このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

『勘違いから始まる恋』第一章『恋の終わり』

第012話

design


 優子は宮澤 佐江に全てを話し落ち着いたのか、顔を洗いに部屋から出て行った。
すると、その隙にと立ち聞きしていたメンバーは佐江を捕まえ状況の説明を迫る。
この時ばかりは秋元 才加も輪の中に入り、事の次第を見守っていた。

「佐江! 優子に何があったの!」

「ちょっ!……苦しいって、落ち着け才加!」

バシッ

 興奮気味に襟を掴み頭を揺さぶってくる才加に、佐江はチョップを食らわせ撃退する。

「ィタッ!……ごめん」

 才加は落ち着きを取り戻したのか頭を摩り大人しくなる。
一番心配していたのに我慢していたのは才加だったようだと、その様子をみて他のメンバーは苦笑しつつも佐江に説明を求める。

「佐江、優子に何かあったの?」

「優子はんが泣くなんて、ただ事じゃないと違いますか」

「そうたい。 優子に何があったと?」

 佐江に対し峯岸 みなみや横山 由依だけでなく、梅田 彩佳も一緒になって質問責めにする。

「ちょっと、そんな一遍に言わないでよ」

 その他のメンバーも後ろから次々と質問をするので、困った顔をしている佐江に才加は助け舟を出す。

「ちょっと皆、佐江が困ってるでしょ!」

 リーダーである才加の一言でその場が静まり、全体を代表する様に改めて才加が佐江に尋ねる。

「それで、優子に何があったのさ?」

「……」

 佐江の沈黙に耐えかね、みなみが佐江に腕を掴むと真剣な面持ちで尋ねた。

「私たちに言えないこと? 大事なメンバーが苦しんでるのに見てることしかできないの?」

 佐江は何処までを言うかを悩んだが、みなみの言葉でメンバーに話すべきだと感じ重い口を開いた。

「実は優子……」


12/18ページ
スキ