本編
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身体の痛みで目が覚めた。いつもとは違う寝心地に疑問を抱くも、もう一眠りしようと体を捻った。のだが眠れるわけもなくしばらくして頭が覚醒すると昨日の出来事を思い出した。
「そういえば、バーボンさん!」
滑り落ちるようにソファから抜け落ち、ノックもせずに寝室に入る。盛り上がっている布団は規則正しく呼吸に合わせて動いているようで一先ず生きていることは確認できた。
起こさないようにゆっくりベッドサイドに回り様子を見るために顔を覗き込む。
「はあ?」
布団の中で眠っていたのはバーボンさん、ではなく彼によく似た子供だった。おそらく小学低学年くらいだろうか。つまり体が小さくなっている新一くんや志保ちゃんと同じくらいの少年が幸せそうな顔で眠っている。
「まって、うそ。なんで子供がこんなところに!?…というかバーボンさんはどこに行っちゃったの?!」
驚きすぎてついつい大きな声が出てしまい、穏やかな顔で眠っていた少年が顔をしかめて唸っている。本来ならこのまま寝かせてあげたいところだけれど事情を聞くためにも揺すって起こす。
「ちょっと僕?寝てるのにごめんね。起きてもらえるかな?!」
眠そうに瞼を擦り、大あくびをしながらぐっと背伸びをする。私を見た少年は大きな目をさらに大きくさせお姉さん誰?と混乱している様子。この反応だと意図してここに侵入したわけではないようだ。考えられるのはバーボンさんがなんらかの理由で私が寝ている間にこの子を連れてきた、などしか浮かばない。ちらりと少年を見ると不安げに瞳を揺らしながらこちらを見ている。
「ちょっと待ってね!」
埒が明かないと判断して、それなら直接本人に聞こうと携帯を取り出し彼を呼び出す。しかしいつまでたってもコールは途切れることはなかった。どこかで電話がかかってくる音が聞こえ音の発信源を辿ると昨日バーボンさんが着ていた服のポケットから音がなっていた。
状況が上手く掴めず、頭の中が混乱する一方だった。とりあえず冷静になって状況を判断しようと深く呼吸をする。よく考えてみると不審な点はいくつかあった。1つは脱ぎ捨てられた服。昨日バーボンさんは裸に包帯というなんともセクシーな状態だった。もちろん家には男性用の服などあるわけない。外出をするには昨日来ていた服を着なければいけないことになる。そして貴重品である携帯や財布も置きっぱなしだった。見知らぬ家で目が覚めたとしても身一つで家を出るだろうか?それにベッドで寝ていた少年。どのような経緯で家に連れてきたのだろうか。考えれば考えるほど謎が深まり点と線は繋がることはない。
「そういえばまだ名前を聞いてなかった。」
寝室に戻ろうと方向転換した瞬間何かとぶつかる。
「いたた…。」
見知らぬ家で独りぼっちにされ不安だったんだろう、寝ていたベッドから起きだし私を探しにきたらしかった。ごめんよ少年、そこまで気が回らなかった私を許して。
「ぼ、僕ごめんね!…え?その恰好は…?」
少年は昨日のバーボンさんと同じで上半身裸に解けた包帯、そしてサイズが明らかに合っていない彼のズボンを履いている。嫌な予感が胸を駆け巡った。考えられる答え、それはこの少年がバーボンさん本人。でも何故…?自然現象で幼児後退などまずありえない、何か薬などを飲んだ可能性が考えらる。薬、幼児後退化。繋がらなかった点と線がどんどん結びついていく。
「ちょ、ちょっと待っててくださいバーボンさん!」
不思議そうに首を傾げるバーボンさんを尻目に昨日使った薬剤の空き瓶を確認する。
「やっぱり…。私幼児後退化の薬を間違って飲ませてる…。」
瓶を見ると睡眠薬を入れていた容器に酷似した空き瓶が落ちていた。試作品だからとそこらへんにあった適当な空き瓶に入れたのがダメだった。昨日の私は睡眠薬と勘違いして幼児交代薬を盛っていたことになる。
「バーボンさんごめんなさい…。私、」
「ばーぼん?ってだあれ?」
「いや、バーボンさんはバーボンさんでしょ。」
「ううん、俺そんな名前じゃないよ。」
そんなまさか。もしかして記憶を失っている?だとしたら今ここにいるのは体どころか中身まで幼いころの安室透ということになる。衝撃の連続で眩暈がしてきた。目が覚めたら見知らぬ部屋にいて怪しい女が自分の名前を知っている状況はこの少年の立場から考えて怖いだろうと思い、初対面を装って改めて名前を問うた。
「降谷零って言います。お姉さんは?」
