自由な空に、君と愛を。
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轟音とともに頭上から降り注ぐ瓦礫。死を覚悟し、ナマエが強く目を閉じたその瞬間――。
ギュイィィィィィィッ!!
鼓膜を震わせる、鋭い金属音。それと同時に、強い衝撃がナマエの身体を宙へと攫った。
固い腕が、折れそうなほど強く自分を抱き寄せている。
「……ッ、エ、エルヴィン団長!?」
目を開けると、そこには立体機動装置を駆使し、崩落から自分を救い出したエルヴィンの姿があった。壁にアンカーを突き刺し、二人は暗がりの足場へと着地する。
「無茶をするな。私にかまうなと言ったはずだ」
エルヴィンの声は低く、どこか怒りを含んでいた。ナマエは混乱した頭で、彼の腰に装着された銀色の装置を見つめる。
「あの、でも、これはいったい……立体機動装置は壊れていたのでは……?」
「…………立てるか、ナマエ?」
質問を遮り、エルヴィンは静かに問いかけた。ナマエは震える足で立ち上がり、自分の身体を確かめる。
「あ、はい……ケガとかはしていないようです」
「そうか、よかった。」
短く安堵の息を漏らした彼は、そのまま背を向け、暗い通路の先を見据えた。
「あの、エルヴィン団長……」
「ナマエ、すまなかった。」
振り返った彼の瞳は、いつになく翳りを帯びていた。ナマエはその視線を真っ向から受け止める。
「……どうして謝るんですか……嘘をついた理由はなんですか?」
「ほう……君は、冷静だな。」
エルヴィンは自嘲気味に口角を上げた。その表情には、指揮官としての冷徹な顔と、一人の人間としての苦悩が混ざり合っている。
「何か理由があるんですよね?そうしなければならない理由が……お願いします、教えてください」
「……ああ、すべて話そう。君には話していないことがある。今回の作戦の目的は確かにこの古城の調査だが、それ以外に、もうひとつ目的がある。」
「もうひとつの、目的?」
エルヴィンは周囲を警戒するように一度目を細め、声を落とした。
「ここから先は、兵団のごく限られた人間しか知らない。だが、君にだけは話そう。我々は、兵団内に巨人と通じるスパイがいることを疑っている。」
「スパイ……!? いや、それより巨人と通じるってどういうことですか!?」
「言葉通りの意味だ。先日、トロスト区奪還作戦の折に捕獲した巨人が何者かに殺害される事件があったな」
「はい」
ナマエの脳裏に、あの騒動の記憶が蘇る。捕獲された二体の被験体、ソニーとビーン。何者かによって殺されたあの日、全兵団員を対象にした厳しい装備検査が行われた。
「疑われた対象は、一部を除く、全兵団員だ。104期生も例外ではない。君だけを疑っていたわけではないが、君も、疑ってしかるべき対象のひとりだったのは確かだ。被験体である巨人殺害に立体機動装置が使われたことは、ほぼ間違いないからな。」
「私たち、全員……私も……」
――自分も、彼にとっては疑いの対象だった。その冷徹な事実に、ナマエの心臓がちくりと痛む。けれど、すぐにそれ以上の感情が胸を支配した。
「驚くのも無理はない。」
「さすがに驚きました……でも、団長のほうが辛いですよね。部下を疑わなければならないなんて。」
(身内に敵がいるかもしれない状況で作戦を進めなければならないなんて……大変だっただろうな……)
ナマエの言葉に、エルヴィンはハッとしたように目を見開いた。驚愕、戸惑い、そして深い感銘。彼の碧い瞳の中で、幾層もの感情が渦巻く。
「……君は、人が良すぎるな。もう少し、注意したほうがいい。」
エルヴィンは呆れたように首を振ったが、その声には先ほどまでの険しさはなく、どこか柔らかな熱が籠もっていた。
「え、そ、そうでしょうか? ……あの、でも今は、私を信じてくれているということですか?」
「もちろんだ。君を信じよう。君は、命をかけて私を助けようとしてくれた。ならば、私もそれに応えねばならない。君を守るという形で。」
「………! ありがとうございます……!」
「はは、君は素直だな。では進むとしよう。」
エルヴィンは僅かに微笑むと、ナマエの背を優しく押した。先ほどの崩落によって、今まで通ってきた扉は完全に塞がれてしまっている。
「あ、はい!」
暗い通路の先、二人の行く手に何が待ち受けているのかはわからない。けれど、ナマエは確信していた。この男の隣にいれば、どんな真実にも立ち向かえると。 二人は一歩ずつ、静まり返った古城の深淵へと足を進めた。
ギュイィィィィィィッ!!
