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パート1

「で、その・・・結婚する約束をした人って
のは・・・」

全てを覚悟した上で聞いた。


「それがー覚えてないんですよー
 私、記憶全くなくて、それも事故を起こしてしまったらしくて、」

事故?

「えっ!そうなんですか?!」

「はい、事故を起こしてしまって、記憶が
消えてしまったのです」

事故で、記憶喪失、、、?
じゃあ、もう全部、記憶が、、なくなった?

「じゃ、じゃあ、も、もう全部記憶がないんですか?」

「そうですね、記憶を失う前までの記憶は
全然ないです」

「じゃあ、どうして、結婚の約束を覚えているんですか?だって、小さい頃の約束ですよね」

「はい、そうですね、なぜかといいますと、小さい頃、日記をつけていたみたいで
その、約束の事を書いてあったので、」

「なるほど、でも、なぜ、本部に?
だって出張多いじゃないですか?」

「だからですよ」

『だからですよ』?
どういう事?

「ほら、先程も言ってたように、出張が多いでしょう?出張している時に結婚する人と
出会えたらいいなぁーって思っていて、、」

よっぽどいい人なんだろうな
大人になっても、岡田さん会いたいと思う人なんだから、
でも、記憶が・・・

「でも、岡田さん、記憶ないじゃないですか?」

「そうですけど、出会ったら、なんか、その
『ビビビ』ってくるかなーなんて」


なんて、すごい頭の中の持ち主なんだろうか
『ビビビ』だけで、ほんとに会えるのだろうか?
そういえば、両親に聞かないのだろうか?
住んでいる家を訪ねればいいのに、

「岡田さん、両親に聞いた方がはやいのでは?」

「あぁー、ですよね、でも、聞きたくても、
聞けないのです




だって、私の記憶を失った事故によって、
両親は死んでしまったのですから・・・」
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