そうして彼女は夢を捨てた
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活動停止の文字を目にしたとき、ついにきたか、とだけ思った。本当は一晩中泣いた。
*****
音楽ユニット「こども用」は正直言って人気がなかった。ボーカロイドと人間の掛け合いが朗読のように続く音楽。人によっては耳障りだと言われてしまうようなギターの音。一度聞いたら頭から離れないそんな音が私には心地よかった。
再生回数が伸びないことに対してただのファンである私が勝手にキレていたことがあった。新曲がでる度コメントを残し、長文の感想を書くためだけにブログを始め、CDを出すと発表されたときは半泣きで友達に電話した。
彼らの曲に対する感想が毎日飽きもせずに投稿される私のSNSを見て、友達は呆れていた。
「その人の曲そんなに好きなの?」
「うん!」
即答。何の迷いもなく言い切った私を見て友達が吹き出す。あんたの青春そればっかになっちゃうね、と茶化すように言われても納得しかなかった。いっそ人生の全部が彼らの音楽で埋まっても構わないと思えた。
学生の身ではそうそう遠くに行けないけれど、何度か彼らの路上ライブも見に行った。電車とバスを乗り継いでやってきた広場。そこに彼らは、彼女はいた。同い年くらいの女の子がボロボロのギターを抱えて立っていた。通りすがりの人は怪訝な目で彼女を見た。そんな不躾な視線をものともせず、明るい顔を崩すこともない。近付いてきた私に気付くと、彼女ははじけるような笑顔を見せた。
「ねぇ、きみってあたしのライブ見に来てくれた子?」
「っはい……! あ、あの、こども用の、フジタさんの曲好きです!」
いざ目の前にすると彼女の瞳の輝きに見惚れてしまう。挙動不審になりながらなんとか伝えた好意を、彼女は確かに受け止めてくれた。もしかして感想ブログもやってる? 名乗りもしてないのにバレたそれを肯定すれば、にぱっと笑われる。照れくさそうに頬をかく姿は親近感すらわくものだった。
「いやー嬉しいな! 今日は楽しんでいってね!」
決めていた時間になると、彼女は側に置いていたスピーカーの電源を入れた。彼女の指がギターの上を駆け回る。スピーカーから流れ出すボーカロイドの声に合わせて彼女の凛とした歌声が響く。それなのに誰も立ち止まらない。ちらりと横目に見て早々に立ち去ってしまう。
なんで。彼女の歌を聞いて! 彼らの歌を無視しないで! 私の好きな人達が無いものとして扱われることが許せない。けれど私にできることなんて無い。彼女達の歌声を頭に焼き付けながら、ただその状況に耐えるしかなかった。
演奏が終わっても拍手の音は私のものだけだった。彼女の朗らかな声は私だけにかけられた。
「最後まで聞いてくれてありがとね! てかどこから来たの? ずいぶん大荷物だけど」
「電車とバス乗り継いでそこそこあるとこです……今日はこの辺に宿とってるんで泊まっていきます」
「えっ、このライブのためだけに!?」
ライブのためだけ、とは親にも言われた。大きな会場でやるようなバンドならまだしも、個人でやってるやつでしょう。わざわざ行く必要なんて無いよ。玄関を出るときにも言われたそれを私は気にしなかった。個人だからこそ応援しなければいけないのだ。ここに応援しているファンがいます、あなたの音楽が好きな人間がいます、と分かってもらいたかった。
彼女は驚いて、そこまでして聞きにきてくれたんだね、と感慨深そうに呟いた。私は頷く。
「毎回見に来るのはお金の関係で無理なんですけど、これからもネット上で応援してるので!」
「……ありがとね」
ふにゃりと笑う彼女。その笑顔のためなら私はどこまでも追いかけていけると思った。
もっと評価されてほしい、でも離れていくのは寂しい。矛盾する思いを抱えつつ、これまでもこれからも応援し続けようと思っていた。
それらはもう全て過去のことになってしまったけれど。
*****
べしょべしょになったハンカチを洗濯かごに放り込む。鏡に写る私の目元は予想通り腫れぼったくなっていた。いつか終わりが来るのは分かっていたことだ。頭では理解しているけど感情が追い付かない。心の一等席に置いていたものがぽっかりと無くなってしまったことが恐ろしい。別に引退したからといって作品が全て消される訳でもないのに、二度と新しい曲が、これからが無いのだと思うとじわじわと喪失感が忍び寄ってくる。今CDを見たらまた涙腺が緩みそうで、CDラックから目をそらした。
やっぱり続けます、と書き変えられるのを期待してパソコンを開くと、ブログにコメントがきていた。昨日断末魔のような投稿をしたきりSNS上から消えた私を心配してくれた友達かもしれない。どんな慰めをくれたのかと思い見てみれば、そのコメントは匿名の人からのものだった。たった一言。
『ごめんね』
誰が、何に対して謝っているのか。一瞬で理解してしまった。理解なんてしたくなかった。希望すら持たせてもらえない。彼女は完全に「こども用」を終える気なのだと分かった。
たった四文字を何度も何度も読み返し、そっとパソコンを閉じた。そのままベッドに倒れこむ。こみ上げてくる涙をシャツの袖で拭い、静かに嗚咽をもらす。
今日、私の青春が終わった。