鼓膜を震わせる、鋭い金属音。それと同時に、強い衝撃がナマエの身体を宙へと攫った。
固い腕が、折れそうなほど強く自分を抱き寄せている。
「……ッ、エ、エルヴィン団長!?」
目を開けると、そこには立体機動装置を駆使し、崩落から自分を救い出したエルヴィンの姿があった。壁にアンカーを突き刺し、二人は暗がりの足場へと着地する。
「無茶をするな。私にかまうなと言ったはずだ」
エルヴィンの声は低く、どこか怒りを含んでいた。ナマエは混乱した頭で、彼の腰に装着された銀色の装置を見つめる。
「あの、でも、これはいったい……立体機動装置は壊れていたのでは……?」
「…………立てるか、ナマエ?」
質問を遮り、エルヴィンは静かに問いかけた。ナマエは震える足で立ち上がり、自分の身体を確かめる。
「あ、はい……ケガとかはしていないようです」
「そうか、よかった。」
短く安堵の息を漏らした彼は、そのまま背を向け、暗い通路の先を見据えた。
「あの、エルヴィン団長……」
「ナマエ、すまなかった。」
振り返った彼の瞳は、いつになく翳りを帯びていた。ナマエはその視線を真っ向から受け止める。
「……どうして謝るんですか……嘘をついた理由はなんですか?」
「ほう……君は、冷静だな。」
エルヴィンは自嘲気味に口角を上げた。その表情には、指揮官としての冷徹な顔と、一人の人間としての苦悩が混ざり合っている。
「何か理由があるんですよね?そうしなければならない理由が……お願いします、教えてください」
「……ああ、すべて話そう。君には話していないことがある。今回の作戦の目的は確かにこの古城の調査だが、それ以外に、もうひとつ目的がある。」
「もうひとつの、目的?」
エルヴィンは周囲を警戒するように一度目を細め、声を落とした。
「ここから先は、兵団のごく限られた人間しか知らない。だが、君にだけは話そう。我々は、兵団内に巨人と通じるスパイがいることを疑っている。」
「スパイ……!? いや、それより巨人と通じるってどういうことですか!?」
「言葉通りの意味だ。先日、トロスト区奪還作戦の折に捕獲した巨人が何者かに殺害される事件があったな」
「はい」
ナマエの脳裏に、あの騒動の記憶が蘇る。捕獲された二体の被験体、ソニーとビーン。何者かによって殺されたあの日、全兵団員を対象にした厳しい装備検査が行われた。
「疑われた対象は、一部を除く、全兵団員だ。104期生も例外ではない。君だけを疑っていたわけではないが、君も、疑ってしかるべき対象のひとりだったのは確かだ。被験体である巨人殺害に立体機動装置が使われたことは、ほぼ間違いないからな。」
「私たち、全員……私も……」
――自分も、彼にとっては疑いの対象だった。その冷徹な事実に、ナマエの心臓がちくりと痛む。けれど、すぐにそれ以上の感情が胸を支配した。
「驚くのも無理はない。」
「さすがに驚きました……でも、団長のほうが辛いですよね。部下を疑わなければならないなんて。」
(身内に敵がいるかもしれない状況で作戦を進めなければならないなんて……大変だっただろうな……)
ナマエの言葉に、エルヴィンはハッとしたように目を見開いた。驚愕、戸惑い、そして深い感銘。彼の碧い瞳の中で、幾層もの感情が渦巻く。
「……君は、人が良すぎるな。もう少し、注意したほうがいい。」
エルヴィンは呆れたように首を振ったが、その声には先ほどまでの険しさはなく、どこか柔らかな熱が籠もっていた。
「え、そ、そうでしょうか? ……あの、でも今は、私を信じてくれているということですか?」
「もちろんだ。君を信じよう。君は、命をかけて私を助けようとしてくれた。ならば、私もそれに応えねばならない。君を守るという形で。」
「………! ありがとうございます……!」
「はは、君は素直だな。では進むとしよう。」
エルヴィンは僅かに微笑むと、ナマエの背を優しく押した。先ほどの崩落によって、今まで通ってきた扉は完全に塞がれてしまっている。
「あ、はい!」
暗い通路の先、二人の行く手に何が待ち受けているのかはわからない。けれど、ナマエは確信していた。この男の隣にいれば、どんな真実にも立ち向かえると。 二人は一歩ずつ、静まり返った古城の深淵へと足を進めた。
