ペリドットとアンバー短編集
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平日夕方。
珍しくコナンが一人で工藤邸にやってきた。その顔は僅かばかり緊張しているように見える。
そろそろ夕飯の準備をしようと思っていた昴は、不思議そうに声をかけた。
「こんな時間に珍しいですね。どうしました?」
「うん…実は…相談したいことがあって…」
視線を泳がせ、歯切れが悪い。
小さな名探偵の相談ごと? 頭脳明晰なこのボウヤが自分に相談とは——。
昴は興味津々だ。
「まずはお茶でも淹れましょうか」
昴はそう声を掛け、二人はダイニングへと移動した。
「で、どんな相談ですか?」
昴はコナンにカフェオレを。自分にはブラックコーヒーを淹れて訊ねた。
「えっと…その…」
昴は口ごもるコナンを見て、コーヒーカップに手を伸ばす。
彼が自分から話し始めるのを、淹れたばかりコーヒを飲みながらジッと待つことにした。
「ふ~~~~」
やがてコナンが大きく息を吐く。
決心がついたかのように顔を上げるとようやく口を開いた。
「昴さん。昴さんはさくらさんをどうやって口説いたの?」
「え??」
散々待たされた挙句、飛び出した質問に正直驚いた。
(一体ボウヤは何を企んでいるんだ?)
昴は眉を顰め、何かを伺うかのようにコナンを見る。
怪訝そうな顔をする昴を見て、コナンは僅かばかり口元を緩めた。
「ごめん。性急すぎたね。順を追って話すよ」
コナンはそう言うと、今回の相談に至るまでの経緯を昴に話した。
「なるほど。蘭さんに想いを告げたものの、その後どう接して良いのか分からない……という事ですか」
「う、うん。返事……貰ってないし」
「え? そうなんですか?」
イギリスで告白した。だが、結局返事をもらえずじまいだった。蘭が自分をどう思っているのか。それがハッキリと分からないまま、時間だけが過ぎる。うやむやな状態が辛い。
このまま返事を待ち続けた方が良いのか。
それとも返事を催促すべきか。
考えれば考えるほど分からなくなっていた。
かくなる上は、《大人の恋人同士》にご教授頂くしかないと思い至った。
赤井が《コナン=新一》だと気付いている事は、分かっていた。
教えたつもりはなかったが、これだけ頻繁に顔を合わせている。頭の良い赤井が気付かぬはずはない。現にそれを匂わすような言動を赤井は取っている。
ならば。
自分の正体を知る数少ない人物だ。
他の人には絶対相談できないことを相談しよう。そう心に決めて今日はココへ来たのだ。
「昴さん。昴さんの恋バナを聞かせて欲しいんだ」
「私たちの恋バナが、コナンくんの参考になるとは思いませんが……」
「それでもいい。何かヒントになるかもしれないし」
コナンは両手を合わせ、拝む様に頼んだ。
「ふ~。わかりました。でも、目新しいことは何も無いですよ。
彼女に初めて会ったのはマレーシア。ケンバリから彼女を連れて帰った時です。
あとは組織の任務で何度か会ったことがあるくらい。スコッチの死の時にも顔を合わせていました。
その後は私が組織を離脱して、2年ほど会っていません。
再会したのが6月のスーパー。コナンくんもそこに居合わせていたでしょう?」
「うん。そうだったね。でも、昴さんの正体はいつどうやって明かしたの?」
コナンは当時の事を思い出しながら問いかけた。
「確か、博士の家にいた頃って、さくらさん熱を出して相当具合が悪かった時だよね?」
昴はアゴに手を当て、当時の事に思いを巡らす。
