このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ゆめのはて

それに来年はトレセン学園で過ごす最後の一年。
フジも例外ではない。
「国内レース、分かったよ。」
海外は諦めた。だけど、憧れは消えなかった。
その後のフジは国内レースを勝ち上がり、
みるみる活躍の機会を増やしていった。
だけど、私はフジのように前を見上げられなかった。
「トレーナーさん、何を見ていたんだい?」
「あ、えっとね。いや、なんでもないよ」
「無理に聞いて不味かったね」
「そんなことはないよ」
最近の会話は何故か歯切れが悪かった。
私はまだトレーナーとして未熟なんだと思う。
3年経ってもフジの担当です、とはっきり言えない。
いつまでもお荷物みたいな状況だ。

「海外に行く手もありなのかな...」

海外に行っても、行く宛なんてない。
ただ単に今の自分が嫌だから行くだけ。
フジと挑んだBCクラシックを通して、私はなんてダメなトレーナーなんだと思い知った。
だから、今よりも強くなるには海外に行って強くなるべきなんだろう。
勇気は行ったが、行動するのは早かった。
「フランス、に行くと?」
「はい。修行しに」
そう行った私の顔はさっぱりしていた。
「別に行くのは否定しませんが、フジキセキさんの契約の件は」
「フジの卒業式が終わり次第、空港に向かう予定なので契約の件は大丈夫です!」
「トレーナーを送り出すのは悲しいが、これも新たな第一歩だ!たづなもそう思うだろう!」
「はい、理事長!」
無事にフランスへの渡航の許可は下りた。
だが、問題はフジキセキへどう納得してもらうか。
トレーナー室に向かうと、当のフジキセキはいた。
当のフジキセキは壁に体を預けて、立ちながら寝ていた。
私に散々ちゃんと寝るように!夜更かしはダメだよ!と言いながら、フジ自身もちゃんと寝れてないんじゃない。しかし、本当にフジはスタイルが良い。間近で見ると特に。
それもあって、私がフジの担当でいいのか真剣に悩んだ時期もあったし、今でも思う。
「うん...?トレーナーさん?」
「わっ、フジっ!いきなり起きないでよ!」
あまりにも突然に起きるからびっくりしてしまった。
「ごめんごめん。トレーナーさんの香りがしたから、トレーナーさんかと思って起きたんだけど、正解だったみたいだね!」
「うん、正解」
こんな会話もいつか出来なくなるのは悲しかったが、自分の為だと言い聞かせた。
「えっとね、」
フジキセキにフランスの渡航を伝えようとしたが、思うように伝えられない日が続いた。
そのせいか、フジに体調の心配をされ保健室送りになった日だってある。
「フジ先輩、ドリームトロフィーシリーズの参戦はどうするんですか?
私、フジ先輩の走る姿まだまだ見ていたいです!」
と後輩のウマ娘から廊下で言われたと。
フジとしては出来るだけ現役を続けたいみたいで、ドリームトロフィーシリーズに出たいと。
だけど、私の姿はそこにはいない。
4/6ページ
スキ