ふるやれい。今この子はふるやれいと言った。小さなお口から紡がれた名前は私が初めて聞く名前だった。
「……安室透くん、ではなくて?」
もしかしたら不審な女に本名を名乗らなかっただけかもしれないと思い再度尋ねてみたが首を横に振る少年。人の表情を読み取るのがちょっとだけ得意な私から見ても嘘をついているようには見えない。
「そっか!お姉さんの知っている人に似てたからつい聞いちゃった!私のはみょうじなまえっていいます。ところで零くんはどうやってここまで来たか覚えてるかな?」
「それが俺にも分からないんです。目が覚めたらなまえお姉さんのお家でした。」
「そっかあ、怖かったね。でも大丈夫だよ、お姉さんがいるから。」
子供バーボンさんが安室透ではないとしたら、同一人物ではないのか、もしくは偽名の可能性だってある。この問題については後々調査するしかないだろう。しかしこの子供バーボンさんをどうするか、だ。警察に届けた所で戸籍の年齢と明らかに違う見た目をしているし、そもそも届けても帰るところがないのだから意味がない。かといって児童相談所に送るわけにもいかない。……組織はだめだ。事情を説明するにあたり幼児後退薬の存在を明らかにしなければいけない。志保ちゃんや新一くんだって危険に晒してしまう。あとあんな物騒なところにこんな幼い子を置いとけない。
と、なると必然的に———
「零くん、お姉さんはね、零くんのお父さんとお母さんに頼まれて君をしばらく預かることになったんだ。だから零くんの両親が迎えに来るまでここにいようね。」
正直大分苦しい理由だったが、相手はまだ10歳にも満たない純粋な子供で案外簡単に首を縦に振ってくれた。結果的に彼を騙すことになってしまい罪悪感が胸を占めたがここは零くんを守るためにも心を鬼にしなければならない。
「よし!しっかりしろ私!ところで零くん、包帯を結び直したいからそこのソファに座ってくれるかな?」
分かった!と元気のいい返事をもらい、思わずほっこりしてしまう。不謹慎にもこれからこんなに可愛い子と一緒に住めると考えただけでウキウキしてしまう。取れかけていた包帯を全て取ると昨日あったはずの傷はすっかり無くなっていた。体が後退したと同時に傷も再生したのかもしれない。でもよかった。下手をすれば一生消えない傷跡にあっていたかもしれなかった。
「そういえば服も買わないと行けないね。」
子供服を買うには街のショッピングセンターに行くしかない。今日しなければいけないことが次々と決まる。医療班を手配してくれているベルやジンに上手いこと言い訳を考えなければいけないし…。今日はすることだらけだ。
「ごめんね、今家に零くんが着れる服がないんだ。大きいんだけどこの服着てくれるかな?」
できるだけ小さな服を選んだつまりだったがそれでも零くんの体には大きくTシャツがワンピースのようになっている。彼シャツならぬ彼女シャツ、とても素晴らしい。よしよしと柔らかく細い髪を撫でると嬉しそうに顔を綻ばせた。
「…お姉さん顔ちょっと怖い…。」
「ああっ、ごめん、ごめん。あまりにも可愛かったものだから嬉しくなっちゃって。」
ニヤついた顔を怖いと言われ若干悲しかったものの。少し覚える零くんも大変天使だったので良しとする。
「そういば零くんお腹空いてない?なにか食べたいものあるかな…?そんなに手の込んだ料理は作れないけど…。」
「えっーと、えーと…、おむらいす!!」
よかった唐揚げとかじゃなくて…。冷蔵庫は今悲しいくらい食材入ってなかったし。オムライスができるまでの間テレビの電源を入れて教育チャンネルに切り替えた。画面の中にはカラフルな動物の着ぐるみが軽快な音楽にあわせて歌とダンスを披露している。チラリと零くんを見ると目を輝かせながら画面にくぎ付けになっている。よしよし、気に入ってくれた様子だ。念のためピーマンや玉ねぎなどの野菜を細かく切って子供でも食べ易いように作るように心がけた。卵も半熟気味にとろっと仕上げてケチャップで’’れいくん’’と落書きをする。
「おまたせ、零くん。ご飯が出来たからこっちおいで。」
少し名残惜しそうにテレビを見ていたが、零くーんと呼べば小走り気味に駆け寄ってきた。ああ可愛い。座高がない子供には不便な椅子なので家にある座布団を何枚か重ねて高さを出した。零くんを椅子に座らせると机の上に乗ったオムライスを見て美味しそう!と口にする。
「ほんと?ありがとう…、嬉しいな。しっかり食べてね。」
「うん。いただきます!」
