ペリドットとアンバー短編集
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「まあまあ秀一さん…良いじゃないの。こんなにたくさん来るとは思っていなくて…あまり量は無いけど。良かったら皆さんもどうぞ!」
りおは嫌な顔一つせず、同僚たちを中へ招き入れた。
「ほら! さくらは優しいし大人だわ!」
やったね! と嬉しそうにジョディは靴を脱いで上がり込む。同僚たちもそれを真似して靴を脱ぐと中へと入っていった。
やっと気持ちを落ち着けた赤井がダイニングに入ると、同僚たちはめいめい小皿を持ち、サラダやフライを食べている。
りおが機転を利かせてフライや角煮を小さく切り分け、全員に回るようにしていた。
「Wow! こんな美味いもの初めて食べた!」
「このフライ、何のフライだ? すっげぇ美味い」
「このスープ、ホテルの和食より美味いなぁ。何が入ってるんだ?」
「甘酸っぱい野菜…なかなかイケる!」
「このドレッシング掛けて食ってみろよ! サラダ激ウマだぞ!」
同僚たちは美味しそうに料理を頬張っている。食いっぱぐれないようにと、キャメルも慌ててその輪に入っていく。
赤井はやれやれとその様子を見ていた。
食のいい大人が勢ぞろいしただけあって、30分もしないうちにりおの料理はキレイに無くなった。
その後は同僚たちが持ち込んだ手土産も並べられ、それもみんなで食べたので本当にキレイサッパリ! 食べ物は無くなった。
美味しい手料理を堪能し、その場にいる全員が満足げな顔をしている。
たった一人を除いては。
「おい、シュウ。なんでお前だけそんな不機嫌な顔してるんだよ」
同僚の一人が赤井に声をかけた。
「別に不機嫌なんかじゃないさ。ただ、りおが朝から休みなしで用意してたんだ。もう少し味わって食って欲しかったな、と思っただけさ」
りおが食べ終わった皿を少しずつ片付け始めたのを見て、赤井は同僚から離れて手伝いに行く。
足早に去っていく赤井を、同僚はやや険しい顔で見送った。
「りお…すまなかったな。せっかく色々用意してくれたのに…」
赤井は申し訳なさそうにりおに声をかけた。
「え? 全然気にしてないよ? むしろ美味しい美味しいって食べてもらえて嬉しかったわ。こんな事なら、もっと作ればよかったね」
ニコニコしながらキレイに空いた皿を手に取る。
片付けは私がやるから、みんなに美味しいコーヒーでも淹れてあげてと言われ、赤井は同僚たちをリビングへと連れて行く。
キャメルも赤井に声をかけられ、二人でコーヒーの準備を始めた。
コーヒーが全員に渡り、「シュウが淹れたコーヒーだぞ!」とFBIの面々は感慨深げに味わう。
同僚たちの満足げな表情を見て、赤井もようやく溜飲が下がり、自身もカップに口を付けた。
「ところでシュウ…あの子がお前のAngel(恋人)なのか?」
先ほどの同僚、ブライアンが再び声をかけてきた。
「ああ」
チラリと視線を向けただけで、コーヒーを飲みながら赤井は答えた。
「あんな美人で料理が上手い恋人がいたら、毎日Happyだな。俺らはしがないホテル暮らし。羨ましいよ」
あまり反応を示さない赤井をよそに、ブライアンは話し続ける。
「しかもスタイルも良いしなぁ……。毎夜ベッドの中でもかわいがってやってるんだろ?」
同僚の無遠慮な言いように、赤井はギロリと睨みつけた。
「一晩だけで良いからさぁ、あの子俺に貸してよ。シュウとヤるより良い思いをさせてやる自信、あるからさ!」
ガチャンッ!
