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*砂のように落ちる
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占い師の部屋で夜も更《ふ》けるのに僕らはまだお茶会をしていた。
紅茶は既に何十杯も飲んだ。中身は幾度と変わりまた最初に飲んでいたフレーバーティーに戻ってきた。
テーブルのお菓子は一度夕飯に変わり、また鮮やかな色のついたお菓子にへと変わった。そろそろお酒でも拝借してこようかと案も出ている。
【占い師】ことイライ・クラークはいつまでも楽しそうに【墓守】の僕と会話をしている。
部屋の鳩時計の針はちょうど零時を過ぎた頃合だ。
「それでね、キャンベルさんが……」
占い師が隠しきれない様子で話の続きを言葉にしようとした時だった。
ーーガシャン
少し遠くで何かが割れるような音と誰かの叫ぶ声が聞こえてきた。それも一度きりではない。何度も叫ぶ声と何かの物音が遠く離れているであろうこの部屋まで聞こえる。
物音は急な事でびっくりして止まった僕らしかいないこの部屋でうっすらと反響している。
僕と占い師は顔を見合わせると席を立ち急いで物音のする方へ走っていった。
「何をしているの!!」
【医師】、ダイアー先生の声が一階の廊下に響く。
僕らが物音の場所に辿り着く頃には既に人集りが出来上がっていた。
ここまで来ると叫び声の正体が何なのかわかる。傭兵……【ナワーブ・サベダー】だ。
彼がなぜ叫んでいるのか僕には理解ができないが隣にいる占い師はすぐに苦い顔をした。
……ふと愛おしい彼女の事が頭をよぎる。
彼女は傭兵と一緒にパーティーに出ていたはずだ。
脳が理解する前に僕の体は前へと乗り出してゆく。クラークさんは僕の動きと部屋の中の現状を【占い師】として理解したのか、人としての勘で理解したのか判らないが部屋の中に入れまいと止めにかかる。
「待つんだ、クレスさん!」
しかしそれは聞き入れられることはない。
クラークさんが僕を止めるよりも早く、僕は部屋の中に足を踏み入れ惨状を目にしてしまった。
「 [#nama1]!」
荒んだ部屋の中、赤く光るスパンコールのドレスに身を包んだ彼女が倒れていた。