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ゆめのはて

それからはフジ一人自身。フジを信じるしかない。
「...本当に見るからにして、強いウマ娘ばかり」
日本とは全く色や人種も違う。
一人日本から参戦したフジはかなり浮いて見える。
フジキセキの参戦はかなりアメリカで話題になったようで、日本の無敗バがこのブリーダーズカップ・クラシックに参戦!の見出し新聞が売り切れになるほど。
そんなことを思っていると、ゲート入りが始まりフジも何とかゲートに収まった。
全員ゲートに収まり、ついにレースがスタートした。
かなりハイペースで始まったせいか、私の視界だとフジをしっかり追えないが、いい位置には付けている。
「BCクラシックは絶対ハイペースになるし、ダートだから大丈夫?」
「ダートは不安だけど、ハイペースには慣れてるさ」
「それならダートの特訓を優先的にしないとね」
「ああ!」
そうやって言ったのを覚えている。
レースは進み、3コーナーを進み、ついにいよいよ4コーナーに差し掛かった。
フジはスピードを追い上げていったが、後ろから来たウマ娘たちにやられてしまい、掲示板外の10着に泣いた。
「10着...」
そう呟いた瞬間、掲示板を見上げるフジキセキの姿が遠くに見えた。
あの姿だと、うっすら涙を浮かべていたに違いない。
どうやって言葉をかけていいのか、私にも分からない。
「フジ、お疲れさま。
今回は苦い結果だったけど、落ち込まないで次のレース頑張ろうね!」
「トレーナーさん。
無理して笑顔を作らなくていいんだよ?
私だって辛くなるから...」
フジは辛さを耐えるためなのか分からないが、身体を抱え込んで、私から顔を背けていた。
ひとまず宿泊先のホテルの部屋で、フジを寝かせておくことに。最低限寝る準備を整えたり、色々身支度もして私もヘトヘトになってしまった。
いつの間にかフジは寝たみたいで、私も一安心した。
色々あったし疲れてたんだろう。
私がいるとまたフジは無理してしまうし、隣の部屋で寝ることにした。初めての海外、レースの結果。
正直言って、海外を舐めていた。
フジなら楽勝に勝てるだろう、って。
だけど、海外は甘くなかった。
掲示板ならまだしも、掲示板外の10着とは。
それだけ私が井の中の蛙だと思い知らされた。
たったそれだけ。
「これからどうすればいいのかな...」
トレセン学園に帰り、今後の予定をフジと話し合った。
海外は合わないと決めた私は、国内レースに専念しようとフジに話した。
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