*****
「終わったもんはしゃーない! 新しい人見つけよ!」
明らかに泣いていましたという顔で登校してきた私に、きっぱりと友達が言った。
「新しい人」
「そ! ここにライブのチケットがあります」
そう言って掲げられた二枚のチケット。見慣れない英語が並ぶその紙切れを一枚私に手渡した。バンド名のようだけど聞いたことがない。
「LATZ NEW ORDER? どこで売ってたのこれ」
「関係者とかにしか売られてないんだけど、それはまあ私のつてで手に入れたって訳よ」
はあ、と気の抜けた返しをしてしまい、ぎろりと睨まれる。落ち込んでるのは分かるけど、さっさと切り替えてかなきゃやってらんないでしょ。友達の言うことももっともだった。どれだけ泣いたって彼らは帰ってこない。「こども用」の音楽を一番に置いていたって他の音楽も好きになれるはずだ。まずは東京で開催されるというそのライブに行くところから始めてみよう、と友達にOKの返事を出した。
*****
人、人、人。みっちりと人の詰まったこのライブ会場であのバンドが演奏するらしい。見かける人全てが華やかで垢抜けている。目一杯おしゃれしたはずの自分が恥ずかしくなって震える私を、友達がゲラゲラ笑って写真に撮っている。
「田舎者代表って感じで面白いよ」
「そっちだって顔強ばってるよ」
「え、嘘」
友達は慌てて鏡を開く。話題をそらせたことに満足してステージに目を向けた。周囲のざわめきがだんだん小さくなってきてようやくライブが始まることに気付く。ぱちん、と照明が落とされ、一筋だけ差し込む光。その光に見覚えのある顔が照らされていた。
「羽佐間ちあき!?」
「そーだよ。このバンドのボーカル! 言ってなかったっけ?」
「聞いてない!」
思わず声を潜めて友達を問いつめる。最近テレビによく出てくるあの羽佐間ちあきを、生で見ることになると思わなかった。以前から歌ってはいたけれどソロで活動していたはずだ。まだあまり活動していないのに関係者だけで会場をうめられるのはそういうことか、と私が納得したところで演奏が始まった。他のバンドメンバーも照らし出されていく中、一人に目がとまる。野暮ったさを感じないおさげにぱっちりとした目、笑みの似合うその顔は。
「フジタさん……?」
ステージから遠く、大勢の観客に埋もれていても分かる。彼女はあの「こども用」のフジタさんだ。呆然と立ちつくす私のことなんて知らずに、彼女の手は今日もギターの上を駆け回っていた。そういえば今弾いているのはあのボロボロのギターではない。大事なものじゃなかったのかな、なんてどこかずれたことを考え始めてしまうくらいには私は動揺していた。音楽をやめたと思っていた人が今、目の前でギターを弾いている。その顔に笑みはない。会場も友達も最高潮の盛り上がりをみせているというのに、そのことだけが心に残っていた。
*****
「すごかったねー!!」
「ね! すごい盛り上がってた。羽佐間ちあきって思ってたより歌上手いんだね」
「そりゃそーよ! そうでもなきゃこのイケメン飽和時代をやっていけないでしょ!」
東京の夜はひどく明るい。またライブなの、と親に微妙な顔をされたが今日は東京に泊まっていけることになっていた。ホテルに向かう道すがら、友達とライブの感想を語り合う。ひとしきり喋り終えた頃にホテルに到着し、チェックインしようと受付に目を向けた。さらりとしたあの二つ結びが受付の前で揺れていた。
「なっ!」
「どうしたの? あ! さっきのライブでギターやってた人!」
私があげた声に続いて友達もフジタさんに気が付いた。夜のロビーに私達の声は想像以上に響きわたり、受付を終えた彼女がこちらを振り向いてしまった。ただ微笑みかけて終わるつもりでいたらしい彼女は、私の顔を見て動きを止めた。
「あれ、きみ、もしかしてあたしのファンの……」
「……そうです。覚えててくださったんですね」
「そりゃ数少ないファンだからね。年同じくらいでしょ? 敬語じゃなくていーよ」
「いえ、憧れの人にタメ口はちょっと……」
堅苦しい話し方をする私を、フジタさんは笑う。嫌な感じのしない爽やかな笑顔だ。こんなに笑顔が素敵なのに、なんでさっきのライブでは真顔だったんだろう。私の知り合いらしいと勘づいた友達は先に部屋に行くと言ってロビーから消えた。立ち話もなんだから、とロビーのソファーに腰かける。私が話題に迷っている間に、フジタさんの方から話が切り出された。
「ライブ見に来てくれてたの?」
「見ました! なんか人もいっぱいですごかったです」
「でしょ! あたし達のバンドはこれからもっと人気になるから、期待してて!」
「……はい!」
あたし達のバンド『は』。その言葉が出た途端に昔の路上ライブを思い出す。誰も足をとめない。煩わしそうに向けられる視線。そんな中背筋を伸ばして立っていた彼女は、笑顔の下で何を思っていたのだろう。元気な返事と裏腹に私の顔が曇ったのを見て、フジタさんは何かに気付いたような顔をした。
「失望した?」
「何にですか?」
「……あたし、だいぶ音楽の方向性変わったからさ、それ嫌だったのかなーって」
気まずそうな、叱られる前の生徒みたいな言い方だった。私はフジタさんが何に怯えているかよく分からずに首をかしげる。どうして彼女の演奏する音楽が変わったくらいで私が失望するんだ?
