広がりがあったらいいだろう。そうだね、と返した。
広がり、というのはとても大切だ。この広い場所に1箇所のみに留まっておくのは勿体ない。こうやって、外に出て、風を感じて行くことはとても大切な事だ。そう気付いたのは割と最近ではあるが、私はこれからも彼女と共に毎日を過ごし、そしてまた広めていきたい。