「ああ。その時は確か……『博士たちの迷惑になるから』と、熱が下がってすぐ、さくらが阿笠邸から抜け出そうとしたんですよ。
私はその事を予想していましたから、夜彼女が外に出たところを捕まえたんです。赤井の姿で」
「そりゃまた…大胆なカミングアウトだね…」
死んだと思っていた人物が目の前に現れたのだ。自分だったら腰を抜かすかもしれない。
「さくらさん、相当驚いたでしょ」
「ええ。不意打ちにキスが出来たくらいには」
「ええっ!?」
赤井の大胆な行動に、コナンは素っ頓狂な声を上げた。
「あまりにもカワイイ反応だったので、つい」
「ついって……赤井さんってそんなキャラだったっけ?」
「誰彼構わずキスする人間では無いですよ?」
「だ、だよね!」
コナンは早鐘のように打つ自分の胸に手を当てた。これ以上恋バナを聞いて、自分の心臓がもつかな……。コナンは少々心配になった。
「そ、それで…?二人はいつ気持ちを伝えあったの? どっちから言ったの?」
カフェオレを飲みながら、とりあえず自分の参考になりそうな事を質問してみた。
「愛してると伝えたのは…確か私からだったと思います。体の関係を持った直後に」
「ぶーーーーーッ!!!」
コナンは盛大にカフェオレを吹いた。
「こ、コナンくん! 大丈夫ですか?」
昴がすぐに布巾を取ってくれた。
「す、昴さん。それ順番違うでしょ! 普通気持ちを伝えてから…じゃないの?」
「まあ、普通だったらそうなんでしょうけど……。お互い危険に身を置く立場。恋愛感情は、時に自身のウィークポイントにもなります。
ですから、気持ちを伝えることに慎重になっていた…というのはありますね。
しかし頭では分かっていても、心が惹かれ合う事を止めることが出来なかった。
自分の心に嘘をついて気付かぬフリをした分、抑えが効かなくなった時には自分自身どうすることも出来なかったですよ。
結果的に気持ちを伝えるのが後になってしまったというわけです」
昴の言葉にコナンは思わず下を向いた。
気持ちを伝えるという事は、そこに並々ならぬ覚悟があったことを知る。
「じゃ、じゃあさ、昴さんの姿をしている時と、赤井さんの姿の時と、どうしているの?」
姿は違えど同一人物。それは自分も同じ。
もちろんコナンと新一は、見かけはほぼ一緒。ただ年齢がかなり違う。
赤井&昴とでは状況が違うが——。まあ参考までに聞いておこう。
「昴の時はキスはさせてくれますが、それ以上はさせてくれません。『自分を抱くのは赤井』だと、頑なですよ」
確かに姿が違う人に抱かれるのは、浮気をしているような気分になりそうだ。さくらの気持ちは理解できる。
「私は昴の時でも構わないのですが」
(いや、それはダメだろ! 昴さんは自分の顔が見えないから良いけど。分かってやれよ!)
コナンは心の中で突っ込んだ。
「す、昴さんは英国紳士っぽく優しくリードするタイプ? それともアメリカ人っぽくガツガツ行くタイプ?」
姿は小1でも中身は思春期男子。当然…興味は…ある。
「それは…かなり偏見があるように思えるが……」
コナンの問いかけに昴がニヤリと笑った。
「以前は、君が言うところの英国紳士に近い方だったと思う。
だがさくらには……抑制が効かないんだ。
愛おしいとは思う。誰よりも何よりも大切にしたいと強く思う。だがいざ彼女を前にすると、それ以上に独占欲が強くなるんだ。
自分の手ですべてを暴いて、抱きしめて、誰にも触れさせず、自分だけのものにしたい——。そう思ってしまう」
昴は両眼を開く。その瞳の中には鋭さと共に妖しい《欲》が垣間見えた。
コナンは思わずゴクリと唾をのみ込んだ。