「別に嫌とかそんなのないですよ! むしろ音楽続けてくれてるって知ってなんだか嬉しかったです。あれ、私上から目線で話してますね……すみません……」
「全然上からじゃないよ。そっか」
なんだかしんみりとした空気になってしまった。せっかく憧れの人と話せているのだからもっと明るい話がしたい。また出会えるような偶然があるとも限らないし、悲しい顔で終わらせたくはない。どうにか明るくしようと彼女のバンドのことに話を戻した。
「なんでこども用をやめたんだろうって思ってたんですけど、LATZ NEW ORDERに専念するためだったんですね」
「まあ、そういう感じかなあ」
「曲ってフジタさんが作ってるんですか?」
「……いーや、その辺は全部羽佐間ちあきだよ」
「ひえー……多才な人だなぁ」
もしかしたら話題を間違えたかもしれない。フジタさんはこちらを見て話してくれなくなった。でもさっき自分からバンドの話をしていたし、突然気分を害することもない、はずだ。ライブの後だから疲れているんだと思う。そんな人を私今足止めしちゃってる!? かなり失礼なことをしていると気付いてしまった私は、さっさと言いたかったことだけ言ってお別れしようと考えた。私が手をもぞもぞとさせながら硬直しているのを、不思議そうにフジタさんが覗きこむ。慌てて口を開く。
「それじゃあ、もし、その気になったらで構わないので」
「なーに?」
「曲作りたくなったら、また何かネットにあげてくれませんか」
言うんじゃなかった。こども用をやめた時点でもう作る気はないと言ってるも同然だというのに、私は自分のわがままを押しつけてしまっている。当然ながら彼女の顔がこわばり、困ったように眉を下げた。
「やー……もう曲作ることはない、かな……」
「そっ、そうですよね、すみません」
「……私の曲、そんなに好きだったんだ」
まっすぐに私を見つめて、フジタさんは静かな声で尋ねた。私は間髪いれずに返す。
「はい、好きです。ずっと」
はっきりと、現在形で言いきった言葉に彼女は目を見開き、ぶはっと吹き出した。
「そっかそっか! そんなに好きになってもらえるなんて、作っててよかったよ」
「あの、なので、これからも応援してます」
引き留めてしまってごめんなさい、という私の謝罪を最後に、短い交流が終わった。いっしょにエレベーターに乗り込んだものの会話はない。部屋のある階にとまり、挨拶だけしておこうとフジタさんの方へ振り向いた。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい。……ありがとう」
気のせいかと思うほど小さな声で付け加えられた感謝の言葉に、私こそ、と答える。やはり私は何か間違えてしまったんだと思う。エレベーターの扉が閉まっていく中、フジタさんの顔は今にも泣き出しそうなくらいに歪んでいた。
△▽△▽△
まだ、まだだめ。ポーンとエレベーターが鳴って、指定の階にたどり着いたことを知らせてくれた。扉が開くことすら待ちきれず、かろうじて通れる隙間からあたしは飛び出した。早く部屋に入りたい。誰の目も届かない場所に行きたい。夜中だということを気にする余裕もなく廊下を駆け抜ける。人一人いないのがありがたかった。今の顔が見れたものじゃないってことは自分で分かっていた。
カードキーをかざすとドアは簡単に開いた。なんとかドアを閉め、自動でロックがかかる音を聞いた瞬間にポロリと涙がこぼれ落ちた。一度流れ出したそれはもう止めることが出来なかった。足の力が抜ける。うずくまってただ泣き続ける自分が憎い。泣く資格なんてないのに。
数少ない、昔からのファンの子だった。新曲を出すとコメントを残してくれる子。あたしの活動名でエゴサすれば彼女のブログもひっかかる。一曲一曲、事細かに褒め称えてくれるそのブログの文章を支えにしていた時期もあった。いや、今でもあの肯定はあたしの軸になっている。ライブに来てくれたときのあの顔の輝きを見て、これからも頑張ろうと思っていた。大袈裟に言えば、彼女一人だけのためでも続けようという気持ちがあった。同時に、それ以外の人からの無関心が、批判があたしの心を蝕んでいた。確かに肯定してくれる人はいる。しかし人気は出ない。あちこちであたしの歌が流れるようなことは決してない。それでも好きだから、好きと言ってくれる人がいるから、となんとかやってきた。
そこに、羽佐間ちあきからの誘いが来てしまった。別に羽佐間が悪い訳じゃない。最後の一押しがあいつだったってだけ。数少ないファンを切り捨てでも評価されたいと、揺れ動いていた心を、目をそらし続けていた心をあいつは暴きにきた。
「遥さん、共犯者になってよ」