小さな手でスプーンを握りしめオムライスを口いっぱいに頬張る零くんは癒し以外のなにものでもなく、眠っていた母性本能が目を覚ますには十分すぎるくらいだった。何が言いたいかというと、つまり零くんは最高に可愛いということである。
「そういえば、バーボンさん!」
滑り落ちるようにソファから抜け落ち、ノックもせずに寝室に入る。盛り上がっている布団は規則正しく呼吸に合わせて動いているようで一先ず生きていることは確認できた。
起こさないようにゆっくりベッドサイドに回り様子を見るために顔を覗き込む。
「はあ?」
布団の中で眠っていたのはバーボンさん、ではなく彼によく似た子供だった。おそらく小学低学年くらいだろうか。つまり体が小さくなっている新一くんや志保ちゃんと同じくらいの少年が幸せそうな顔で眠っている。
「まって、うそ。なんで子供がこんなところに!?…というかバーボンさんはどこに行っちゃったの?!」
驚きすぎてついつい大きな声が出てしまい、穏やかな顔で眠っていた少年が顔をしかめて唸っている。本来ならこのまま寝かせてあげたいところだけれど事情を聞くためにも揺すって起こす。
「ちょっと僕?寝てるのにごめんね。起きてもらえるかな?!」
眠そうに瞼を擦り、大あくびをしながらぐっと背伸びをする。私を見た少年は大きな目をさらに大きくさせお姉さん誰?と混乱している様子。この反応だと意図してここに侵入したわけではないようだ。考えられるのはバーボンさんがなんらかの理由で私が寝ている間にこの子を連れてきた、などしか浮かばない。ちらりと少年を見ると不安げに瞳を揺らしながらこちらを見ている。
「ちょっと待ってね!」
埒が明かないと判断して、それなら直接本人に聞こうと携帯を取り出し彼を呼び出す。しかしいつまでたってもコールは途切れることはなかった。どこかで電話がかかってくる音が聞こえ音の発信源を辿ると昨日バーボンさんが着ていた服のポケットから音がなっていた。
状況が上手く掴めず、頭の中が混乱する一方だった。とりあえず冷静になって状況を判断しようと深く呼吸をする。よく考えてみると不審な点はいくつかあった。1つは脱ぎ捨てられた服。昨日バーボンさんは裸に包帯というなんともセクシーな状態だった。もちろん家には男性用の服などあるわけない。外出をするには昨日来ていた服を着なければいけないことになる。そして貴重品である携帯や財布も置きっぱなしだった。見知らぬ家で目が覚めたとしても身一つで家を出るだろうか?それにベッドで寝ていた少年。どのような経緯で家に連れてきたのだろうか。考えれば考えるほど謎が深まり点と線は繋がることはない。
「そういえばまだ名前を聞いてなかった。」
寝室に戻ろうと方向転換した瞬間何かとぶつかる。
「いたた…。」
見知らぬ家で独りぼっちにされ不安だったんだろう、寝ていたベッドから起きだし私を探しにきたらしかった。ごめんよ少年、そこまで気が回らなかった私を許して。
「ぼ、僕ごめんね!…え?その恰好は…?」
少年は昨日のバーボンさんと同じで上半身裸に解けた包帯、そしてサイズが明らかに合っていない彼のズボンを履いている。嫌な予感が胸を駆け巡った。考えられる答え、それはこの少年がバーボンさん本人。でも何故…?自然現象で幼児後退などまずありえない、何か薬などを飲んだ可能性が考えらる。薬、幼児後退化。繋がらなかった点と線がどんどん結びついていく。
「ちょ、ちょっと待っててくださいバーボンさん!」
不思議そうに首を傾げるバーボンさんを尻目に昨日使った薬剤の空き瓶を確認する。
「やっぱり…。私幼児後退化の薬を間違って飲ませてる…。」
瓶を見ると睡眠薬を入れていた容器に酷似した空き瓶が落ちていた。試作品だからとそこらへんにあった適当な空き瓶に入れたのがダメだった。昨日の私は睡眠薬と勘違いして幼児交代薬を盛っていたことになる。
「バーボンさんごめんなさい…。私、」
「ばーぼん?ってだあれ?」
「いや、バーボンさんはバーボンさんでしょ。」
「ううん、俺そんな名前じゃないよ。」
そんなまさか。もしかして記憶を失っている?だとしたら今ここにいるのは体どころか中身まで幼いころの安室透ということになる。衝撃の連続で眩暈がしてきた。目が覚めたら見知らぬ部屋にいて怪しい女が自分の名前を知っている状況はこの少年の立場から考えて怖いだろうと思い、初対面を装って改めて名前を問うた。
「降谷零って言います。お姉さんは?」
ふるやれい。今この子はふるやれいと言った。小さなお口から紡がれた名前は私が初めて聞く名前だった。
「……安室透くん、ではなくて?」