動揺するコナンを見て、昴はハッと我に返る。すぐに優しく微笑んだ。
「未成年の君に話す内容では無かったですね」
コーヒーカップを手に取り、一口飲んだ。
それにつられて、コナンも上目遣いに昴の顔を見ながらカフェオレをすすった。
赤井の《男としての欲》を初めて間近で見た。ドキドキと鼓動が速くなる。
そんなにも人を愛せる事に、羨ましいとさえ思ってしまう。
昴が言うように恋愛感情は、時にウィークポイントにもなる。しかしそれ以上にパワーを与え、お互いの心を癒し合えるのも事実だ。
赤井とさくらは、きっとそれに賭けたんだ。
二人が《愛している》と伝えあうまでに費やした時間と葛藤は、決して少なくはない。
二人は常に危険と隣り合わせ。
悩んで、悩んで、悩みぬいて。
かつての約束を。彼女の心を。そのすべてを守ると決めた。
赤井の覚悟にコナンは感服した。
「やっぱ赤井さん。すげーや」
こんな男になりたい。
コナンはそう強く思った。
「昴さん。オレ、信じて返事を待つことにするよ。アイツの事が大好きだ~って気持ちを大切にしながら」
「そうですか。きっといい返事が届きますよ。もしかしたら、すでに彼女の態度の中に『君を好きだ』という気持ちが、溢れているかもしれませんけど」
昴の言葉に思い当たる節があるような…無いような。
「そうだと良いな」
コナンは照れ臭そうに下を向いた。
==おまけ==
その週の土曜日。
博士の家に遊びに来ていたコナンを、さくらが呼び止めた。
「ねえ、コナンくん。今週昴さんと会った?」
「え? う、うん。つい数日前に。最近顔見てなかったから元気かな~って」
「そ、そう。じゃあさ、その時……なんか変わったこと無かった?」
「え…っ…な、無かったと思う。けど…何でそんな事を?」
「い、いえ…別になんでもない、けど…」
「そ、そう…。な、なら良いけど……」
二人とも目を泳がせて、そわそわしながら返事をした。
(さすがに昨日の秀一さんがいつもより……ゴホン。小学生に言えない……)
(二人の恋バナ聞いたなんて言えないよ……。しかもかなり大人な話だったし……おかげで話の内容が頭から離れねーよ)
二人は顔を真っ赤にしながら心の中で呟いた。
「おや? 二人ともどうしたんです?顔が赤いですよ?」
(昴さんのせい(でしょっ)(だろっ)! (私の)(オレの)もやもやも知らないで…!)
と、心の中で二人は総ツッコミをしたのだった。
珍しくコナンが一人で工藤邸にやってきた。その顔は僅かばかり緊張しているように見える。
そろそろ夕飯の準備をしようと思っていた昴は、不思議そうに声をかけた。
「こんな時間に珍しいですね。どうしました?」
「うん…実は…相談したいことがあって…」
視線を泳がせ、歯切れが悪い。
小さな名探偵の相談ごと? 頭脳明晰なこのボウヤが自分に相談とは——。
昴は興味津々だ。
「まずはお茶でも淹れましょうか」
昴はそう声を掛け、二人はダイニングへと移動した。
「で、どんな相談ですか?」
昴はコナンにカフェオレを。自分にはブラックコーヒーを淹れて訊ねた。
「えっと…その…」
昴は口ごもるコナンを見て、コーヒーカップに手を伸ばす。
彼が自分から話し始めるのを、淹れたばかりコーヒを飲みながらジッと待つことにした。
「ふ~~~~」
やがてコナンが大きく息を吐く。
決心がついたかのように顔を上げるとようやく口を開いた。
「昴さん。昴さんはさくらさんをどうやって口説いたの?」
「え??」
散々待たされた挙句、飛び出した質問に正直驚いた。
(一体ボウヤは何を企んでいるんだ?)
