『勘違いから始まる恋』第一章『恋の終わり』
第012話
優子は宮澤 佐江に全てを話し落ち着いたのか、顔を洗いに部屋から出て行った。
すると、その隙にと立ち聞きしていたメンバーは佐江を捕まえ状況の説明を迫る。
この時ばかりは秋元 才加も輪の中に入り、事の次第を見守っていた。
「佐江! 優子に何があったの!」
「ちょっ!……苦しいって、落ち着け才加!」
バシッ
興奮気味に襟を掴み頭を揺さぶってくる才加に、佐江はチョップを食らわせ撃退する。
「ィタッ!……ごめん」
才加は落ち着きを取り戻したのか頭を摩り大人しくなる。
一番心配していたのに我慢していたのは才加だったようだと、その様子をみて他のメンバーは苦笑しつつも佐江に説明を求める。
「佐江、優子に何かあったの?」
「優子はんが泣くなんて、ただ事じゃないと違いますか」
「そうたい。 優子に何があったと?」
佐江に対し峯岸 みなみや横山 由依だけでなく、梅田 彩佳も一緒になって質問責めにする。
「ちょっと、そんな一遍に言わないでよ」
その他のメンバーも後ろから次々と質問をするので、困った顔をしている佐江に才加は助け舟を出す。
「ちょっと皆、佐江が困ってるでしょ!」
リーダーである才加の一言でその場が静まり、全体を代表する様に改めて才加が佐江に尋ねる。
「それで、優子に何があったのさ?」
「……」
佐江の沈黙に耐えかね、みなみが佐江に腕を掴むと真剣な面持ちで尋ねた。
「私たちに言えないこと? 大事なメンバーが苦しんでるのに見てることしかできないの?」
佐江は何処までを言うかを悩んだが、みなみの言葉でメンバーに話すべきだと感じ重い口を開いた。
「実は優子……」