ペリドットとアンバー短編集
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「ね、ねえ蘭ちゃん……ホントに良かったのかな? 私達……」
さくらはなんともバツが悪そうに隣にいた蘭に問いかけた。
「え、ええ…多分…園子には『パーティーがあるから皆誘ってきてね』って言われてただけなんですけど…」
「鈴木財閥のパーティーってどうなってるの? 規模が違いすぎじゃない?」
二人は引きつった笑顔を浮かべ、会場を見回した。
ここは東都で1,2を争う有名ホテルのイベントホール。
大勢の人たちがドレスアップして豪華な食事を囲んでいる。テレビでよく見る有名人たちが、ここかしこでグラスを傾けていた。
「私もさっき聞いたんだけど……なんでも、鈴木財閥がスポンサーをしている某有名ブランドの新作お披露目パーティーなんですって」
同じく場違いなところに招待され、バツが悪そうな顔をした妃英理がさくらに話しかけた。
「はぁ、そんな華々しいパーティーにどうして私たちが……」
何とも言えない居心地悪さに、さくらは今日何度目かのため息を付いた。
きらびやかな会場には今、園子に招待された蘭、小五郎、英理、コナン、そしてさくらと昴が一つのテーブルを囲んでいる。
全員が園子に渡されたブランド服を着ていた。
「あ~! 蘭! おじさま! おばさま! それから昴さん、さくらさん、そしてガキンチョも! 今日はパーティーにようこそ。みんな良く似合っているわ!」
一際華やかなドレスを着た園子が、さくら達のいるテーブルへと駆けてきた。
「も~! 園子! パーティーに来てっていうから、もっとホームパーティーみたいなのを想像してたのに……。どういうことかちゃんと説明してよ!」
園子の耳元に顔を寄せ、ヒソヒソと蘭は耳打ちをする。
「あはは。ごめんなさいね。実は今日、新作ドレスのお披露目があるの。今年のテーマは《女性の美しさ》。いくつになってもその美しさを際立たせるドレスを発表するんですって。
10代、20代、30代。《年を取る》ではなく《年を重ねた》それぞれの美しさに合うドレスが用意されているのよ」
園子は新作ドレスについてスラスラと説明した。
「で、今回私の知り合いにそのドレスを着てもらおうって事になって…」
「「「え?」」」
園子の話を聞いていた6人のうち、女性陣の声が重なる。
「ちょちょ、ちょっと待って園子。今何て言ったの?」
「え? だから、それぞれの年齢に合うドレスをおばさまと蘭とさくらさんに着てもらって、皆さんに見てもらおうって――」
「スト———ップ!!!」
園子の説明を聞いてさくらが叫んだ。もちろん蘭も英理も、血の気の引いた顔をして固まっている。
「ちょっと待った! こんなにたくさん世の美女たちが揃っている中で、私たちが新作のドレスを着るですって?! あそこにはアメリカの有名女優! あっちには最近テレビで見ない日はない売れっ子モデル! さらに向こうには元フィギアスケーターのスレンダー美人がいるのに?! なんで?!」
さくらは驚きすぎて、まくし立てるように園子に詰め寄った。
「ま、まぁまぁ……さくらさん、落ち着いて。今回のコンセプトは女性の美しさって言ったでしょ? モデルが着る様な非日常の美しさではなく、ごく普通の女性の美しさを引き出すドレス。それが今回のメインなの。
だから、一般の人が着ることに意味があるんですって」
さくらに詰め寄られ、冷や汗を垂らしながら園子が今回のいきさつを説明した。
「だから、今回の新作はお手頃価格の物ばかりなんですよ。同窓会や結婚式、婚活パーティーとかね。一着で華やかな場にも、ちょっと落ち着いた場にも着ていける、そんな仕掛けもされているの」
説明をされれば「なるほど」と思うが、それでもなぜ自分達なんだと疑問は残る。
「そりゃ~仕方ねぇんじゃねぇか? 大事なスポンサーである鈴木財閥の《園子お嬢様》のお知り合いに白羽の矢が立ったんだろうよ。気を使ったんだろ」
お嬢さんに恥かかせんなよと、小五郎がトドメの一発を放つ。