いつものへらりとした笑顔をなくして持ちかけられたその誘いは甘いだけじゃないと分かっていた。自分を殺してでも評価されるものを作るという覚悟を求められているということも。『好き』だけではやっていけない世界。そしてあたしは覚悟を決めた。このまま続けて日の目を見ないくらいならこれまでを捨てると、その覚悟があったからギターも真神くんに譲ったのだ。それなのに。
「むしろ音楽続けてくれてるって知ってなんだか嬉しかったです」
「好きです。ずっと」
切り捨てた彼女に出会ってしまった。彼女に対して誠実でいられず、顔もまともに見られなくなったあたしを、今も好きだと断言された。彼女の言葉が嘘だとは思えない。きっと彼女はこれからも新曲の出ないこども用を愛し続けてくれるだろうし、あたしがいると知ったこれからはLATZ NEW ORDERも応援してくれることだろう。
その純粋な好意に泣き出すほど揺さぶられてしまった自分がひどく醜く思えた。嬉しいと感じるのならなんでやめたのか。捨てると言ったのに未練がましいにも程がある。いっそのこと今のあたしを否定してくれればよかったのに、盲目的とも言える彼女の口からそんな言葉が出ることはない。どんな選択も「応援してます」と追いかけてくる彼女がいとおしくて憎らしい。彼女を見る度に捨てたはずのファン達を思い出してしまうだろう。そして思い出しては罪悪感に苛まれてまたぐずぐずと泣くのだ。
ぐちゃぐちゃになったあたしの思考を、スマホの着信音が切り裂いた。スマホの画面を見れば、ちあきという三文字。鼻声になっていないか確認してから電話をとる。
「もしもし」
「あ、遥さん? ホテルの部屋気に入ってくれた? ネットの評判はわりといいんだけど」
「あー、いい感じだよ。設備もサービスもちゃんとしてるしきれいだし! わざわざありがとね」
「よかったー」
羽佐間はこの日のために、打ち上げ会場だけでなくホテルまで手配してくれていた。この部屋の隣近所に他のバンドメンバーも泊まっている。でも、そのことだけで電話してくる人間ではない。挨拶代わりの世間話を終えると羽佐間の声色が変わった。
「遥さん、気持ち、変わってないよね」
「……何が?」
「さっきの打ち上げのたかしくんに一番感化されそうなの、遥さんだから」
羽佐間はどうなの、とは聞かなかった。声だけでも、真神くんの熱にあてられて、絶対にこの方法で上にいってみせるという気持ちが強くなっているのが分かった。あたしは笑う。これまで貰ってきた『好き』を大事にしまいこんで、つい数分前までぐずついていた自分にふたをして、笑う。
「確かに真神くんのまっすぐさが羨ましいとは思った。でもね」
あたしは最後まできみについていくよ。
自分に言い聞かせるようにして、電話口に宣言する。電話の向こうの羽佐間はそう、とだけ呟いた。
「せっかくあたしがこういうこと言ってんだから、羽佐間もなんかいい感じのこと言ってよ」
「えぇ~なにその無茶ぶり」
おちゃらけてみれば、途端に真面目な空気が消えた。これでいい。あたしの本気は伝わっただろう。また泣くようなことになったとしても、何度悔やんだとしても、この方法でやっていくと決めたのだから。切り捨てたファン達に顔向けできるように頑張っていくしかない。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみー」
通話のきれたスマホを机に置き、大きな窓へ近寄る。磨きぬかれたその窓の向こうにはきらきらとした東京の夜景が広がっていた。この明かりの下にいる人全員に私達の曲を届けてみせる。今なら、LATZ NEW ORDERならそれが出来ると信じている。そんな決意とは裏腹に、窓に反射した自分の顔がぐしゃぐしゃのままでなんだか笑えた。
*****
音楽ユニット「こども用」は正直言って人気がなかった。ボーカロイドと人間の掛け合いが朗読のように続く音楽。人によっては耳障りだと言われてしまうようなギターの音。一度聞いたら頭から離れないそんな音が私には心地よかった。
再生回数が伸びないことに対してただのファンである私が勝手にキレていたことがあった。新曲がでる度コメントを残し、長文の感想を書くためだけにブログを始め、CDを出すと発表されたときは半泣きで友達に電話した。
彼らの曲に対する感想が毎日飽きもせずに投稿される私のSNSを見て、友達は呆れていた。
「その人の曲そんなに好きなの?」
「うん!」
即答。何の迷いもなく言い切った私を見て友達が吹き出す。あんたの青春そればっかになっちゃうね、と茶化すように言われても納得しかなかった。いっそ人生の全部が彼らの音楽で埋まっても構わないと思えた。
学生の身ではそうそう遠くに行けないけれど、何度か彼らの路上ライブも見に行った。電車とバスを乗り継いでやってきた広場。そこに彼らは、彼女はいた。同い年くらいの女の子がボロボロのギターを抱えて立っていた。通りすがりの人は怪訝な目で彼女を見た。そんな不躾な視線をものともせず、明るい顔を崩すこともない。近付いてきた私に気付くと、彼女ははじけるような笑顔を見せた。
