降谷さんと義娘【お父さんはトリプルフェイス】
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がやがやと騒がしい帰りのHRで担任の先生が静かにするように大きな声をあげる。徐々に静かになった教室に先生がコホンとひとつ咳ばらいをして改まって口を開いた。
「えー…今年のこの季節がやってきました。我が校が力を入れている授業参加日です。プリントを配るので保護者の方に各自参加するかしないか記入してもらって明後日までに提出してください」
そう、我が高校は小中高一貫校で、高校になっても毎年行われるこの授業参観日に何故か力を入れている。保護者も保護者で参加する人も多い。お父さん、最近帰りが遅いし参加するか聞けないかもな…と考えたが中学校の時から仕事を休むか、合間に絶対見に来ていたし今年も聞かなくてもくるだろうな…。
快斗のお母さんは今海外にいるらしいし、青子のお父さんは最近世間を賑わせている怪盗キッドを捕まえるのに躍起になってるらしいし、たぶん参加しないだろうとのこと。
そういえば中学生の時初めてお父さんが授業参観に来た日は大変だったな。あまりに若すぎる父にクラスメイトは全員お父さんではなく兄だと思っていたみたいで。苗字が変わった理由と併せて話してなんとか信じてもらった。本当に誤解を解くのが大変だったなあ。
「おい、なまえ…、おーい、なにボーっとしてんだよ?」
考えごとをしていて全く気付かなかったが快斗の声でふと我に返った。
「ああ。ごめん、考え事してて……どうかした?」
「なんかあったのか?今日青子とゲーセン行くんだけどなまえも来ねえか?」
「うん、いいよ。今日お父さん帰り遅いと思うし」
「なまえの父さん探偵だっけな?あんま帰ってこねえの?」
「うん、最近依頼が何件か立て続けに入ったみたいで、忙しそうなの。体調崩さなければいいけど」
もちろん探偵の仕事など入っていないが、快斗の手前そう言った方が自然だと判断して咄嗟に嘘をついた。
クラスメイトにはお父さんの職業を聞かれたら探偵をしていると言っている。私も詳しくは知らないが、公安の通称ゼロと呼ばれる組織に属しているらしく、ざっくりいうと日本の平和を陰ながら支える仕事だそうだ。極秘任務もあるようで表立って公表されていない組織というこもあり、お父さんに引き取られた時に周りには探偵で通すようにと打ち合わせをした。
普通に暮らしている私みたいな学生が別世界の人の娘になったのには私がまだ中学生だった頃まで遡る。
・
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江古田中学校の2年生に進学したばかりの頃。まだ桜も咲いていて過ごしやすい時期だった。毎年この季節になると、私はお母さんとお父さんと決まってどこかに遊びにいくのが恒例になっていた。その年も例外ではなくお父さんが前々から行ってみたいと言っていた遊園地に遊びに行った。週末で人もそこそこいたが、お目当ての乗り物に乗れて大満足。また来年も来たいね、なんて言いながら帰りの渋滞の事も考えて早めに帰った。案の定帰りは渋滞していて、出来るだけ早く帰りたいということになり、比較的自宅からは近い距離だったが、高速道路を利用することになった。まさかこれが私の人生を大きく変えることになるなんて……。
安全運転を心がけて車を走らせていると、突然対向車線を走っていた車が猛スピードで私たちの車に突っ込んできた。すごい衝撃で車が宙を飛んで二転、三転転がり普通に走っていた車も避けきれずに衝突する始末だったそうだ。
運転していたお父さんとお母さんは即死だったみたいで、私も衝突の衝撃で一瞬にして意識を失った。
次に目を覚ました時は病院のベッドの上で、体の至るところが骨折していて激痛が走った。初めは意識が混濁していて記憶も曖昧だったこともあり一週間ほどは集中治療室で治療を受けた。