突然コーヒーカップが倒れる音がして、みんな何事かと振り向いた。その直後、赤井の怒声が響く。
「貴様ッ! もう一度言ってみろッ!!」
「え!? ちょ、ちょっとシュウッ! 何事?」
ジョディが振り返った時、赤井はブライアンの胸ぐらを掴み、今にも殴り掛かりそうだった。
しかし、胸ぐらを掴まれたブライアンはニヤニヤしたまま悪びれる様子もない。それが余計に赤井の怒りを買った。
一発殴らないと気が済まない。赤井は左の拳を振り上げた。
「秀一さん!」
「ッ!」
りおの声に赤井の拳がピタリと止まる。同僚たちの視線がりおに集まった。
りおはツカツカとリビングの中に入る。
二人に近づくと振り上げた赤井の拳を優しく握り、そっと下げさせた。胸ぐらを掴んだ赤井の右手にも触れてそれを外させると、ブライアンの服を整え始める。
掴まれたことでグチャッとしわが寄った服を、りおは丁寧に伸ばした。
「ブライアンさん、ごめんなさいね」
服が整うとりおはブライアンの顔を見上げ、笑顔で謝った。それを見ていた赤井は、納得いかない顔をしている。
「りおッ! そいつはお前を侮辱し……」
「秀一さん、待って。ブライアンさんの話を聞きましょ」
赤井の言葉を制するように、りおが声をかける。
「この娘さんには敵わないね」
ブライアンは小さくため息をつき、苦笑いした。
「シュウ、お前……この子の事になると冷静な判断が出来なくなるな。普段のお前なら、俺がこの程度煽っても挑発には乗ってこないのに」
真顔になったブライアンは赤井をまっすぐ見つめた。
「死神に取りつかれたような顔をしていたお前が、そうやって笑顔を見せて楽しそうにしている。同僚としては嬉しい限りだよ。
ただちょっと……お前の持ち味でもある鋭さとか厳格さを欠いているようにも見えたんだ。だから、少しお灸をすえてやろうと思ってな……」
ブライアンは口角を上げ微笑む。
「まあ、掴みかかって来た時の目を見て、別に鈍っているわけじゃないと分かった。安心したよ。癇に障るようなことを言って悪かった」
そう言うと、ブライアンは頭を下げた。
「ね! ちゃんと話を聞かなきゃその人の真意は分からないでしょ?」
りおは赤井の方を向きニッコリ微笑む。当の赤井はムッとしたまま、分が悪そうに二人から視線を逸らした。
「ブライアンさん。彼の事を気にかけてくれてありがとうございます。
私たちは国籍も、所属する警察組織も違う。今は一緒に暮らしていますが、この先どうなるかは分かりません。
あなたのような方が同僚にいらっしゃる事はとても心強いです。これからも彼をよろしくお願いします」
りおはブライアンに向かい、深々と頭を下げた。
それを見て、ブライアンはくすぐったそうに人差し指で鼻の下を擦る。
「お前のAngelはよくできた女だな!」
満面の笑みでブライアンは赤井に声をかけた。
「当たり前だ!」
バツが悪そうに——しかし当然だと言いたげに、赤井はブライアンに対して返事をした。
そして、小さく「すまなかった」とつぶやく。
「つくづくお前は不器用な男だよ」
ブライアンは豪快に笑うと、赤井を羽交い絞めにした。
それを見ていた他の同僚たちも二人の元へ歩み寄り、茶化すように声をかける。
その様子をりおは嬉しそうに見つめていた。
帰り際——
同僚たちが玄関で靴を履いて工藤邸を出る時、ブライアンは見送りに出ていた赤井にそっと耳打ちをする。
『お前のAngelの人柄も、料理の腕も見せてもらって今日は良い一日だった。そのお礼に一つ教えてやる。彼女の手、少し荒れてるぞ。ハンドクリームでもプレゼントしてやれ』
「!?」
赤井が驚いているうちにブライアンは「Bye~!」と言って工藤邸を出て行く。
