the girl has cursed
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人生初仕事、
僕に任せられた仕事、
簡単な仕事とは言われていたものの、今まで働いたこともない人間だ。額からにじみ出る汗が僕の緊張の度合いを表している。
生まれ育った施設を追い出された僕ー中島敦はその後、行き着いた川で溺れかけていた男を助け、ひょんなことからその男ー太宰治が属するこの武装探偵社にスカウトされた。「武装」「探偵社」一見決して結びつかないような単語が組み合わさった不思議な会社名だが。その仕事内容を聞けば自然と相槌をうってしまう。閉鎖的な孤児院で育った僕にもその噂は耳に入ってきた。まさか自分がその一員になる日が来るとは露とも思わなかったが無事入社試験も突破、今は丁度初仕事を任されたところだ。
仕事の機材を整え、準備に勤しんでいると上司である国木田さんから声を掛けられた。
「おい小僧」
「不運且つ不幸なお前の人生に些かの同情がない訳でもない。故に、この街で生きるコツをひとつだけ教えてやる」
国木田さんはそう言って、手帳から一枚の写真を取り出した。
差し出された写真を受け取ると、その写真には目線の外れた黒い外套を纏った男、それから銀白色の髪の長い女が写っていた。
「こいつ等には遭うな。遭ったら逃げろ」
「この人は…」
「マフィアだよ、もっとも他に呼び方が無いからそう呼んでいるだけだ…
「マフィア!?」」
耳を疑うような単語に、太宰さんがまだ喋っているのも無視して素っ頓狂な声を上げる。
「なんだ、やけに食いつくな。…奴等はポートマフィアと呼ばれている港を縄張りとする凶悪な犯罪組織だ。この街の黒社会で最も危険な連中で…おい、聞いているのか敦。」
正直、国木田さんの話は半分も耳に入って来なかった。
それよりもこの写真の女のことが気になったからだ。
あまり写りの良いとは言えない写真を目を凝らして何度も見る。
白銀色の長い髪とその隙間から見える琥珀色の瞳、
赤い外套から伸びる手足は白く長く
身長は女性の平均より少し高いに見える
間違いない。
この写真の女は間違いなく、
「…です」
「は?」
「姉なんです!この人、僕の姉なんです!」
僕は手に持った写真を裏返して2人に見せつけるようにして持ち直す。2人は写真を食い入るように見て、それから交互に僕の顔と見比べた。国木田さんは余程動転しているのかその間も「は!?」とだけしか言っていない。
自分より慌てている人間を見ると落ち着くのは人間の心理として正しいようで、僕はいつもの様な調子で苦笑いをして見返していた。
「ふーむ。確かに目元や髪色なんかソックリだ!」
「そうなんです。昔からそこだけは似てると言われてて…他は性格も顔立ちもそこまで似てなくて」
「いや、待て待て待て。落ち着け」
「そうだね、落ち着いたほうがいいよ国木田君」
「俺か!?」
「俺だよ」
そうか……
「敦くーん行くよー」
「あっ谷崎さん!」
「君は行くといい。」
「ですけど……」
「私》達が調べておこう」
「すみません。ありがとうございます!」
「行ってしまったねえ」
「じゃ、後は頼むよ国木田くん」
「矢張り俺に投げる気か貴様」
「待て……だが可笑しいぞ。この女、中島という苗字では無かった筈だが。確か苗字はー…」
「森」
「彼女は森名前、ポートマフィア現首領の一人娘だよ」
太宰は睨むような顔をしていた