もしかしたら不審な女に本名を名乗らなかっただけかもしれないと思い再度尋ねてみたが首を横に振る少年。人の表情を読み取るのがちょっとだけ得意な私から見ても嘘をついているようには見えない。
「そっか!お姉さんの知っている人に似てたからつい聞いちゃった!私のはみょうじなまえっていいます。ところで零くんはどうやってここまで来たか覚えてるかな?」
「それが俺にも分からないんです。目が覚めたらなまえお姉さんのお家でした。」
「そっかあ、怖かったね。でも大丈夫だよ、お姉さんがいるから。」
子供バーボンさんが安室透ではないとしたら、同一人物ではないのか、もしくは偽名の可能性だってある。この問題については後々調査するしかないだろう。しかしこの子供バーボンさんをどうするか、だ。警察に届けた所で戸籍の年齢と明らかに違う見た目をしているし、そもそも届けても帰るところがないのだから意味がない。かといって児童相談所に送るわけにもいかない。……組織はだめだ。事情を説明するにあたり幼児後退薬の存在を明らかにしなければいけない。志保ちゃんや新一くんだって危険に晒してしまう。あとあんな物騒なところにこんな幼い子を置いとけない。
と、なると必然的に———
「零くん、お姉さんはね、零くんのお父さんとお母さんに頼まれて君をしばらく預かることになったんだ。だから零くんの両親が迎えに来るまでここにいようね。」
正直大分苦しい理由だったが、相手はまだ10歳にも満たない純粋な子供で案外簡単に首を縦に振ってくれた。結果的に彼を騙すことになってしまい罪悪感が胸を占めたがここは零くんを守るためにも心を鬼にしなければならない。
「よし!しっかりしろ私!ところで零くん、包帯を結び直したいからそこのソファに座ってくれるかな?」
分かった!と元気のいい返事をもらい、思わずほっこりしてしまう。不謹慎にもこれからこんなに可愛い子と一緒に住めると考えただけでウキウキしてしまう。取れかけていた包帯を全て取ると昨日あったはずの傷はすっかり無くなっていた。体が後退したと同時に傷も再生したのかもしれない。でもよかった。下手をすれば一生消えない傷跡にあっていたかもしれなかった。
「そういえば服も買わないと行けないね。」
子供服を買うには街のショッピングセンターに行くしかない。今日しなければいけないことが次々と決まる。医療班を手配してくれているベルやジンに上手いこと言い訳を考えなければいけないし…。今日はすることだらけだ。
「ごめんね、今家に零くんが着れる服がないんだ。大きいんだけどこの服着てくれるかな?」
できるだけ小さな服を選んだつまりだったがそれでも零くんの体には大きくTシャツがワンピースのようになっている。彼シャツならぬ彼女シャツ、とても素晴らしい。よしよしと柔らかく細い髪を撫でると嬉しそうに顔を綻ばせた。
「…お姉さん顔ちょっと怖い…。」
「ああっ、ごめん、ごめん。あまりにも可愛かったものだから嬉しくなっちゃって。」
ニヤついた顔を怖いと言われ若干悲しかったものの。少し覚える零くんも大変天使だったので良しとする。
「そういば零くんお腹空いてない?なにか食べたいものあるかな…?そんなに手の込んだ料理は作れないけど…。」
「えっーと、えーと…、おむらいす!!」
よかった唐揚げとかじゃなくて…。冷蔵庫は今悲しいくらい食材入ってなかったし。オムライスができるまでの間テレビの電源を入れて教育チャンネルに切り替えた。画面の中にはカラフルな動物の着ぐるみが軽快な音楽にあわせて歌とダンスを披露している。チラリと零くんを見ると目を輝かせながら画面にくぎ付けになっている。よしよし、気に入ってくれた様子だ。念のためピーマンや玉ねぎなどの野菜を細かく切って子供でも食べ易いように作るように心がけた。卵も半熟気味にとろっと仕上げてケチャップで’’れいくん’’と落書きをする。
「おまたせ、零くん。ご飯が出来たからこっちおいで。」
少し名残惜しそうにテレビを見ていたが、零くーんと呼べば小走り気味に駆け寄ってきた。ああ可愛い。座高がない子供には不便な椅子なので家にある座布団を何枚か重ねて高さを出した。零くんを椅子に座らせると机の上に乗ったオムライスを見て美味しそう!と口にする。
「ほんと?ありがとう…、嬉しいな。しっかり食べてね。」
「うん。いただきます!」
小さな手でスプーンを握りしめオムライスを口いっぱいに頬張る零くんは癒し以外のなにものでもなく、眠っていた母性本能が目を覚ますには十分すぎるくらいだった。何が言いたいかというと、つまり零くんは最高に可愛いということである。