最後にジョディが「さくら~! ご馳走様!」とウインクをし、キャメルが申し訳なさそうに何度も頭を下げながら玄関を出て行った。
ガチャン、とドアが閉まった途端、嵐が去ったように工藤邸は静かになった。
「ふぅ~。なんか慌ただしかったけど……楽しかったね」
りおは赤井の顔を見上げてニッコリ笑った。
「あ、ああ。お前にみっともないところを見せてしまって……その、すまなかった」
笑顔のりおとは対照的に、赤井の顔はシュンとしていて、まるで怒られた犬のようだ。
「良いの良いの。ああいう秀一さんも私は見たいの。あなたはロボットじゃないんだから」
さ~て、コーヒーカップ洗っちゃおう! と伸びをしながらリビングに向かうりおの手を、赤井はチラリと盗み見る。
(確かに…少し荒れてるな…)
近いうちにハンドクリームを買いに行こうと決めた赤井だった。
==おまけ==
「おい、ブライアン! お前、よくあのシュウを煽るようなこと言ったなぁ」
「だってアイツ、あの子の作った料理『もっと味わって食え』とか言ってさぁ。甲斐甲斐しく洗い物まで手伝ってる姿は《FBIきっての凄腕スナイパー》とかけ離れすぎだろ」
「その《凄腕スナイパー》は彼女に関しては盲目だからね! 撃ち殺されないように気を付けなさいよ!」
ジョディはブライアンに釘を刺す。
「おいおい、撃ち殺すだなんて大げさな……」
おどけて言いつつも、ブライアンの顔からサーッと血の気が引いた。
「大げさなんかじゃないわよ。さくらの事となるとシュウは周りが見えなくなるわ。まあ、それをちゃんとさくらがフォローしてるし、さくらの足りないところはシュウがフォローしているのよ」
お似合いのカップルよね、とジョディが笑う。
「へ、へ~ぇ。そんな相手、俺も欲しいなぁ……」
ブライアンは尚も強がってみせる。
「間違ってもさくらに手を出しちゃダメよ。ホントに撃ち殺されるわ」
「それには私も激しく同意します」
うん、うん、と真顔でうなずくキャメルを見て、その場にいた同僚たちの顔色もサッと変わる。
「絶っ対! 手なんて出しません‼」
今回の件でFBIのメンバーたちは、恋愛に関して赤井秀一を敵に回すと【命が無くなる】ということを学習したのだった。
りおは嫌な顔一つせず、同僚たちを中へ招き入れた。
「ほら! さくらは優しいし大人だわ!」
やったね! と嬉しそうにジョディは靴を脱いで上がり込む。同僚たちもそれを真似して靴を脱ぐと中へと入っていった。
やっと気持ちを落ち着けた赤井がダイニングに入ると、同僚たちはめいめい小皿を持ち、サラダやフライを食べている。
りおが機転を利かせてフライや角煮を小さく切り分け、全員に回るようにしていた。
「Wow! こんな美味いもの初めて食べた!」
「このフライ、何のフライだ? すっげぇ美味い」
「このスープ、ホテルの和食より美味いなぁ。何が入ってるんだ?」
「甘酸っぱい野菜…なかなかイケる!」
「このドレッシング掛けて食ってみろよ! サラダ激ウマだぞ!」
同僚たちは美味しそうに料理を頬張っている。食いっぱぐれないようにと、キャメルも慌ててその輪に入っていく。
赤井はやれやれとその様子を見ていた。
食のいい大人が勢ぞろいしただけあって、30分もしないうちにりおの料理はキレイに無くなった。
その後は同僚たちが持ち込んだ手土産も並べられ、それもみんなで食べたので本当にキレイサッパリ! 食べ物は無くなった。
美味しい手料理を堪能し、その場にいる全員が満足げな顔をしている。
たった一人を除いては。
「おい、シュウ。なんでお前だけそんな不機嫌な顔してるんだよ」
同僚の一人が赤井に声をかけた。
「別に不機嫌なんかじゃないさ。ただ、りおが朝から休みなしで用意してたんだ。もう少し味わって食って欲しかったな、と思っただけさ」
