自由な空に、君と愛を。
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大学のキャンパスに、再び卒業の季節が巡ってきた。 桜の蕾が今にも弾けそうなほどに膨らみ、柔らかな春の光が文学部の赤煉瓦を優しく照らしている。ナマエにとって、エルヴィンと再会してからのこの一年は、奇跡を掌で温めるような、甘く、切なく、そして何よりも密やかな時間だった。
学内ではあくまで厳格な「教授」と優秀な「学生」。 けれど、研究室の重厚な扉を閉めた瞬間、二人の時間は壁内のあの頃へと巻き戻る。
「……ナマエ。今日の演習の考察は実に見事だった。……だが、少し無理をしたのではないか? 隈ができている」
エルヴィンが眼鏡を外し、疲れた瞳でナマエを見つめる。彼は、かつて団長として部下を労わった時と同じ、深い慈愛をその眼差しに宿らせていた。
「大丈夫です、エルヴィン先生。司書資格の試験勉強が少し長引いただけですから」
ナマエが微笑むと、エルヴィンは椅子から立ち上がり、彼女をそっと腕の中に引き寄せた。 ツイードのジャケットから漂う、落ち着いたサンダルウッドの香りと、微かな紅茶の匂い。
「……卒業までは、こうして君を待たせることしかできない。……不甲斐ない俺を許してくれ」
「待つのは、得意なんです。あの三年に比べれば、今の時間なんて、瞬きみたいなものですよ」
エルヴィンは愛おしげにナマエの髪に唇を寄せた。
「卒業したら、もう隠す必要はない。君を、俺の妻として正式に迎え入れる」
そんな二人を、温かく(あるいは呆れながら)見守る「戦友」たちも、この世界には揃っていた。 危機管理学部のリヴァイ教授は、今日も学食の不味い紅茶に舌打ちし、理学部のハンジ教授は生物学科の研究室で、巨人の代わりに未知の粘菌に目を輝かせている。実務家教員のミケは、新入生の匂いを嗅いでは不審がられる日常を送っていた。
卒業式の前夜、五人は馴染みの居酒屋で杯を交わした。
「……おい、エルヴィン。卒業した瞬間に手を出そうなんて、相変わらず計算高い野郎だ」
リヴァイが冷めた目でエルヴィンを射抜く。
「いいじゃないか、リヴァイ! 二人の絆は、時間も次元も超えてるんだ。……ナマエ、エルヴィンが寂しくて死んじゃわないように、しっかり捕まえておいてね!」
ハンジが上機嫌でジョッキを掲げる。ミケはナマエの隣で鼻をクンと鳴らし、「……幸せな匂いだ」と短く笑った。
前世では血の匂いと絶望に塗れていた仲間たちが、今は笑い、語り合い、明日を案じている。 その光景が、何よりも尊い「勝利」の証のように思えた。
卒業式から一年後。ナマエは母校の大学附属図書館で、念願だった司書として働き始めていた。 一方のエルヴィンは、その並外れた知性と統率力を買われ、異例の若さで大学の学長に就任していた。 新学長就任の騒動がようやく落ち着いた春の休日、二人は約束していた場所へと向かった。
そこは、かつて彼らが夢見た「壁の外」にあるような、どこまでも青く広がる海だった。 潮騒の音が心地よく響き、寄せては返す波が白い泡を立てて砂浜を洗っている。
「……綺麗。……本当に、あったんですね、エルヴィンさん」
ナマエは靴を脱ぎ、冷たい砂の感触を楽しんだ。 エルヴィンは風に金髪をなびかせながら、水平線をじっと見つめていた。
「ああ。……アルミンが語り、君が信じてくれた世界だ。……こうして君と二人で見ることができて、ようやく俺の『夢』は完結したのかもしれない」