お父さんとお母さんのことをお医者さんに聞いてもなかなか教えてくれず、もしかしたらもうこの世にいないんじゃないかと寂しさと不安で毎日涙を流した。しばらくして一般病棟にうつされた私のもとにスーツをビシっと決めた男の人が2人、私の病室を訪ねてきた。名前を降谷さんと風見さんと言った。
2人からはまず謝罪を受けた。なんのことかと驚いたが、事の経緯を聞くとこうだった。
大きなテロを起こそうと計画していた主犯格のテロリストを長期間張っていた2人は、ようやくその尻尾を掴み追いつめたという。しかし相手は車で高速道路での逃亡を図り、そいつらを追っていたという。私たちが乗っていた車に激突したのがその車で、逃げられないと悟ったテロリストがどうせ捕まるくらいなら周りを巻き込んで死のうとわざと反対車線に猛スピードで突っ込んだらしい。
そしてお父さんとお母さんがその事故で即死だったこともそこで聞いた。これからもずっと一緒にいれると思っていた両親の突然の死を受け入れられるはずもなく、どこかで生きているのではないかと希望を持っていたが、それも絶望に変わった。
これからどうすればよいか、ということより大好きな2人を失った悲しみが大きかった。立て続けに非現実的な話しをされていく中で、降谷さんは驚くべき発言をする。
「みょうじさん。もし、もし君がいいというのなら家族として一緒に暮らさないか?」
「え……?」
まさか一緒に住むなんて、ましてや家族になろうなんて言われると思ってもみなかったし、とめどなく流れ続けていた涙はどこかに引っ込んでしまった。
「すぐにとは言わない。ご両親を亡くして間もない時期にこんなこと言ってすまないな。色々整理したこともあるだろうから一週間後また君に会いに来る。それまでに答えを聞かせてほしい。」
「……はい。分かりました。一週間じっくり考えます」
本人からは未だに養子として迎えてくれた真意は聞けてないが、おそらく私から両親を奪ったことに罪悪感を感じたのだろう。
それから降谷さんと風見さんは病室を後にした。病室で一人になった私は事実を受けとめることが精一杯で、考え出すと涙がまた止まらなくなった。
お父さん、お母さん。なんで私を置いて逝ってしまったの?なんで私も連れて行ってくれなかったの?まだまだ2人と行きたいところがあったのに。来年も遊園地に連れて行ってくれるって約束したのに…。
「えー…今年のこの季節がやってきました。我が校が力を入れている授業参加日です。プリントを配るので保護者の方に各自参加するかしないか記入してもらって明後日までに提出してください」
そう、我が高校は小中高一貫校で、高校になっても毎年行われるこの授業参観日に何故か力を入れている。保護者も保護者で参加する人も多い。お父さん、最近帰りが遅いし参加するか聞けないかもな…と考えたが中学校の時から仕事を休むか、合間に絶対見に来ていたし今年も聞かなくてもくるだろうな…。
快斗のお母さんは今海外にいるらしいし、青子のお父さんは最近世間を賑わせている怪盗キッドを捕まえるのに躍起になってるらしいし、たぶん参加しないだろうとのこと。
そういえば中学生の時初めてお父さんが授業参観に来た日は大変だったな。あまりに若すぎる父にクラスメイトは全員お父さんではなく兄だと思っていたみたいで。苗字が変わった理由と併せて話してなんとか信じてもらった。本当に誤解を解くのが大変だったなあ。
「おい、なまえ…、おーい、なにボーっとしてんだよ?」
考えごとをしていて全く気付かなかったが快斗の声でふと我に返った。
「ああ。ごめん、考え事してて……どうかした?」
「なんかあったのか?今日青子とゲーセン行くんだけどなまえも来ねえか?」
「うん、いいよ。今日お父さん帰り遅いと思うし」
「なまえの父さん探偵だっけな?あんま帰ってこねえの?」
「うん、最近依頼が何件か立て続けに入ったみたいで、忙しそうなの。体調崩さなければいいけど」
もちろん探偵の仕事など入っていないが、快斗の手前そう言った方が自然だと判断して咄嗟に嘘をついた。
