『勘違いから始まる恋』第一章『恋の終わり』
第010話
時刻は14時を過ぎ。
先程まで行われていたテレビの取材も滞りもなく終わり、優子と山本 学の2人はオープンテラスのカフェで遅めのランチをしていた。
小谷 真生子とは休憩時間の間に彼女の一人娘が、大のAKBファンだと言うことで話が弾み、結局お互いの連絡先の交換までするようになっていた。
そのためか、パスタを器用にフォークで巻くと、優子は上機嫌な様子でそれを頬張っている。
一方の学は取材が終わってから口数は少なく、今もコーヒーを啜るのみだった。
「学はお昼食べないの。 お腹空くよ?」
「……優子、大事な話があるんだ」
一時の間があり学が喋り始める。
「事務所や秋元先生とも話し合って、ストーカーを捕まえようと考えている……」
「えっ!?」
「あぁ、警察にも事務所から話をつけてもらった」
「警察って、そんな大袈裟な……」
「警察沙汰にはしたくなかったけど、今朝のを見た以上はなりふり構っていられない。 それにマンション内まで来たんだろ?」
「そうだけど……」
警察までが動く自体に発展してしまったことに動揺する優子をよそに、学は続けて爆弾を投下する。
「それに安心しろ! 今日から、俺が優子の部屋に寝泊まりすることになったから」
「そうなんだ、学と居れば安心♪……えーッ!」
意味を理解した途端、店内であるにも関わらず叫んでしまう優子の反応を、学は満足げに見ていた――。