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第1章

「・・・にゃ~ん」
路地裏から聞こえてくる鳴き声を頼りに鳴き声の持ち主に声をかける。
「どこにいるの、猫ちゃん?捕って食いはしないから早く出ておいで?」
道に放置してあるゴミを避けながら探してみると・・・・・・
「にゃぉ~ん」
元々は何色をした猫かわからないほどの汚れた子猫が震えながら私を見上げる。
「やっと見つけたっ!こっちおいで?ほら」
手を伸ばすと、警戒しながらもゆっくりとこちらに向かってきて----
「・・・・よし、もう安心していいよ」
泥だらけの子猫を胸に抱き、小雨が降る中急いでマンションを目指し走った。




「わぁ~真っ白だったんだ」
マンションに帰り、早速子猫をお風呂に入れる事に。
猫は水が苦手だと思っていたが、意外に大人しく身体を洗わせてくれ----
綺麗な白い毛をのぞかせた。
「しっぽはしましまなんだね~」
そして瞳は薄いブルー
私は花沢類のアクアマリンのピアスを思いだし・・・・・
慌てて頭を振り、花沢類の顔を打ち消した。
「1人ぼっち同士、仲良く暮らそうね。名前はどうしよう・・・・シロじゃ安直だし、うーん・・・・しろだから、ホワイト、ぅ~ん・・・イトにしよっ!今日からあなたの名前はイト!イトだからね」
抱き上げながら子猫に声をかけると、了承したかのように「ミャォ~ン」と鳴き、私の鼻の頭をぺろんと舐めてきた。
「じゃあイト、ご飯にしよっか」
キャットフードは昨日のうちに買っておいたものを小皿の上に入れてあげると、勢いよく食べ始めた。
「クスッ、ゆっくり食べなよ」
イトがご飯を食べ始めた事を確認し、自分も夕ご飯を食べようとキッチンに歩き出そうとした時、鞄の中に入れてあったスマホの着信音が鳴り出した。
「はいはい、すぐに出ますよ」
独り言を言いながら、スマホを取り出すと電話をかけてきたのは----玲香さん、花沢類のお母様だった。






つづく

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