おやつの時間を回っても三人は帰ってこない。うち二人はまだ帰らないと聞いていたけど、もう一人はいつ帰ってくるのか。そう思いながらホルマジオが持ってきたクッキーをかじった。

「メローネ今日本当静かだな。なんか変なもんでも食ったか？」
「………… 」
「無視かよ…… 」

メローネは何か考えているように見える。たまにちらりとこちらを見るのは何かあるからだろうか。でも心当たりが全くない。

「……あのさ、チリージャ。もしかしてオレたち会ったこと……」

メローネがなにか言いかけた時、ドアの開く音がした。そちらに目を向けると黒い服を着た大柄の男が立っていた。こちらを見て驚愕の表情を浮かべている。……なんか、どこかで見たことあるような。

「お、リゾットおかえり 」
「……なんでお前が 」

……思い出した。前に殺そうとしてきた人だ。

「新入りだと。あと聞いてねえのはソルベとジェラートぐれえか？」
「………………そうか 」

リゾットと呼ばれた男は、しばらく間を開けて何か飲み込めないような、飲み込みたくないような顔で返事をした。そりゃそうだ、当然そんな顔になるわ。

「リゾットだ。どのくらい仲間になるのかは知らないが、よろしく頼む。アンジェリカ 」
「……あー、そう名乗ってた頃もあったかな。こちらこそよろしく、リゾット 」

……メローネがなにかブツブツと言ってる。はっきり言って怖い。さっきから何を考えて……

「あーー！！！アンジェリカ！？」

急に大声を上げて立ち上がり、閃いた、といった顔でこちらを見ていた。

「……アンジェリカって名乗ってた時期もあったけど 」
「リゾット、この子あのアンジェリカ!?」
「そうだ、あのアンジェリカだ 」
「うわ……！『成長』している……ッ！」

今度はぶわりと涙を溜め始めた。情緒不安定かこいつは。

「おい、今日本当どうした？オメーいつもより情緒不安定になってねぇか？」
「聞いてくれギアッチョ！オレが入った時、だいたいリゾットと一緒にいただろう!?」
「ちょっ、唾！唾飛んで来てるっての！」
「その時リゾットが殺り逃したターゲットだ！ああ……まさかここまで成長しているとは……ディ・モールト……ディ・モールト良いぞ……」
「だからって母体にするのは無しだからな 」
「しても不健康だからベイビィがすぐ死ぬ…… 」

今度は奇妙なポージングをしだした。本気の変態だ……。

「もう合法トリップの商売はやってないから、ここに迷惑はかけないよ 」
「ならいい。それで、誰が面倒を見るのかは決めたのか？」

そう言うと、みんな黙った。まあ確かに、新人に仕事をやらせることほど面倒なものはない。
イルーゾォがこっそりと引っ込んだのをわたしは見逃しはしなかった。

「……しょ〜がねぇ〜なぁ〜。俺がやる。それでいいよな？」
「まあ、ホルマジオが連れてきたしな 」
「ホルマジオがそこまで言うなら 」
「頑張れよホルマジオ 」
「お前ら薄情すぎだろ 」

その意見は最もである。