降谷さんと義娘【お父さんはトリプルフェイス】
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しばらくして厨房から、普段よりずっとラフな格好でエプロンをしているお父さんが目を輝かせながらこちらにやってくる。
「なまえ、お待たせしました!明日の仕込みをしないといけないからもうちょっとだけ待っといてくれますか?」
「うん、わかった。じゃあ待ってるね」
店内には時間帯もあってかお客さんも少ないし、あまり迷惑をかけないよう店の隅のテーブルについた。
それにしても降谷零としての面を知っている私からみて誰にでも愛想のいい笑顔を振りまく安室透は何度見ても別人のように思える。
隅に座ると言う判断は正解だったようで、しきりにこちらをチラチラ見るお父さんが視界の端に映る。前回カウンターに座った時は、寒くないですか?何か食べたいものありますか?と私の専属店員のようになってしまった。あの時の他のお客さんの「あの女誰?」という目線が怖いったらなかった。
しばらくすると梓さんがやってきてテーブルの上に静かにカフェラテを置いてくれた。
「これサービス。他のお客さんには内緒だよ?」
「わあ!ありがとうございます。」
「気にしないで。お父さん、本当になまえちゃんのこと大好きなのね?すっかり張り切っちゃってる、フフ」
優しそうに微笑みながらお父さんを見る梓さんの横顔をチラリと盗み見する。その顔が本当に幸せそうで、嫉妬心もあるけどそれ以上にお父さんの良い所を気づいてくれている梓さんに感謝もしている。職業柄人と深く接することの少ない父は本当の意味で好意を寄せてくれる人が少ないから。絶対に結ばれるはずのない私と父、きっとお父さんを幸せにしてくれる人はこの人だろう。
「梓さん、ありがとうございます」
お父さんを好きでいてくれて。無意識に声が出ていたようで、梓さんがきょとんとこちらを見つめる。なにか言った?と聞き返された言葉は、渦中の人物が遮る形となった。
「二人してなに話してるんですか?」
「別になにも。世間話ですよね?梓さん」
「そうそう。女の子同士のお話し!」
梓さんと笑い合えば、妙な顔をしながら別に教えてくれたって…と拗ねる。いや、子どもかな?特に女子同士の話しもしてないが、梓さんの話に乗っかることにしよう。
「…お父さんもう仕事終わったの?」
「急いで終わらせたよ。すぐ着替えてくれるから」
ごゆっくり~、と間延びした返事をしつつ頂いたカフェラテに口をつける。この間飲んだ時は苦味が強かったのに、口の中に広がる甘みに首をかしげる。その様子を見ていた梓さんが、苦いものが苦手な私のためにお父さんが甘めのカフェラテを作ってくれていたらしい。前回飲んだとき、特に感想なんて言ってないのになんで分かったんだろうと、と考えたが、洞察力の鋭い父のことだ。きっと飲んでいる姿を見て把握したに決まっている。そう結論付けてどんだけ娘を見ているんだ、と改めて私を溺愛するお父さんにため息が出た。
ずっと私の相手をしているわけにもいかない梓さんはとっくに仕事に戻ってしまったし、ただ時間を無常に過ごすのも、とカバンに入れておいた読みかけの小説のページを開いた。中学生の時は本に興味などなかったが、ちょっとでも大人なお父さんに追いつこうと読みだしたのをきっかけに、今ではすっかり本の虫になってしまった。
しばらくすると、私服に着替えたお父さんがカウンターの奥から意気揚々とこちらに向かってきた。花金(花の金曜日)のOLさながらのキラめきを纏っているように見える。
「さあ、行きましょうか。せっかくだから新しくできたショッピングモールに行ってみませんか?」
「わあ!私出来てから行ったことなかったんだ!」
行先はお父さんの提案により急遽近所のスーパーから新しくできたショッピングモールになった。先日青子と快斗が遊びに行ったらしく可愛いお店もいっぱいあったと報告を受けていたのでいつか友達とでも行こうと思っていた。多忙のお父さんとは滅多に外出できないし、こんなチャンスは滅多にないしすぐに首を縦に振った。
ポアロから少し離れたところにある従業員駐車場まで歩いていき、お父さんの車に乗り込んだ。仕事の都合上体に匂いが染みついてはいけないとかで芳香剤は置かれていない。消臭対策もろくにしていないのに車内は爽やかないい匂いがする。車酔いしやすい私でもこの匂いは大好きだ。
帰宅ラッシュの時間に重なりかけていたことと付近になるとショッピングモールの駐車場に入ろうとする車で若干の交通渋滞はあったものの思っていたよりもすんなり目的地に着くことができた。
「はぐれないように手を繋ぐか?」
「………ん?」
いやいや、さも当たり前のように言っているが冷静に考えてほしい。いくら親子といえども私は女子高校生でお父さんは荒さ―に突入しかけている。いくら実年齢より若く見えるからと言っても未成年(制服)と成人が手を繋ごうものなら犯罪の匂いがしなくもない。
「お父さん!私子供じゃないんだから。…恥ずかしいし」
「なに言ってるんだ、なまえ。いつまで経ってもなまえは僕の可愛い子どもだ」
「そ、それはそうだけど…」
嬉しそうに娘だと言ってくれるお父さんに胸が苦しくなった。お前はこれ以上の関係にはなれない、と言われているようで。いつもだと軽く受け流せていたが、梓さんとの良好な関係を目の当たりにした後だとちょっと気にしてしまう。
そんな私の心情を知らずか、私よりショッピングを張り切っていて、新しくできた服屋さんをお父さんと巡り着せ替え人形と化した私はひたすら試着室を出たり入ったり。