エルヴィンはゆっくりと振り返り、ナマエの前に立った。 彼は自身の胸元から、あの翠緑のループタイを外した。
「ナマエ。……これは、俺たちが地獄を生き抜いた証だ。……だが、これからは、違う誓いを立てたい」
エルヴィンは左手でナマエの右手を包み込み、ポケットから一つの指輪を取り出した。 緑色の小さなエメラルドが、春の陽光を受けて、あの日の森の色のように、けれどずっと穏やかに輝いている。
「君という未来が、俺の孤独を救ってくれた。……これからの人生、君が望む物語を、俺と共に綴ってくれないか。……結婚しよう、ナマエ」
「……っ、はい……! はい、喜んで……!」
ナマエの瞳から、大粒の涙が溢れ、砂浜に吸い込まれていく。 エルヴィンは彼女を抱き上げ、潮風の中で幾度も唇を重ねた。 これから続く永遠の幸福を約束する、熱く、甘い口づけ。
半年後、二人の結婚式には、懐かしい顔ぶれが勢揃いした。 リヴァイは相変わらず不機嫌そうな顔をしながらも、誰よりも長く二人の手を握りしめ、ハンジはカメラを片手に大号泣していた。 エレンやミカサに似た面影を持つ若者たちが、笑顔で花吹雪を散らしている。
披露宴を終えた夜、新居のベランダで二人は寄り添った。
「……不思議ですね。あんなに怖かったあの夢が、今はもう、遠い昔の物語みたいです」
ナマエがエルヴィンの広い胸に顔を埋めると、彼は愛おしげに彼女を抱き寄せた。
「物語は終わらないよ、ナマエ。……君が教えてくれた本の中に、まだ続きがあるように。……俺たちの人生も、ここからが本当の始まりだ」
エルヴィンはナマエの額に自らの額を預け、静かに目を閉じた。 壁のない世界。巨人のいない空。 二人の魂に刻まれた「自由の翼」は、今、穏やかな春の風に乗って、どこまでも高く、自由に羽ばたいていく。
「愛している、ナマエ。永遠に」
「私も愛しています、エルヴィンさん。……ずっと、ずっと」
二人の止まっていた時計は、もう二度と止まることはない。 満天の星空の下、世界は優しく、二人を祝福していた。
学内ではあくまで厳格な「教授」と優秀な「学生」。 けれど、研究室の重厚な扉を閉めた瞬間、二人の時間は壁内のあの頃へと巻き戻る。
「……ナマエ。今日の演習の考察は実に見事だった。……だが、少し無理をしたのではないか? 隈ができている」
エルヴィンが眼鏡を外し、疲れた瞳でナマエを見つめる。彼は、かつて団長として部下を労わった時と同じ、深い慈愛をその眼差しに宿らせていた。
「大丈夫です、エルヴィン先生。司書資格の試験勉強が少し長引いただけですから」
ナマエが微笑むと、エルヴィンは椅子から立ち上がり、彼女をそっと腕の中に引き寄せた。 ツイードのジャケットから漂う、落ち着いたサンダルウッドの香りと、微かな紅茶の匂い。
「……卒業までは、こうして君を待たせることしかできない。……不甲斐ない俺を許してくれ」
「待つのは、得意なんです。あの三年に比べれば、今の時間なんて、瞬きみたいなものですよ」
エルヴィンは愛おしげにナマエの髪に唇を寄せた。
「卒業したら、もう隠す必要はない。君を、俺の妻として正式に迎え入れる」
そんな二人を、温かく(あるいは呆れながら)見守る「戦友」たちも、この世界には揃っていた。 危機管理学部のリヴァイ教授は、今日も学食の不味い紅茶に舌打ちし、理学部のハンジ教授は生物学科の研究室で、巨人の代わりに未知の粘菌に目を輝かせている。実務家教員のミケは、新入生の匂いを嗅いでは不審がられる日常を送っていた。
卒業式の前夜、五人は馴染みの居酒屋で杯を交わした。