「ねぇ、きみってあたしのライブ見に来てくれた子?」
「っはい……! あ、あの、こども用の、フジタさんの曲好きです!」
いざ目の前にすると彼女の瞳の輝きに見惚れてしまう。挙動不審になりながらなんとか伝えた好意を、彼女は確かに受け止めてくれた。もしかして感想ブログもやってる? 名乗りもしてないのにバレたそれを肯定すれば、にぱっと笑われる。照れくさそうに頬をかく姿は親近感すらわくものだった。
「いやー嬉しいな! 今日は楽しんでいってね!」
決めていた時間になると、彼女は側に置いていたスピーカーの電源を入れた。彼女の指がギターの上を駆け回る。スピーカーから流れ出すボーカロイドの声に合わせて彼女の凛とした歌声が響く。それなのに誰も立ち止まらない。ちらりと横目に見て早々に立ち去ってしまう。
なんで。彼女の歌を聞いて! 彼らの歌を無視しないで! 私の好きな人達が無いものとして扱われることが許せない。けれど私にできることなんて無い。彼女達の歌声を頭に焼き付けながら、ただその状況に耐えるしかなかった。
演奏が終わっても拍手の音は私のものだけだった。彼女の朗らかな声は私だけにかけられた。
「最後まで聞いてくれてありがとね! てかどこから来たの? ずいぶん大荷物だけど」
「電車とバス乗り継いでそこそこあるとこです……今日はこの辺に宿とってるんで泊まっていきます」
「えっ、このライブのためだけに!?」
ライブのためだけ、とは親にも言われた。大きな会場でやるようなバンドならまだしも、個人でやってるやつでしょう。わざわざ行く必要なんて無いよ。玄関を出るときにも言われたそれを私は気にしなかった。個人だからこそ応援しなければいけないのだ。ここに応援しているファンがいます、あなたの音楽が好きな人間がいます、と分かってもらいたかった。
彼女は驚いて、そこまでして聞きにきてくれたんだね、と感慨深そうに呟いた。私は頷く。
「毎回見に来るのはお金の関係で無理なんですけど、これからもネット上で応援してるので!」
「……ありがとね」
ふにゃりと笑う彼女。その笑顔のためなら私はどこまでも追いかけていけると思った。
もっと評価されてほしい、でも離れていくのは寂しい。矛盾する思いを抱えつつ、これまでもこれからも応援し続けようと思っていた。
それらはもう全て過去のことになってしまったけれど。
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べしょべしょになったハンカチを洗濯かごに放り込む。鏡に写る私の目元は予想通り腫れぼったくなっていた。いつか終わりが来るのは分かっていたことだ。頭では理解しているけど感情が追い付かない。心の一等席に置いていたものがぽっかりと無くなってしまったことが恐ろしい。別に引退したからといって作品が全て消される訳でもないのに、二度と新しい曲が、これからが無いのだと思うとじわじわと喪失感が忍び寄ってくる。今CDを見たらまた涙腺が緩みそうで、CDラックから目をそらした。
やっぱり続けます、と書き変えられるのを期待してパソコンを開くと、ブログにコメントがきていた。昨日断末魔のような投稿をしたきりSNS上から消えた私を心配してくれた友達かもしれない。どんな慰めをくれたのかと思い見てみれば、そのコメントは匿名の人からのものだった。たった一言。
『ごめんね』
誰が、何に対して謝っているのか。一瞬で理解してしまった。理解なんてしたくなかった。希望すら持たせてもらえない。彼女は完全に「こども用」を終える気なのだと分かった。
たった四文字を何度も何度も読み返し、そっとパソコンを閉じた。そのままベッドに倒れこむ。こみ上げてくる涙をシャツの袖で拭い、静かに嗚咽をもらす。
今日、私の青春が終わった。
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「終わったもんはしゃーない! 新しい人見つけよ!」
明らかに泣いていましたという顔で登校してきた私に、きっぱりと友達が言った。
「新しい人」
「そ! ここにライブのチケットがあります」
そう言って掲げられた二枚のチケット。見慣れない英語が並ぶその紙切れを一枚私に手渡した。バンド名のようだけど聞いたことがない。
「LATZ NEW ORDER? どこで売ってたのこれ」
「関係者とかにしか売られてないんだけど、それはまあ私のつてで手に入れたって訳よ」