(そう言われちゃったら断れないじゃない…)
女性陣に構うことなく豪華な料理に舌鼓を打つ小五郎を横目に、さくら達は大きなため息を付いた。
そのまま3人はバックヤードに連れて行かれた。
「やれやれ……女ってのは面倒くせぇな」
小五郎が頭を掻いている。
「まあ、でも彼女たちが新作ドレスを着てくるのは楽しみですね。どんな姿で現れるのかワクワクします」
昴がシャンパンを飲みながらフッと笑う。
「お前も見かけによらず…アレだな…」
小五郎はチラリと昴の顔を見たが、英理のドレス姿を想像して思わず顔が赤くなる。
(う~む…分からなくはねぇな…)
ポリポリと頬を掻く姿を見て、コナンは「おいおい…」と半目になった。
「それでは、今回の新作ドレスを発表致します」
ステージではブランドの代表が挨拶をしていたが、MCの言葉を皮切りにしてBGMがガラリと変わり、会場の照明が落とされた。
やがて新作のドレスを身にまとった3人が静かにステージに現れた。
薄ピンクのドレスを着た蘭は、ハイティーンらしい初々しさと瑞々しさが表現された可愛らしいドレスだった。控えめに開いた首元にはピンクゴールドのネックレスが光っている。腰元の大きなリボンが可愛らしさを演出し、子どもと大人のちょうど中間という曖昧さを、上手く表現していた。
続いて黒のレースを基調にしたドレスを着たさくらは、胸元が大胆に開き、そのデコルテの美しさと白い肌が映える。胸元の縁にはエンジの刺繍が施され、どこか異国の香りを漂わせていた。アップにした髪はわずかに後れ毛を残し、大人の色気を漂わせている。
アンバーの瞳が会場へと向けられると男性陣のため息が聞こえた。
続いて深緑色のサテンで作られたドレスを着た英理は、同色のリボンを首に巻き、肩を大胆に出している。裾が長く彼女の長い足をより強調していた。メガネを外した姿は美しく、背筋を伸ばして歩くだけでモデルにも引けを取らなかった。
『ちょ、ちょっと昴さん! マズくない?』
コナンは昴の手を引っ張り、昴が身を屈めると小さく耳打ちをした。
『会場の男の人たち…3人に釘付けだよ…』
『確かに…でも良いじゃないですか。自分の好きな人がキレイと言われるのは。悪い気はしないでしょう』
どことなく嬉しそうな昴とは裏腹に、コナンは心配げにつぶやく。
『この中の誰かにさくらさん取られちゃうかもよ?』
『ほ~ぉ。ボウヤは自分の彼女を信じられないのかい?』
自信ありげに耳打ちする昴は、口調がすっかり赤井だった。
「それでは3名の方にもう一度盛大な拍手をお願いいたします。ありがとうございました!」
そうこうしているうちに、MCがシメの挨拶をして、3人が深々と頭を下げる。
順番にステージを降りることになった。
コナン、小五郎、昴の3人は、蘭たちをエスコートするためにステージ下へと向かう。
「コナンくん! ありがとう」
「う、うん。蘭ねぇちゃんキレイだったよ」
蘭が階段を降りると小さなナイトがその手を取った。
「ふふ。お世辞でも嬉しいわ!」
本気にしてもらえずコナンは口を尖らせたが、お姫様のような蘭を間近で見てポッと顔が赤くなる。
「喉か湧いちゃったから何か飲もう」と言う蘭に連れられテーブルへと急いだ。
「あら、あなた。エスコートしてくださるの?」
次に降りてきた英理が嬉しそうに声をかける。
「あ、…ああ。足元…気を付けろよ…」
照れているのをごまかすように明後日の方を向き、小五郎が英理に手を差し伸べた。
「ふふふ。ありがとう」
まんざらでもない顔をして、英理がその手を取る。さすがは夫婦。その姿はとても落ち着いている。
「さて、私も喉が渇いたから何か一緒に飲みません?」
「ああ。そうだな」
手を繋いだまま、2人もテーブルへと戻っていった。
最後にさくらが階段を降りる。
「お疲れ様、さくら」
「昴さん!」
昴が伸ばした手をさくらが取ろうとした時、
「ちょっと待った」
それを制止する声が聞こえた。さくらは驚いて声のする方を見る。
すらりと背が高く目鼻すじの整った、いわゆるイケメンが立っていた。
「その役、僕に変わって頂けませんか?」
