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*砂のように落ちる
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無自覚とは恐ろしいものだ。
何を隠そう、私は占い師イライ・クラーク。
天眼を使い未来を見ては助言する事を職にしている。
今回私……いや、僕が見たのはプレイヤーを見続ける【墓守】の姿だ。
プレイヤーとは、一週間ほど前にこの荘園に訪れた招かざれるお客様であり、僕らに指揮を出すそんな存在である。
【墓守】は、アンドルー・クレスさんの事。
一見特に接点のない二人がどうして見えたのか気になった僕は二人をひっそりと観察していた。
そして気がついた事がある。
「……どうかな、クレスさん。次の作戦は」
クレスさんを食堂から呼び出した僕は次の試合の作戦を伝えていた。
「ああ。問題ない、これでいこう」
彼は作戦に納得しうんうんと首を縦に振った。作戦には納得してくれたので、僕は僕の中で本題になっている事を口にした。
「クレスさん。最近[#nama1]さんの事をよく見ていますね」
僕がそう口を開くとクレスさんは口を半開きにしてポカンとした。
少ししてから、
「……先程調香師に同じ事を言われた。僕はそんなに彼女を見ていたのか…?」
クレスさんはなんとも言えぬ顔をしながらそう言った。口をへの字型に曲げ如何にもモヤモヤとしているようだ。
「とても見ていましたよ」
僕が再びそう言うとクレスさんは難しい顔をした。やはり、気がついていないようだ。
僕……いや、私が占い師として教えなくては。
「クレスさん」
「……なんだ」
占い師らしく少し重く喋る。彼も何かあると身構える。
「貴方、彼女に恋愛的な好意がある様に見受けられます」
最後に、「他の人から見ても」と付け加えた。
クレスさんは目を見開いた。
当たり前だ。自分にとって自覚していないことを他人に言われるのは不可思議さを覚えるものだ。
しばらく会話に間が空いたあと彼は、
「そうか」
とのみ呟いた。
思考が追いつかないのだろう。時間を少し空けた方がいいだろうか。
そう考えていた時彼の顔が火を噴くように。
熟れたリンゴの様に真っ赤になった。
「はは……そうか」
クレスさんは一人真っ赤な顔を俯かせポツポツと呟いた。
……まだ彼の恋は始まったばかりだ。手伝う事は沢山ある。
それにしても無自覚とは本当に恐ろしいものだ。