はあ、と気の抜けた返しをしてしまい、ぎろりと睨まれる。落ち込んでるのは分かるけど、さっさと切り替えてかなきゃやってらんないでしょ。友達の言うことももっともだった。どれだけ泣いたって彼らは帰ってこない。「こども用」の音楽を一番に置いていたって他の音楽も好きになれるはずだ。まずは東京で開催されるというそのライブに行くところから始めてみよう、と友達にOKの返事を出した。
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人、人、人。みっちりと人の詰まったこのライブ会場であのバンドが演奏するらしい。見かける人全てが華やかで垢抜けている。目一杯おしゃれしたはずの自分が恥ずかしくなって震える私を、友達がゲラゲラ笑って写真に撮っている。
「田舎者代表って感じで面白いよ」
「そっちだって顔強ばってるよ」
「え、嘘」
友達は慌てて鏡を開く。話題をそらせたことに満足してステージに目を向けた。周囲のざわめきがだんだん小さくなってきてようやくライブが始まることに気付く。ぱちん、と照明が落とされ、一筋だけ差し込む光。その光に見覚えのある顔が照らされていた。
「羽佐間ちあき!?」
「そーだよ。このバンドのボーカル! 言ってなかったっけ?」
「聞いてない!」
思わず声を潜めて友達を問いつめる。最近テレビによく出てくるあの羽佐間ちあきを、生で見ることになると思わなかった。以前から歌ってはいたけれどソロで活動していたはずだ。まだあまり活動していないのに関係者だけで会場をうめられるのはそういうことか、と私が納得したところで演奏が始まった。他のバンドメンバーも照らし出されていく中、一人に目がとまる。野暮ったさを感じないおさげにぱっちりとした目、笑みの似合うその顔は。
「フジタさん……?」
ステージから遠く、大勢の観客に埋もれていても分かる。彼女はあの「こども用」のフジタさんだ。呆然と立ちつくす私のことなんて知らずに、彼女の手は今日もギターの上を駆け回っていた。そういえば今弾いているのはあのボロボロのギターではない。大事なものじゃなかったのかな、なんてどこかずれたことを考え始めてしまうくらいには私は動揺していた。音楽をやめたと思っていた人が今、目の前でギターを弾いている。その顔に笑みはない。会場も友達も最高潮の盛り上がりをみせているというのに、そのことだけが心に残っていた。
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「すごかったねー!!」
「ね! すごい盛り上がってた。羽佐間ちあきって思ってたより歌上手いんだね」
「そりゃそーよ! そうでもなきゃこのイケメン飽和時代をやっていけないでしょ!」
東京の夜はひどく明るい。またライブなの、と親に微妙な顔をされたが今日は東京に泊まっていけることになっていた。ホテルに向かう道すがら、友達とライブの感想を語り合う。ひとしきり喋り終えた頃にホテルに到着し、チェックインしようと受付に目を向けた。さらりとしたあの二つ結びが受付の前で揺れていた。
「なっ!」
「どうしたの? あ! さっきのライブでギターやってた人!」
私があげた声に続いて友達もフジタさんに気が付いた。夜のロビーに私達の声は想像以上に響きわたり、受付を終えた彼女がこちらを振り向いてしまった。ただ微笑みかけて終わるつもりでいたらしい彼女は、私の顔を見て動きを止めた。
「あれ、きみ、もしかしてあたしのファンの……」
「……そうです。覚えててくださったんですね」
「そりゃ数少ないファンだからね。年同じくらいでしょ? 敬語じゃなくていーよ」
「いえ、憧れの人にタメ口はちょっと……」
堅苦しい話し方をする私を、フジタさんは笑う。嫌な感じのしない爽やかな笑顔だ。こんなに笑顔が素敵なのに、なんでさっきのライブでは真顔だったんだろう。私の知り合いらしいと勘づいた友達は先に部屋に行くと言ってロビーから消えた。立ち話もなんだから、とロビーのソファーに腰かける。私が話題に迷っている間に、フジタさんの方から話が切り出された。
「ライブ見に来てくれてたの?」
「見ました! なんか人もいっぱいですごかったです」
「でしょ! あたし達のバンドはこれからもっと人気になるから、期待してて!」
「……はい!」
あたし達のバンド『は』。その言葉が出た途端に昔の路上ライブを思い出す。誰も足をとめない。煩わしそうに向けられる視線。そんな中背筋を伸ばして立っていた彼女は、笑顔の下で何を思っていたのだろう。元気な返事と裏腹に私の顔が曇ったのを見て、フジタさんは何かに気付いたような顔をした。
「失望した?」
「何にですか?」
「……あたし、だいぶ音楽の方向性変わったからさ、それ嫌だったのかなーって」
気まずそうな、叱られる前の生徒みたいな言い方だった。私はフジタさんが何に怯えているかよく分からずに首をかしげる。どうして彼女の演奏する音楽が変わったくらいで私が失望するんだ?