自分に自信があるのか、今まさに昴の手を取ろうとしているさくらを横目に、昴に向かって男は問いかけた。
さくらはなんともバツが悪そうに隣にいた蘭に問いかけた。
「え、ええ…多分…園子には『パーティーがあるから皆誘ってきてね』って言われてただけなんですけど…」
「鈴木財閥のパーティーってどうなってるの? 規模が違いすぎじゃない?」
二人は引きつった笑顔を浮かべ、会場を見回した。
ここは東都で1,2を争う有名ホテルのイベントホール。
大勢の人たちがドレスアップして豪華な食事を囲んでいる。テレビでよく見る有名人たちが、ここかしこでグラスを傾けていた。
「私もさっき聞いたんだけど……なんでも、鈴木財閥がスポンサーをしている某有名ブランドの新作お披露目パーティーなんですって」
同じく場違いなところに招待され、バツが悪そうな顔をした妃英理がさくらに話しかけた。
「はぁ、そんな華々しいパーティーにどうして私たちが……」
何とも言えない居心地悪さに、さくらは今日何度目かのため息を付いた。
きらびやかな会場には今、園子に招待された蘭、小五郎、英理、コナン、そしてさくらと昴が一つのテーブルを囲んでいる。
全員が園子に渡されたブランド服を着ていた。
「あ~! 蘭! おじさま! おばさま! それから昴さん、さくらさん、そしてガキンチョも! 今日はパーティーにようこそ。みんな良く似合っているわ!」
一際華やかなドレスを着た園子が、さくら達のいるテーブルへと駆けてきた。
「も~! 園子! パーティーに来てっていうから、もっとホームパーティーみたいなのを想像してたのに……。どういうことかちゃんと説明してよ!」
園子の耳元に顔を寄せ、ヒソヒソと蘭は耳打ちをする。
「あはは。ごめんなさいね。実は今日、新作ドレスのお披露目があるの。今年のテーマは《女性の美しさ》。いくつになってもその美しさを際立たせるドレスを発表するんですって。
10代、20代、30代。《年を取る》ではなく《年を重ねた》それぞれの美しさに合うドレスが用意されているのよ」
園子は新作ドレスについてスラスラと説明した。
「で、今回私の知り合いにそのドレスを着てもらおうって事になって…」
「「「え?」」」
園子の話を聞いていた6人のうち、女性陣の声が重なる。
「ちょちょ、ちょっと待って園子。今何て言ったの?」
「え? だから、それぞれの年齢に合うドレスをおばさまと蘭とさくらさんに着てもらって、皆さんに見てもらおうって――」
「スト———ップ!!!」
園子の説明を聞いてさくらが叫んだ。もちろん蘭も英理も、血の気の引いた顔をして固まっている。
「ちょっと待った! こんなにたくさん世の美女たちが揃っている中で、私たちが新作のドレスを着るですって?! あそこにはアメリカの有名女優! あっちには最近テレビで見ない日はない売れっ子モデル! さらに向こうには元フィギアスケーターのスレンダー美人がいるのに?! なんで?!」
さくらは驚きすぎて、まくし立てるように園子に詰め寄った。
「ま、まぁまぁ……さくらさん、落ち着いて。今回のコンセプトは女性の美しさって言ったでしょ? モデルが着る様な非日常の美しさではなく、ごく普通の女性の美しさを引き出すドレス。それが今回のメインなの。
だから、一般の人が着ることに意味があるんですって」
さくらに詰め寄られ、冷や汗を垂らしながら園子が今回のいきさつを説明した。
「だから、今回の新作はお手頃価格の物ばかりなんですよ。同窓会や結婚式、婚活パーティーとかね。一着で華やかな場にも、ちょっと落ち着いた場にも着ていける、そんな仕掛けもされているの」
説明をされれば「なるほど」と思うが、それでもなぜ自分達なんだと疑問は残る。
「そりゃ~仕方ねぇんじゃねぇか? 大事なスポンサーである鈴木財閥の《園子お嬢様》のお知り合いに白羽の矢が立ったんだろうよ。気を使ったんだろ」
お嬢さんに恥かかせんなよと、小五郎がトドメの一発を放つ。
(そう言われちゃったら断れないじゃない…)
女性陣に構うことなく豪華な料理に舌鼓を打つ小五郎を横目に、さくら達は大きなため息を付いた。