りおが食べ終わった皿を少しずつ片付け始めたのを見て、赤井は同僚から離れて手伝いに行く。
足早に去っていく赤井を、同僚はやや険しい顔で見送った。
「りお…すまなかったな。せっかく色々用意してくれたのに…」
赤井は申し訳なさそうにりおに声をかけた。
「え? 全然気にしてないよ? むしろ美味しい美味しいって食べてもらえて嬉しかったわ。こんな事なら、もっと作ればよかったね」
ニコニコしながらキレイに空いた皿を手に取る。
片付けは私がやるから、みんなに美味しいコーヒーでも淹れてあげてと言われ、赤井は同僚たちをリビングへと連れて行く。
キャメルも赤井に声をかけられ、二人でコーヒーの準備を始めた。
コーヒーが全員に渡り、「シュウが淹れたコーヒーだぞ!」とFBIの面々は感慨深げに味わう。
同僚たちの満足げな表情を見て、赤井もようやく溜飲が下がり、自身もカップに口を付けた。
「ところでシュウ…あの子がお前のAngel(恋人)なのか?」
先ほどの同僚、ブライアンが再び声をかけてきた。
「ああ」
チラリと視線を向けただけで、コーヒーを飲みながら赤井は答えた。
「あんな美人で料理が上手い恋人がいたら、毎日Happyだな。俺らはしがないホテル暮らし。羨ましいよ」
あまり反応を示さない赤井をよそに、ブライアンは話し続ける。
「しかもスタイルも良いしなぁ……。毎夜ベッドの中でもかわいがってやってるんだろ?」
同僚の無遠慮な言いように、赤井はギロリと睨みつけた。
「一晩だけで良いからさぁ、あの子俺に貸してよ。シュウとヤるより良い思いをさせてやる自信、あるからさ!」
ガチャンッ!
突然コーヒーカップが倒れる音がして、みんな何事かと振り向いた。その直後、赤井の怒声が響く。
「貴様ッ! もう一度言ってみろッ!!」
「え!? ちょ、ちょっとシュウッ! 何事?」
ジョディが振り返った時、赤井はブライアンの胸ぐらを掴み、今にも殴り掛かりそうだった。
しかし、胸ぐらを掴まれたブライアンはニヤニヤしたまま悪びれる様子もない。それが余計に赤井の怒りを買った。
一発殴らないと気が済まない。赤井は左の拳を振り上げた。
「秀一さん!」
「ッ!」
りおの声に赤井の拳がピタリと止まる。同僚たちの視線がりおに集まった。
りおはツカツカとリビングの中に入る。
二人に近づくと振り上げた赤井の拳を優しく握り、そっと下げさせた。胸ぐらを掴んだ赤井の右手にも触れてそれを外させると、ブライアンの服を整え始める。
掴まれたことでグチャッとしわが寄った服を、りおは丁寧に伸ばした。
「ブライアンさん、ごめんなさいね」
服が整うとりおはブライアンの顔を見上げ、笑顔で謝った。それを見ていた赤井は、納得いかない顔をしている。
「りおッ! そいつはお前を侮辱し……」
「秀一さん、待って。ブライアンさんの話を聞きましょ」
赤井の言葉を制するように、りおが声をかける。
「この娘さんには敵わないね」
ブライアンは小さくため息をつき、苦笑いした。
「シュウ、お前……この子の事になると冷静な判断が出来なくなるな。普段のお前なら、俺がこの程度煽っても挑発には乗ってこないのに」
真顔になったブライアンは赤井をまっすぐ見つめた。
「死神に取りつかれたような顔をしていたお前が、そうやって笑顔を見せて楽しそうにしている。同僚としては嬉しい限りだよ。
ただちょっと……お前の持ち味でもある鋭さとか厳格さを欠いているようにも見えたんだ。だから、少しお灸をすえてやろうと思ってな……」
ブライアンは口角を上げ微笑む。
「まあ、掴みかかって来た時の目を見て、別に鈍っているわけじゃないと分かった。安心したよ。癇に障るようなことを言って悪かった」
そう言うと、ブライアンは頭を下げた。
「ね! ちゃんと話を聞かなきゃその人の真意は分からないでしょ?」