昴は眉を顰め、何かを伺うかのようにコナンを見る。
怪訝そうな顔をする昴を見て、コナンは僅かばかり口元を緩めた。
「ごめん。性急すぎたね。順を追って話すよ」
コナンはそう言うと、今回の相談に至るまでの経緯を昴に話した。
「なるほど。蘭さんに想いを告げたものの、その後どう接して良いのか分からない……という事ですか」
「う、うん。返事……貰ってないし」
「え? そうなんですか?」
イギリスで告白した。だが、結局返事をもらえずじまいだった。蘭が自分をどう思っているのか。それがハッキリと分からないまま、時間だけが過ぎる。うやむやな状態が辛い。
このまま返事を待ち続けた方が良いのか。
それとも返事を催促すべきか。
考えれば考えるほど分からなくなっていた。
かくなる上は、《大人の恋人同士》にご教授頂くしかないと思い至った。
赤井が《コナン=新一》だと気付いている事は、分かっていた。
教えたつもりはなかったが、これだけ頻繁に顔を合わせている。頭の良い赤井が気付かぬはずはない。現にそれを匂わすような言動を赤井は取っている。
ならば。
自分の正体を知る数少ない人物だ。
他の人には絶対相談できないことを相談しよう。そう心に決めて今日はココへ来たのだ。
「昴さん。昴さんの恋バナを聞かせて欲しいんだ」
「私たちの恋バナが、コナンくんの参考になるとは思いませんが……」
「それでもいい。何かヒントになるかもしれないし」
コナンは両手を合わせ、拝む様に頼んだ。
「ふ~。わかりました。でも、目新しいことは何も無いですよ。
彼女に初めて会ったのはマレーシア。ケンバリから彼女を連れて帰った時です。
あとは組織の任務で何度か会ったことがあるくらい。スコッチの死の時にも顔を合わせていました。
その後は私が組織を離脱して、2年ほど会っていません。
再会したのが6月のスーパー。コナンくんもそこに居合わせていたでしょう?」
「うん。そうだったね。でも、昴さんの正体はいつどうやって明かしたの?」
コナンは当時の事を思い出しながら問いかけた。
「確か、博士の家にいた頃って、さくらさん熱を出して相当具合が悪かった時だよね?」
昴はアゴに手を当て、当時の事に思いを巡らす。
「ああ。その時は確か……『博士たちの迷惑になるから』と、熱が下がってすぐ、さくらが阿笠邸から抜け出そうとしたんですよ。
私はその事を予想していましたから、夜彼女が外に出たところを捕まえたんです。赤井の姿で」
「そりゃまた…大胆なカミングアウトだね…」
死んだと思っていた人物が目の前に現れたのだ。自分だったら腰を抜かすかもしれない。
「さくらさん、相当驚いたでしょ」
「ええ。不意打ちにキスが出来たくらいには」
「ええっ!?」
赤井の大胆な行動に、コナンは素っ頓狂な声を上げた。
「あまりにもカワイイ反応だったので、つい」
「ついって……赤井さんってそんなキャラだったっけ?」
「誰彼構わずキスする人間では無いですよ?」
「だ、だよね!」
コナンは早鐘のように打つ自分の胸に手を当てた。これ以上恋バナを聞いて、自分の心臓がもつかな……。コナンは少々心配になった。
「そ、それで…?二人はいつ気持ちを伝えあったの? どっちから言ったの?」
カフェオレを飲みながら、とりあえず自分の参考になりそうな事を質問してみた。
「愛してると伝えたのは…確か私からだったと思います。体の関係を持った直後に」
「ぶーーーーーッ!!!」
コナンは盛大にカフェオレを吹いた。
「こ、コナンくん! 大丈夫ですか?」
昴がすぐに布巾を取ってくれた。
「す、昴さん。それ順番違うでしょ! 普通気持ちを伝えてから…じゃないの?」
「まあ、普通だったらそうなんでしょうけど……。お互い危険に身を置く立場。恋愛感情は、時に自身のウィークポイントにもなります。
ですから、気持ちを伝えることに慎重になっていた…というのはありますね。
しかし頭では分かっていても、心が惹かれ合う事を止めることが出来なかった。
自分の心に嘘をついて気付かぬフリをした分、抑えが効かなくなった時には自分自身どうすることも出来なかったですよ。
結果的に気持ちを伝えるのが後になってしまったというわけです」
昴の言葉にコナンは思わず下を向いた。
気持ちを伝えるという事は、そこに並々ならぬ覚悟があったことを知る。
「じゃ、じゃあさ、昴さんの姿をしている時と、赤井さんの姿の時と、どうしているの?」
姿は違えど同一人物。それは自分も同じ。
もちろんコナンと新一は、見かけはほぼ一緒。ただ年齢がかなり違う。
赤井&昴とでは状況が違うが——。まあ参考までに聞いておこう。
「昴の時はキスはさせてくれますが、それ以上はさせてくれません。『自分を抱くのは赤井』だと、頑なですよ」
確かに姿が違う人に抱かれるのは、浮気をしているような気分になりそうだ。さくらの気持ちは理解できる。
「私は昴の時でも構わないのですが」
(いや、それはダメだろ! 昴さんは自分の顔が見えないから良いけど。分かってやれよ!)
