ペリドットとアンバー短編集
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翌朝——。
警察から「りお発見」の一報は無い。結局一睡もできないまま、赤井は朝を迎えていた。
帰宅した夜にはシャワーを浴びたため変装は解いてある。目元のクマを濃くした赤井は上半身裸でリビングに入ると、すぐさまテレビをつけた。
『昨日起こったクルーズ船の事件は、犯人の目的も分からないまま現在も行方不明になっている女性の捜索が続いています』
アナウンサーの声と共に、海上での捜索の様子が映し出された。
今回、公安が情報流出を極力抑えているため事件の概要も、行方不明になっている女性についても、詳細は明かされていない。
「まだ……見つからないのか……」
赤井は立ったままテレビ画面を見つめ、ため息をついた。
テレビでは延々と捜査状況を伝えるテロップが流れ、アナウンサーが実況している。
『ところで、このあたりの海に詳しい元海上自衛隊の根本さんにお伺いします。
根本さん。女性の捜索が難航していますが、実際このあたりの潮の流れはどうなんでしょうか?』
『はい、エッジオブオーシャンは最近作られた人工の島ですからね。島自体は外海に面していますから、潮の流れは速いと言って良いでしょう。特にクルーズ船が停泊していたところはふ頭になっているので、潮の流れがより複雑化している可能性はあります』
スーツを着た紳士が険しい表情のまま、付近の海について解説した。
『ということは、犯人と一緒に落下した女性は、そのまま潮に流された可能性があると?』
『ええ。一部の報道によれば、羽交い絞めにされていた、とも言われていますから、犯人の体に巻き付いた爆弾が爆発した時、女性も近くに居た、と考えるのが妥当ではないかと……』
『では、根本さんとしては、女性が生存している可能性は低い、ということですか?』
『ええ、大変言いづらいですが……そうなると思います』
「ッ‼」
フォン……
生存の可能性が低いと聞き、赤井はテレビを消した。そんなことは言われなくても分かっている。この目で見たのだ。
羽交い絞めにされたりおが海に落ちて数秒後に爆発。例えスンホの拘束から逃れていたとしても、二人が共に潮に流されればその距離はゼロに等しい。
今回のように水中で爆弾が爆発した場合、その威力は空気中よりも効率的にエネルギーが伝わる。そのため甚大な衝撃波が発生するのだ。
爆弾はスンホの体に取り付けられていた。そして二人の距離がゼロならば——彼女が無事で済むはずがない。
「くそっ‼」
手にしていたリモコンをソファーに放り投げた。呼吸が荒くなりズキリと胸が痛む。
この痛みはケガのせいか、それとも悲しみか。呼吸もままならなくなるほど痛みがひどくなり、赤井はソファーに倒れ込む。
「クッ! りお……頼むッ! 無事で……無事でいて、くれ……ッ!」
痛む胸を押え、赤井は絞り出すように祈りの言葉を口にした。
赤井自身、今まで祈るなどという行為はしたことがなかった。が、今は祈らずにはいられなかった。
例えこの身を犠牲にしてでも守りたかった愛する女性を守れなかったのだから。
自責の念が強くなればなるほど、胸の痛みは増した。呼吸が乱れ、汗が噴き出す。赤井は体を丸め、痛みが去るのを待つしかない。
ズキズキと痛む胸は尚も赤井を苦しめる。
部屋の中は時々風の音が聞こえる以外、痛みに耐える赤井の荒い息遣いだけが響いていた。
警察から「りお発見」の一報は無い。結局一睡もできないまま、赤井は朝を迎えていた。
帰宅した夜にはシャワーを浴びたため変装は解いてある。目元のクマを濃くした赤井は上半身裸でリビングに入ると、すぐさまテレビをつけた。
『昨日起こったクルーズ船の事件は、犯人の目的も分からないまま現在も行方不明になっている女性の捜索が続いています』
アナウンサーの声と共に、海上での捜索の様子が映し出された。
今回、公安が情報流出を極力抑えているため事件の概要も、行方不明になっている女性についても、詳細は明かされていない。
「まだ……見つからないのか……」
赤井は立ったままテレビ画面を見つめ、ため息をついた。
テレビでは延々と捜査状況を伝えるテロップが流れ、アナウンサーが実況している。
『ところで、このあたりの海に詳しい元海上自衛隊の根本さんにお伺いします。
根本さん。女性の捜索が難航していますが、実際このあたりの潮の流れはどうなんでしょうか?』
『はい、エッジオブオーシャンは最近作られた人工の島ですからね。島自体は外海に面していますから、潮の流れは速いと言って良いでしょう。特にクルーズ船が停泊していたところはふ頭になっているので、潮の流れがより複雑化している可能性はあります』
スーツを着た紳士が険しい表情のまま、付近の海について解説した。
『ということは、犯人と一緒に落下した女性は、そのまま潮に流された可能性があると?』
『ええ。一部の報道によれば、羽交い絞めにされていた、とも言われていますから、犯人の体に巻き付いた爆弾が爆発した時、女性も近くに居た、と考えるのが妥当ではないかと……』
『では、根本さんとしては、女性が生存している可能性は低い、ということですか?』
『ええ、大変言いづらいですが……そうなると思います』
「ッ‼」
フォン……
生存の可能性が低いと聞き、赤井はテレビを消した。そんなことは言われなくても分かっている。この目で見たのだ。
羽交い絞めにされたりおが海に落ちて数秒後に爆発。例えスンホの拘束から逃れていたとしても、二人が共に潮に流されればその距離はゼロに等しい。
今回のように水中で爆弾が爆発した場合、その威力は空気中よりも効率的にエネルギーが伝わる。そのため甚大な衝撃波が発生するのだ。
爆弾はスンホの体に取り付けられていた。そして二人の距離がゼロならば——彼女が無事で済むはずがない。
「くそっ‼」
手にしていたリモコンをソファーに放り投げた。呼吸が荒くなりズキリと胸が痛む。
この痛みはケガのせいか、それとも悲しみか。呼吸もままならなくなるほど痛みがひどくなり、赤井はソファーに倒れ込む。
「クッ! りお……頼むッ! 無事で……無事でいて、くれ……ッ!」
痛む胸を押え、赤井は絞り出すように祈りの言葉を口にした。
赤井自身、今まで祈るなどという行為はしたことがなかった。が、今は祈らずにはいられなかった。
例えこの身を犠牲にしてでも守りたかった愛する女性を守れなかったのだから。
自責の念が強くなればなるほど、胸の痛みは増した。呼吸が乱れ、汗が噴き出す。赤井は体を丸め、痛みが去るのを待つしかない。
ズキズキと痛む胸は尚も赤井を苦しめる。
部屋の中は時々風の音が聞こえる以外、痛みに耐える赤井の荒い息遣いだけが響いていた。