「別に嫌とかそんなのないですよ! むしろ音楽続けてくれてるって知ってなんだか嬉しかったです。あれ、私上から目線で話してますね……すみません……」
「全然上からじゃないよ。そっか」
なんだかしんみりとした空気になってしまった。せっかく憧れの人と話せているのだからもっと明るい話がしたい。また出会えるような偶然があるとも限らないし、悲しい顔で終わらせたくはない。どうにか明るくしようと彼女のバンドのことに話を戻した。
「なんでこども用をやめたんだろうって思ってたんですけど、LATZ NEW ORDERに専念するためだったんですね」
「まあ、そういう感じかなあ」
「曲ってフジタさんが作ってるんですか?」
「……いーや、その辺は全部羽佐間ちあきだよ」
「ひえー……多才な人だなぁ」
もしかしたら話題を間違えたかもしれない。フジタさんはこちらを見て話してくれなくなった。でもさっき自分からバンドの話をしていたし、突然気分を害することもない、はずだ。ライブの後だから疲れているんだと思う。そんな人を私今足止めしちゃってる!? かなり失礼なことをしていると気付いてしまった私は、さっさと言いたかったことだけ言ってお別れしようと考えた。私が手をもぞもぞとさせながら硬直しているのを、不思議そうにフジタさんが覗きこむ。慌てて口を開く。
「それじゃあ、もし、その気になったらで構わないので」
「なーに?」
「曲作りたくなったら、また何かネットにあげてくれませんか」
言うんじゃなかった。こども用をやめた時点でもう作る気はないと言ってるも同然だというのに、私は自分のわがままを押しつけてしまっている。当然ながら彼女の顔がこわばり、困ったように眉を下げた。
「やー……もう曲作ることはない、かな……」
「そっ、そうですよね、すみません」
「……私の曲、そんなに好きだったんだ」
まっすぐに私を見つめて、フジタさんは静かな声で尋ねた。私は間髪いれずに返す。
「はい、好きです。ずっと」
はっきりと、現在形で言いきった言葉に彼女は目を見開き、ぶはっと吹き出した。
「そっかそっか! そんなに好きになってもらえるなんて、作っててよかったよ」
「あの、なので、これからも応援してます」
引き留めてしまってごめんなさい、という私の謝罪を最後に、短い交流が終わった。いっしょにエレベーターに乗り込んだものの会話はない。部屋のある階にとまり、挨拶だけしておこうとフジタさんの方へ振り向いた。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい。……ありがとう」
気のせいかと思うほど小さな声で付け加えられた感謝の言葉に、私こそ、と答える。やはり私は何か間違えてしまったんだと思う。エレベーターの扉が閉まっていく中、フジタさんの顔は今にも泣き出しそうなくらいに歪んでいた。
△▽△▽△
まだ、まだだめ。ポーンとエレベーターが鳴って、指定の階にたどり着いたことを知らせてくれた。扉が開くことすら待ちきれず、かろうじて通れる隙間からあたしは飛び出した。早く部屋に入りたい。誰の目も届かない場所に行きたい。夜中だということを気にする余裕もなく廊下を駆け抜ける。人一人いないのがありがたかった。今の顔が見れたものじゃないってことは自分で分かっていた。
カードキーをかざすとドアは簡単に開いた。なんとかドアを閉め、自動でロックがかかる音を聞いた瞬間にポロリと涙がこぼれ落ちた。一度流れ出したそれはもう止めることが出来なかった。足の力が抜ける。うずくまってただ泣き続ける自分が憎い。泣く資格なんてないのに。
数少ない、昔からのファンの子だった。新曲を出すとコメントを残してくれる子。あたしの活動名でエゴサすれば彼女のブログもひっかかる。一曲一曲、事細かに褒め称えてくれるそのブログの文章を支えにしていた時期もあった。いや、今でもあの肯定はあたしの軸になっている。ライブに来てくれたときのあの顔の輝きを見て、これからも頑張ろうと思っていた。大袈裟に言えば、彼女一人だけのためでも続けようという気持ちがあった。同時に、それ以外の人からの無関心が、批判があたしの心を蝕んでいた。確かに肯定してくれる人はいる。しかし人気は出ない。あちこちであたしの歌が流れるようなことは決してない。それでも好きだから、好きと言ってくれる人がいるから、となんとかやってきた。