そのまま3人はバックヤードに連れて行かれた。
「やれやれ……女ってのは面倒くせぇな」
小五郎が頭を掻いている。
「まあ、でも彼女たちが新作ドレスを着てくるのは楽しみですね。どんな姿で現れるのかワクワクします」
昴がシャンパンを飲みながらフッと笑う。
「お前も見かけによらず…アレだな…」
小五郎はチラリと昴の顔を見たが、英理のドレス姿を想像して思わず顔が赤くなる。
(う~む…分からなくはねぇな…)
ポリポリと頬を掻く姿を見て、コナンは「おいおい…」と半目になった。
「それでは、今回の新作ドレスを発表致します」
ステージではブランドの代表が挨拶をしていたが、MCの言葉を皮切りにしてBGMがガラリと変わり、会場の照明が落とされた。
やがて新作のドレスを身にまとった3人が静かにステージに現れた。
薄ピンクのドレスを着た蘭は、ハイティーンらしい初々しさと瑞々しさが表現された可愛らしいドレスだった。控えめに開いた首元にはピンクゴールドのネックレスが光っている。腰元の大きなリボンが可愛らしさを演出し、子どもと大人のちょうど中間という曖昧さを、上手く表現していた。
続いて黒のレースを基調にしたドレスを着たさくらは、胸元が大胆に開き、そのデコルテの美しさと白い肌が映える。胸元の縁にはエンジの刺繍が施され、どこか異国の香りを漂わせていた。アップにした髪はわずかに後れ毛を残し、大人の色気を漂わせている。
アンバーの瞳が会場へと向けられると男性陣のため息が聞こえた。
続いて深緑色のサテンで作られたドレスを着た英理は、同色のリボンを首に巻き、肩を大胆に出している。裾が長く彼女の長い足をより強調していた。メガネを外した姿は美しく、背筋を伸ばして歩くだけでモデルにも引けを取らなかった。
『ちょ、ちょっと昴さん! マズくない?』
コナンは昴の手を引っ張り、昴が身を屈めると小さく耳打ちをした。
『会場の男の人たち…3人に釘付けだよ…』
『確かに…でも良いじゃないですか。自分の好きな人がキレイと言われるのは。悪い気はしないでしょう』
どことなく嬉しそうな昴とは裏腹に、コナンは心配げにつぶやく。
『この中の誰かにさくらさん取られちゃうかもよ?』
『ほ~ぉ。ボウヤは自分の彼女を信じられないのかい?』
自信ありげに耳打ちする昴は、口調がすっかり赤井だった。
「それでは3名の方にもう一度盛大な拍手をお願いいたします。ありがとうございました!」
そうこうしているうちに、MCがシメの挨拶をして、3人が深々と頭を下げる。
順番にステージを降りることになった。
コナン、小五郎、昴の3人は、蘭たちをエスコートするためにステージ下へと向かう。
「コナンくん! ありがとう」
「う、うん。蘭ねぇちゃんキレイだったよ」
蘭が階段を降りると小さなナイトがその手を取った。
「ふふ。お世辞でも嬉しいわ!」
本気にしてもらえずコナンは口を尖らせたが、お姫様のような蘭を間近で見てポッと顔が赤くなる。
「喉か湧いちゃったから何か飲もう」と言う蘭に連れられテーブルへと急いだ。
「あら、あなた。エスコートしてくださるの?」
次に降りてきた英理が嬉しそうに声をかける。
「あ、…ああ。足元…気を付けろよ…」
照れているのをごまかすように明後日の方を向き、小五郎が英理に手を差し伸べた。
「ふふふ。ありがとう」
まんざらでもない顔をして、英理がその手を取る。さすがは夫婦。その姿はとても落ち着いている。
「さて、私も喉が渇いたから何か一緒に飲みません?」
「ああ。そうだな」
手を繋いだまま、2人もテーブルへと戻っていった。
最後にさくらが階段を降りる。
「お疲れ様、さくら」
「昴さん!」
昴が伸ばした手をさくらが取ろうとした時、
「ちょっと待った」
それを制止する声が聞こえた。さくらは驚いて声のする方を見る。
すらりと背が高く目鼻すじの整った、いわゆるイケメンが立っていた。
「その役、僕に変わって頂けませんか?」
自分に自信があるのか、今まさに昴の手を取ろうとしているさくらを横目に、昴に向かって男は問いかけた。