りおは赤井の方を向きニッコリ微笑む。当の赤井はムッとしたまま、分が悪そうに二人から視線を逸らした。
「ブライアンさん。彼の事を気にかけてくれてありがとうございます。
私たちは国籍も、所属する警察組織も違う。今は一緒に暮らしていますが、この先どうなるかは分かりません。
あなたのような方が同僚にいらっしゃる事はとても心強いです。これからも彼をよろしくお願いします」
りおはブライアンに向かい、深々と頭を下げた。
それを見て、ブライアンはくすぐったそうに人差し指で鼻の下を擦る。
「お前のAngelはよくできた女だな!」
満面の笑みでブライアンは赤井に声をかけた。
「当たり前だ!」
バツが悪そうに——しかし当然だと言いたげに、赤井はブライアンに対して返事をした。
そして、小さく「すまなかった」とつぶやく。
「つくづくお前は不器用な男だよ」
ブライアンは豪快に笑うと、赤井を羽交い絞めにした。
それを見ていた他の同僚たちも二人の元へ歩み寄り、茶化すように声をかける。
その様子をりおは嬉しそうに見つめていた。
帰り際——
同僚たちが玄関で靴を履いて工藤邸を出る時、ブライアンは見送りに出ていた赤井にそっと耳打ちをする。
『お前のAngelの人柄も、料理の腕も見せてもらって今日は良い一日だった。そのお礼に一つ教えてやる。彼女の手、少し荒れてるぞ。ハンドクリームでもプレゼントしてやれ』
「!?」
赤井が驚いているうちにブライアンは「Bye~!」と言って工藤邸を出て行く。
最後にジョディが「さくら~! ご馳走様!」とウインクをし、キャメルが申し訳なさそうに何度も頭を下げながら玄関を出て行った。
ガチャン、とドアが閉まった途端、嵐が去ったように工藤邸は静かになった。
「ふぅ~。なんか慌ただしかったけど……楽しかったね」
りおは赤井の顔を見上げてニッコリ笑った。
「あ、ああ。お前にみっともないところを見せてしまって……その、すまなかった」
笑顔のりおとは対照的に、赤井の顔はシュンとしていて、まるで怒られた犬のようだ。
「良いの良いの。ああいう秀一さんも私は見たいの。あなたはロボットじゃないんだから」
さ~て、コーヒーカップ洗っちゃおう! と伸びをしながらリビングに向かうりおの手を、赤井はチラリと盗み見る。
(確かに…少し荒れてるな…)
近いうちにハンドクリームを買いに行こうと決めた赤井だった。
==おまけ==
「おい、ブライアン! お前、よくあのシュウを煽るようなこと言ったなぁ」
「だってアイツ、あの子の作った料理『もっと味わって食え』とか言ってさぁ。甲斐甲斐しく洗い物まで手伝ってる姿は《FBIきっての凄腕スナイパー》とかけ離れすぎだろ」
「その《凄腕スナイパー》は彼女に関しては盲目だからね! 撃ち殺されないように気を付けなさいよ!」
ジョディはブライアンに釘を刺す。
「おいおい、撃ち殺すだなんて大げさな……」
おどけて言いつつも、ブライアンの顔からサーッと血の気が引いた。
「大げさなんかじゃないわよ。さくらの事となるとシュウは周りが見えなくなるわ。まあ、それをちゃんとさくらがフォローしてるし、さくらの足りないところはシュウがフォローしているのよ」
お似合いのカップルよね、とジョディが笑う。
「へ、へ~ぇ。そんな相手、俺も欲しいなぁ……」
ブライアンは尚も強がってみせる。
「間違ってもさくらに手を出しちゃダメよ。ホントに撃ち殺されるわ」
「それには私も激しく同意します」
うん、うん、と真顔でうなずくキャメルを見て、その場にいた同僚たちの顔色もサッと変わる。
「絶っ対! 手なんて出しません‼」
今回の件でFBIのメンバーたちは、恋愛に関して赤井秀一を敵に回すと【命が無くなる】ということを学習したのだった。