そこに、羽佐間ちあきからの誘いが来てしまった。別に羽佐間が悪い訳じゃない。最後の一押しがあいつだったってだけ。数少ないファンを切り捨てでも評価されたいと、揺れ動いていた心を、目をそらし続けていた心をあいつは暴きにきた。
「遥さん、共犯者になってよ」
いつものへらりとした笑顔をなくして持ちかけられたその誘いは甘いだけじゃないと分かっていた。自分を殺してでも評価されるものを作るという覚悟を求められているということも。『好き』だけではやっていけない世界。そしてあたしは覚悟を決めた。このまま続けて日の目を見ないくらいならこれまでを捨てると、その覚悟があったからギターも真神くんに譲ったのだ。それなのに。
「むしろ音楽続けてくれてるって知ってなんだか嬉しかったです」
「好きです。ずっと」
切り捨てた彼女に出会ってしまった。彼女に対して誠実でいられず、顔もまともに見られなくなったあたしを、今も好きだと断言された。彼女の言葉が嘘だとは思えない。きっと彼女はこれからも新曲の出ないこども用を愛し続けてくれるだろうし、あたしがいると知ったこれからはLATZ NEW ORDERも応援してくれることだろう。
その純粋な好意に泣き出すほど揺さぶられてしまった自分がひどく醜く思えた。嬉しいと感じるのならなんでやめたのか。捨てると言ったのに未練がましいにも程がある。いっそのこと今のあたしを否定してくれればよかったのに、盲目的とも言える彼女の口からそんな言葉が出ることはない。どんな選択も「応援してます」と追いかけてくる彼女がいとおしくて憎らしい。彼女を見る度に捨てたはずのファン達を思い出してしまうだろう。そして思い出しては罪悪感に苛まれてまたぐずぐずと泣くのだ。
ぐちゃぐちゃになったあたしの思考を、スマホの着信音が切り裂いた。スマホの画面を見れば、ちあきという三文字。鼻声になっていないか確認してから電話をとる。
「もしもし」
「あ、遥さん? ホテルの部屋気に入ってくれた? ネットの評判はわりといいんだけど」
「あー、いい感じだよ。設備もサービスもちゃんとしてるしきれいだし! わざわざありがとね」
「よかったー」
羽佐間はこの日のために、打ち上げ会場だけでなくホテルまで手配してくれていた。この部屋の隣近所に他のバンドメンバーも泊まっている。でも、そのことだけで電話してくる人間ではない。挨拶代わりの世間話を終えると羽佐間の声色が変わった。
「遥さん、気持ち、変わってないよね」
「……何が?」
「さっきの打ち上げのたかしくんに一番感化されそうなの、遥さんだから」
羽佐間はどうなの、とは聞かなかった。声だけでも、真神くんの熱にあてられて、絶対にこの方法で上にいってみせるという気持ちが強くなっているのが分かった。あたしは笑う。これまで貰ってきた『好き』を大事にしまいこんで、つい数分前までぐずついていた自分にふたをして、笑う。
「確かに真神くんのまっすぐさが羨ましいとは思った。でもね」
あたしは最後まできみについていくよ。
自分に言い聞かせるようにして、電話口に宣言する。電話の向こうの羽佐間はそう、とだけ呟いた。
「せっかくあたしがこういうこと言ってんだから、羽佐間もなんかいい感じのこと言ってよ」
「えぇ~なにその無茶ぶり」
おちゃらけてみれば、途端に真面目な空気が消えた。これでいい。あたしの本気は伝わっただろう。また泣くようなことになったとしても、何度悔やんだとしても、この方法でやっていくと決めたのだから。切り捨てたファン達に顔向けできるように頑張っていくしかない。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみー」
通話のきれたスマホを机に置き、大きな窓へ近寄る。磨きぬかれたその窓の向こうにはきらきらとした東京の夜景が広がっていた。この明かりの下にいる人全員に私達の曲を届けてみせる。今なら、LATZ NEW ORDERならそれが出来ると信じている。そんな決意とは裏腹に、窓に反射した自分の顔がぐしゃぐしゃのままでなんだか笑えた。
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