ペリドットとアンバー短編集
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翌日。
クルーズ船の事件からすでに4日。災害救助の常識から考えれば、生存者発見の可能性は72時間(3日)が限界。それ故、事件発生から4日目となったりおの生存はほぼ絶望的と考えられた。
それでも望みを捨てず、りお捜索に全力を傾ける公安警察の姿に、赤井は少なからず励まされた。
何よりペンダントの確認だったとはいえ、発見された遺体の身元確認に自分が呼ばれた。そのことは赤井の心を少し軽くした。
何か動きがあれば、降谷は自分に伝えてくれる。それだけでも心持ちは違う。例え腕一本、髪の毛一本でも構わない。彼女が自分の元に戻ってくるなら——もう二度と会えなかったとしても——
そこまで考えて赤井は頭を振った。
(いや、諦めるな。まだ何も見つかっちゃいない。公安もりおの生存を信じて探している)
彼女が無事に帰って来た時に、恥ずかしくない自分でいよう——
荒れ果てたリビングを見回し、赤井は何か決心したかのように顔を上げた。
この日から、赤井はこれまでの生活を改め、りおが居た時と同じように規則正しい生活を心がけた。
変装をして沖矢昴を演じる気力までは無かったが、いつりおが帰ってきても良いように部屋を整え、食事にも気を配った。
おかげで、資料の散乱したリビングはいつも通り片付けられ、テーブルの上で山のようになっていた灰皿も撤去。ソファに置きっぱなしだった毛布も洗濯され、外で風にそよいでいた。
掃除後に身支度を整えた赤井はキッチンに向かう。買出しには行っていないので、冷蔵庫には大したものは入っていない。
ただ、常備している根菜類や乾物があったので、マッュポテトやニンジンのラペなどすぐに出来る常備菜づくりに取り掛かった。
不思議と料理をしている時は心が穏やかだった。見様見真似で覚えたりおのレシピ。その工程を一つ一つ思い出しながら、黙々と作業を続けた。
赤井の変化は目覚ましく、その日工藤邸を訪れたジェームズを驚かせるには十分だった。
「急にどうしたというんだ、赤井くん」
すっかりきれいになったリビングを見て、ジェームズは赤井に問いかける。
「さすがに、あんな状態をりおに見られたら大目玉を食らってしまいます。私が不摂生をしようものなら、ものすごい剣幕で怒るんですよ。だから、彼女が帰ってくる前に証拠隠滅をしようと思って」
久しぶりに笑顔を見せる赤井に、ジェームズはやや険しい表情を見せる。
「無理をしておるんではないかね? りおくんの捜索からすでに4日。残念だが、生存の可能性は——」
眉間にしわを寄せ、言葉を詰まらせるジェームズに、赤井は毅然と答えた。
「まだ、ですよ。ジェームズ。まだ諦めません。彼女の遺体が上がり、その死を目の当たりにするまで私は諦めないつもりです」
「あ、赤井くん……君……」
先日までと全く違う赤井の目を見て、ジェームズは参ったと言わんばかりにため息をついた。
「私の負けだよ。そうだね。君は諦めが悪い男だった。FBIに入局した理由からして、そうだったね。分かった。私も諦めないよ。みんなでりおくんの無事を祈ろう」
「はい」
赤井の肩をたたくジェームズの顔にも、久しぶりに笑顔が戻った。
クルーズ船の事件からすでに4日。災害救助の常識から考えれば、生存者発見の可能性は72時間(3日)が限界。それ故、事件発生から4日目となったりおの生存はほぼ絶望的と考えられた。
それでも望みを捨てず、りお捜索に全力を傾ける公安警察の姿に、赤井は少なからず励まされた。
何よりペンダントの確認だったとはいえ、発見された遺体の身元確認に自分が呼ばれた。そのことは赤井の心を少し軽くした。
何か動きがあれば、降谷は自分に伝えてくれる。それだけでも心持ちは違う。例え腕一本、髪の毛一本でも構わない。彼女が自分の元に戻ってくるなら——もう二度と会えなかったとしても——
そこまで考えて赤井は頭を振った。
(いや、諦めるな。まだ何も見つかっちゃいない。公安もりおの生存を信じて探している)
彼女が無事に帰って来た時に、恥ずかしくない自分でいよう——
荒れ果てたリビングを見回し、赤井は何か決心したかのように顔を上げた。
この日から、赤井はこれまでの生活を改め、りおが居た時と同じように規則正しい生活を心がけた。
変装をして沖矢昴を演じる気力までは無かったが、いつりおが帰ってきても良いように部屋を整え、食事にも気を配った。
おかげで、資料の散乱したリビングはいつも通り片付けられ、テーブルの上で山のようになっていた灰皿も撤去。ソファに置きっぱなしだった毛布も洗濯され、外で風にそよいでいた。
掃除後に身支度を整えた赤井はキッチンに向かう。買出しには行っていないので、冷蔵庫には大したものは入っていない。
ただ、常備している根菜類や乾物があったので、マッュポテトやニンジンのラペなどすぐに出来る常備菜づくりに取り掛かった。
不思議と料理をしている時は心が穏やかだった。見様見真似で覚えたりおのレシピ。その工程を一つ一つ思い出しながら、黙々と作業を続けた。
赤井の変化は目覚ましく、その日工藤邸を訪れたジェームズを驚かせるには十分だった。
「急にどうしたというんだ、赤井くん」
すっかりきれいになったリビングを見て、ジェームズは赤井に問いかける。
「さすがに、あんな状態をりおに見られたら大目玉を食らってしまいます。私が不摂生をしようものなら、ものすごい剣幕で怒るんですよ。だから、彼女が帰ってくる前に証拠隠滅をしようと思って」
久しぶりに笑顔を見せる赤井に、ジェームズはやや険しい表情を見せる。
「無理をしておるんではないかね? りおくんの捜索からすでに4日。残念だが、生存の可能性は——」
眉間にしわを寄せ、言葉を詰まらせるジェームズに、赤井は毅然と答えた。
「まだ、ですよ。ジェームズ。まだ諦めません。彼女の遺体が上がり、その死を目の当たりにするまで私は諦めないつもりです」
「あ、赤井くん……君……」
先日までと全く違う赤井の目を見て、ジェームズは参ったと言わんばかりにため息をついた。
「私の負けだよ。そうだね。君は諦めが悪い男だった。FBIに入局した理由からして、そうだったね。分かった。私も諦めないよ。みんなでりおくんの無事を祈ろう」
「はい」
赤井の肩をたたくジェームズの顔にも、久しぶりに笑顔が戻った。
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