クラスメイトにはお父さんの職業を聞かれたら探偵をしていると言っている。私も詳しくは知らないが、公安の通称ゼロと呼ばれる組織に属しているらしく、ざっくりいうと日本の平和を陰ながら支える仕事だそうだ。極秘任務もあるようで表立って公表されていない組織というこもあり、お父さんに引き取られた時に周りには探偵で通すようにと打ち合わせをした。
普通に暮らしている私みたいな学生が別世界の人の娘になったのには私がまだ中学生だった頃まで遡る。
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江古田中学校の2年生に進学したばかりの頃。まだ桜も咲いていて過ごしやすい時期だった。毎年この季節になると、私はお母さんとお父さんと決まってどこかに遊びにいくのが恒例になっていた。その年も例外ではなくお父さんが前々から行ってみたいと言っていた遊園地に遊びに行った。週末で人もそこそこいたが、お目当ての乗り物に乗れて大満足。また来年も来たいね、なんて言いながら帰りの渋滞の事も考えて早めに帰った。案の定帰りは渋滞していて、出来るだけ早く帰りたいということになり、比較的自宅からは近い距離だったが、高速道路を利用することになった。まさかこれが私の人生を大きく変えることになるなんて……。
安全運転を心がけて車を走らせていると、突然対向車線を走っていた車が猛スピードで私たちの車に突っ込んできた。すごい衝撃で車が宙を飛んで二転、三転転がり普通に走っていた車も避けきれずに衝突する始末だったそうだ。
運転していたお父さんとお母さんは即死だったみたいで、私も衝突の衝撃で一瞬にして意識を失った。
次に目を覚ました時は病院のベッドの上で、体の至るところが骨折していて激痛が走った。初めは意識が混濁していて記憶も曖昧だったこともあり一週間ほどは集中治療室で治療を受けた。
お父さんとお母さんのことをお医者さんに聞いてもなかなか教えてくれず、もしかしたらもうこの世にいないんじゃないかと寂しさと不安で毎日涙を流した。しばらくして一般病棟にうつされた私のもとにスーツをビシっと決めた男の人が2人、私の病室を訪ねてきた。名前を降谷さんと風見さんと言った。
2人からはまず謝罪を受けた。なんのことかと驚いたが、事の経緯を聞くとこうだった。
大きなテロを起こそうと計画していた主犯格のテロリストを長期間張っていた2人は、ようやくその尻尾を掴み追いつめたという。しかし相手は車で高速道路での逃亡を図り、そいつらを追っていたという。私たちが乗っていた車に激突したのがその車で、逃げられないと悟ったテロリストがどうせ捕まるくらいなら周りを巻き込んで死のうとわざと反対車線に猛スピードで突っ込んだらしい。
そしてお父さんとお母さんがその事故で即死だったこともそこで聞いた。これからもずっと一緒にいれると思っていた両親の突然の死を受け入れられるはずもなく、どこかで生きているのではないかと希望を持っていたが、それも絶望に変わった。
これからどうすればよいか、ということより大好きな2人を失った悲しみが大きかった。立て続けに非現実的な話しをされていく中で、降谷さんは驚くべき発言をする。
「みょうじさん。もし、もし君がいいというのなら家族として一緒に暮らさないか?」
「え……?」
まさか一緒に住むなんて、ましてや家族になろうなんて言われると思ってもみなかったし、とめどなく流れ続けていた涙はどこかに引っ込んでしまった。
「すぐにとは言わない。ご両親を亡くして間もない時期にこんなこと言ってすまないな。色々整理したこともあるだろうから一週間後また君に会いに来る。それまでに答えを聞かせてほしい。」
「……はい。分かりました。一週間じっくり考えます」
本人からは未だに養子として迎えてくれた真意は聞けてないが、おそらく私から両親を奪ったことに罪悪感を感じたのだろう。
それから降谷さんと風見さんは病室を後にした。病室で一人になった私は事実を受けとめることが精一杯で、考え出すと涙がまた止まらなくなった。
お父さん、お母さん。なんで私を置いて逝ってしまったの?なんで私も連れて行ってくれなかったの?まだまだ2人と行きたいところがあったのに。来年も遊園地に連れて行ってくれるって約束したのに…。