コナンは心の中で突っ込んだ。
「す、昴さんは英国紳士っぽく優しくリードするタイプ? それともアメリカ人っぽくガツガツ行くタイプ?」
姿は小1でも中身は思春期男子。当然…興味は…ある。
「それは…かなり偏見があるように思えるが……」
コナンの問いかけに昴がニヤリと笑った。
「以前は、君が言うところの英国紳士に近い方だったと思う。
だがさくらには……抑制が効かないんだ。
愛おしいとは思う。誰よりも何よりも大切にしたいと強く思う。だがいざ彼女を前にすると、それ以上に独占欲が強くなるんだ。
自分の手ですべてを暴いて、抱きしめて、誰にも触れさせず、自分だけのものにしたい——。そう思ってしまう」
昴は両眼を開く。その瞳の中には鋭さと共に妖しい《欲》が垣間見えた。
コナンは思わずゴクリと唾をのみ込んだ。
動揺するコナンを見て、昴はハッと我に返る。すぐに優しく微笑んだ。
「未成年の君に話す内容では無かったですね」
コーヒーカップを手に取り、一口飲んだ。
それにつられて、コナンも上目遣いに昴の顔を見ながらカフェオレをすすった。
赤井の《男としての欲》を初めて間近で見た。ドキドキと鼓動が速くなる。
そんなにも人を愛せる事に、羨ましいとさえ思ってしまう。
昴が言うように恋愛感情は、時にウィークポイントにもなる。しかしそれ以上にパワーを与え、お互いの心を癒し合えるのも事実だ。
赤井とさくらは、きっとそれに賭けたんだ。
二人が《愛している》と伝えあうまでに費やした時間と葛藤は、決して少なくはない。
二人は常に危険と隣り合わせ。
悩んで、悩んで、悩みぬいて。
かつての約束を。彼女の心を。そのすべてを守ると決めた。
赤井の覚悟にコナンは感服した。
「やっぱ赤井さん。すげーや」
こんな男になりたい。
コナンはそう強く思った。
「昴さん。オレ、信じて返事を待つことにするよ。アイツの事が大好きだ~って気持ちを大切にしながら」
「そうですか。きっといい返事が届きますよ。もしかしたら、すでに彼女の態度の中に『君を好きだ』という気持ちが、溢れているかもしれませんけど」
昴の言葉に思い当たる節があるような…無いような。
「そうだと良いな」
コナンは照れ臭そうに下を向いた。
==おまけ==
その週の土曜日。
博士の家に遊びに来ていたコナンを、さくらが呼び止めた。
「ねえ、コナンくん。今週昴さんと会った?」
「え? う、うん。つい数日前に。最近顔見てなかったから元気かな~って」
「そ、そう。じゃあさ、その時……なんか変わったこと無かった?」
「え…っ…な、無かったと思う。けど…何でそんな事を?」
「い、いえ…別になんでもない、けど…」
「そ、そう…。な、なら良いけど……」
二人とも目を泳がせて、そわそわしながら返事をした。
(さすがに昨日の秀一さんがいつもより……ゴホン。小学生に言えない……)
(二人の恋バナ聞いたなんて言えないよ……。しかもかなり大人な話だったし……おかげで話の内容が頭から離れねーよ)
二人は顔を真っ赤にしながら心の中で呟いた。
「おや? 二人ともどうしたんです?顔が赤いですよ?」
(昴さんのせい(でしょっ)(だろっ)! (私の)(オレの)もやもやも知らないで…!)
と、心の中で二人は総ツッコミをしたのだった。