自分の買い物でもないのに嬉しそうにしているお父さんを見て自分がウジウジしていることなんてどうでもよくなった。
「なまえ、お待たせしました!明日の仕込みをしないといけないからもうちょっとだけ待っといてくれますか?」
「うん、わかった。じゃあ待ってるね」
店内には時間帯もあってかお客さんも少ないし、あまり迷惑をかけないよう店の隅のテーブルについた。
それにしても降谷零としての面を知っている私からみて誰にでも愛想のいい笑顔を振りまく安室透は何度見ても別人のように思える。
隅に座ると言う判断は正解だったようで、しきりにこちらをチラチラ見るお父さんが視界の端に映る。前回カウンターに座った時は、寒くないですか?何か食べたいものありますか?と私の専属店員のようになってしまった。あの時の他のお客さんの「あの女誰?」という目線が怖いったらなかった。
しばらくすると梓さんがやってきてテーブルの上に静かにカフェラテを置いてくれた。
「これサービス。他のお客さんには内緒だよ?」
「わあ!ありがとうございます。」
「気にしないで。お父さん、本当になまえちゃんのこと大好きなのね?すっかり張り切っちゃってる、フフ」
優しそうに微笑みながらお父さんを見る梓さんの横顔をチラリと盗み見する。その顔が本当に幸せそうで、嫉妬心もあるけどそれ以上にお父さんの良い所を気づいてくれている梓さんに感謝もしている。職業柄人と深く接することの少ない父は本当の意味で好意を寄せてくれる人が少ないから。絶対に結ばれるはずのない私と父、きっとお父さんを幸せにしてくれる人はこの人だろう。
「梓さん、ありがとうございます」
お父さんを好きでいてくれて。無意識に声が出ていたようで、梓さんがきょとんとこちらを見つめる。なにか言った?と聞き返された言葉は、渦中の人物が遮る形となった。
「二人してなに話してるんですか?」
「別になにも。世間話ですよね?梓さん」
「そうそう。女の子同士のお話し!」
梓さんと笑い合えば、妙な顔をしながら別に教えてくれたって…と拗ねる。いや、子どもかな?特に女子同士の話しもしてないが、梓さんの話に乗っかることにしよう。
「…お父さんもう仕事終わったの?」
「急いで終わらせたよ。すぐ着替えてくれるから」
ごゆっくり~、と間延びした返事をしつつ頂いたカフェラテに口をつける。この間飲んだ時は苦味が強かったのに、口の中に広がる甘みに首をかしげる。その様子を見ていた梓さんが、苦いものが苦手な私のためにお父さんが甘めのカフェラテを作ってくれていたらしい。前回飲んだとき、特に感想なんて言ってないのになんで分かったんだろうと、と考えたが、洞察力の鋭い父のことだ。きっと飲んでいる姿を見て把握したに決まっている。そう結論付けてどんだけ娘を見ているんだ、と改めて私を溺愛するお父さんにため息が出た。
ずっと私の相手をしているわけにもいかない梓さんはとっくに仕事に戻ってしまったし、ただ時間を無常に過ごすのも、とカバンに入れておいた読みかけの小説のページを開いた。中学生の時は本に興味などなかったが、ちょっとでも大人なお父さんに追いつこうと読みだしたのをきっかけに、今ではすっかり本の虫になってしまった。
しばらくすると、私服に着替えたお父さんがカウンターの奥から意気揚々とこちらに向かってきた。花金(花の金曜日)のOLさながらのキラめきを纏っているように見える。
「さあ、行きましょうか。せっかくだから新しくできたショッピングモールに行ってみませんか?」
「わあ!私出来てから行ったことなかったんだ!」
行先はお父さんの提案により急遽近所のスーパーから新しくできたショッピングモールになった。先日青子と快斗が遊びに行ったらしく可愛いお店もいっぱいあったと報告を受けていたのでいつか友達とでも行こうと思っていた。多忙のお父さんとは滅多に外出できないし、こんなチャンスは滅多にないしすぐに首を縦に振った。
ポアロから少し離れたところにある従業員駐車場まで歩いていき、お父さんの車に乗り込んだ。仕事の都合上体に匂いが染みついてはいけないとかで芳香剤は置かれていない。消臭対策もろくにしていないのに車内は爽やかないい匂いがする。車酔いしやすい私でもこの匂いは大好きだ。
帰宅ラッシュの時間に重なりかけていたことと付近になるとショッピングモールの駐車場に入ろうとする車で若干の交通渋滞はあったものの思っていたよりもすんなり目的地に着くことができた。
「はぐれないように手を繋ぐか?」
「………ん?」
いやいや、さも当たり前のように言っているが冷静に考えてほしい。いくら親子といえども私は女子高校生でお父さんは荒さ―に突入しかけている。いくら実年齢より若く見えるからと言っても未成年(制服)と成人が手を繋ごうものなら犯罪の匂いがしなくもない。
「お父さん!私子供じゃないんだから。…恥ずかしいし」
「なに言ってるんだ、なまえ。いつまで経ってもなまえは僕の可愛い子どもだ」
「そ、それはそうだけど…」
嬉しそうに娘だと言ってくれるお父さんに胸が苦しくなった。お前はこれ以上の関係にはなれない、と言われているようで。いつもだと軽く受け流せていたが、梓さんとの良好な関係を目の当たりにした後だとちょっと気にしてしまう。
そんな私の心情を知らずか、私よりショッピングを張り切っていて、新しくできた服屋さんをお父さんと巡り着せ替え人形と化した私はひたすら試着室を出たり入ったり。
自分の買い物でもないのに嬉しそうにしているお父さんを見て自分がウジウジしていることなんてどうでもよくなった。