零
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_____真夜中。
深い山奥の村にあるその家では、いつになく人が出入りしていた。
出産である。
「もう少しだよっ、がんばって…ほら、もう頭が見えてっ……な、なんだいこれ!」
妊婦を勇気付けていた産婆が、ようやく出てきた頭を抱いて、赤子の全身をこの世へと出した。
しかし、その赤子は少々普通ではなかった_____
「…!ま、真っ白じゃないか…」
「忌み子じゃ、忌み子じゃ!」
周りに控えていた父親を筆頭とし、人々がざわつき出す。
母親は今しがた産んだ我が子の姿を見て放心状態だった。
普通の生まれたての赤子ならば、喜んで抱きたがる皆も、今はただ恐る恐る産声を上げるその子を遠巻きに見るだけだ。
薄く生えた産毛は白く、その肌も常人のそれより遥かに白い。
色を失ったような、そんな姿をしていた。
「…この子は、主のお子なのだ」
不意に、様子を見に来ていた村長がつぶやく。
皆が静まり、村長の方を向いた。
「明日の朝になったらば、この子を山へと返してこよう。さもなければ主がお怒りになる」
翌朝。
山の中腹にある洞の中に、己が包まれている綿布と馴染むほどに全身が白い赤子が捨て置かれていた。
山には赤子の鳴き声がこだましていた。