「……おい、エルヴィン。卒業した瞬間に手を出そうなんて、相変わらず計算高い野郎だ」
リヴァイが冷めた目でエルヴィンを射抜く。
「いいじゃないか、リヴァイ! 二人の絆は、時間も次元も超えてるんだ。……ナマエ、エルヴィンが寂しくて死んじゃわないように、しっかり捕まえておいてね!」
ハンジが上機嫌でジョッキを掲げる。ミケはナマエの隣で鼻をクンと鳴らし、「……幸せな匂いだ」と短く笑った。
前世では血の匂いと絶望に塗れていた仲間たちが、今は笑い、語り合い、明日を案じている。 その光景が、何よりも尊い「勝利」の証のように思えた。
卒業式から一年後。ナマエは母校の大学附属図書館で、念願だった司書として働き始めていた。 一方のエルヴィンは、その並外れた知性と統率力を買われ、異例の若さで大学の学長に就任していた。 新学長就任の騒動がようやく落ち着いた春の休日、二人は約束していた場所へと向かった。
そこは、かつて彼らが夢見た「壁の外」にあるような、どこまでも青く広がる海だった。 潮騒の音が心地よく響き、寄せては返す波が白い泡を立てて砂浜を洗っている。
「……綺麗。……本当に、あったんですね、エルヴィンさん」
ナマエは靴を脱ぎ、冷たい砂の感触を楽しんだ。 エルヴィンは風に金髪をなびかせながら、水平線をじっと見つめていた。
「ああ。……アルミンが語り、君が信じてくれた世界だ。……こうして君と二人で見ることができて、ようやく俺の『夢』は完結したのかもしれない」
エルヴィンはゆっくりと振り返り、ナマエの前に立った。 彼は自身の胸元から、あの翠緑のループタイを外した。
「ナマエ。……これは、俺たちが地獄を生き抜いた証だ。……だが、これからは、違う誓いを立てたい」
エルヴィンは左手でナマエの右手を包み込み、ポケットから一つの指輪を取り出した。 緑色の小さなエメラルドが、春の陽光を受けて、あの日の森の色のように、けれどずっと穏やかに輝いている。
「君という未来が、俺の孤独を救ってくれた。……これからの人生、君が望む物語を、俺と共に綴ってくれないか。……結婚しよう、ナマエ」
「……っ、はい……! はい、喜んで……!」
ナマエの瞳から、大粒の涙が溢れ、砂浜に吸い込まれていく。 エルヴィンは彼女を抱き上げ、潮風の中で幾度も唇を重ねた。 これから続く永遠の幸福を約束する、熱く、甘い口づけ。
半年後、二人の結婚式には、懐かしい顔ぶれが勢揃いした。 リヴァイは相変わらず不機嫌そうな顔をしながらも、誰よりも長く二人の手を握りしめ、ハンジはカメラを片手に大号泣していた。 エレンやミカサに似た面影を持つ若者たちが、笑顔で花吹雪を散らしている。
披露宴を終えた夜、新居のベランダで二人は寄り添った。
「……不思議ですね。あんなに怖かったあの夢が、今はもう、遠い昔の物語みたいです」
ナマエがエルヴィンの広い胸に顔を埋めると、彼は愛おしげに彼女を抱き寄せた。
「物語は終わらないよ、ナマエ。……君が教えてくれた本の中に、まだ続きがあるように。……俺たちの人生も、ここからが本当の始まりだ」
エルヴィンはナマエの額に自らの額を預け、静かに目を閉じた。 壁のない世界。巨人のいない空。 二人の魂に刻まれた「自由の翼」は、今、穏やかな春の風に乗って、どこまでも高く、自由に羽ばたいていく。
「愛している、ナマエ。永遠に」
「私も愛しています、エルヴィンさん。……ずっと、ずっと」
二人の止まっていた時計は、もう二度と止まることはない。 満天の星空の下、世界は優しく、二人を祝福していた。
