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第壱章 暁光

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二三が女性を抱えて、去った後。
周りが混乱に渦巻く中、炭治郎は、目の前に現れた二人組を警戒していた。


その内の一人、麗しい佳人がゆっくりと口を開く。




「あなたは、鬼となった者にも、
「人」という言葉を使って下さるのですね。
そして、助けようとしている…。
ならば私も、あなたを手助けしましょう。」


『………なぜですか?
あなたは…あなたの匂いは…。』




炭治郎はその言葉に混乱し、戸惑った。
自慢の鼻を使っているにも関わらず、その言葉は嘘の匂いはせず、その真意が分からず、疑問の言葉を溢れる。




『そう、私は___…。』




鬼…。


その先の言葉を炭冶郎はもう知っている。
しかし、その言葉の後に続いた彼女の言葉に、炭治郎は大きく目を見開いた。











怒りに狂った化け物は、ガチガチと、歯を鳴らし酷く怯え、へたりこんでいる女性と目を合わせている。



鬼舞辻が話している最中にも、二人の焦点は一切合わず、その言葉はまるで自分自身に言い聞かせているようだった。


目の前に迫る、死の予感に女性は何も言えずにただ震えるしか出来なかった。




「私の血を大量に与え続けられるとどうなると思う?」




指をそっと額に押し付けられる。
そのまま、ぐぐぐと力が入り、女の口から空気が漏れ出る。


遂には、それは皮と骨を穿き、女性は痛みで呻き声に近い悲鳴をあげた。




「人間の体は変貌の速度に耐えきれず、細胞が壊れる。」




そう言葉を吐く彼の後ろには、得体の知れないモノが転がっている。


ソレはどろどろと溶け続け、蠢いていた。



二三がその場に辿り着いた時には、全てが手遅れだった。
そこには、凄惨な光景が広がっていた。




『どうして…こんな……。』




三つ転がるヒトの死体と飛び散った血の模様が、酸鼻の極みを物語っていた。
先程から抑えていた熱が、少しずつ昂る。


その中で佇む、極悪人に一直線に向かう。





『鬼舞辻無惨。私はあなたを許さない…。
何の罪のない人にこんな惨たらしい行いをしたことを絶対に許さない!』




目の前にいる怪物は、叫びながら向かってくる二三に一切目もくれず、静かに歩き出す。


鬼舞辻に辿り着くまで、長く感じる。


しかし、実際には一秒にも満たない時間であり、二三は刀を握った腕を交差させる。




《水の呼吸・壱ノ型》



鬼舞辻を斬るまであと少し。


あと少しの距離。



《水面斬り》



鬼舞辻の真後ろに辿り着き、腕を振ろうとした時、この場に似つかわしくない軽快な指の音が鳴り響いた。


先程まで、何の行動も起こそうとしなかった男の突然の行動に、心臓が跳ね上がる。



だが、彼女は刀を振る手を止めない。



その刃が鬼舞辻の頸を掻っ切るまで、あと少しだった。
そのまま、腕を動かせていれば彼の頸を斬ることが出来ていた。



しかし、彼女の繰り出そうとした技はふっと現れた一人の鬼によって阻まれた。



風を切る音と共に、体に強い衝撃が走る。




『っ…!』




パラパラと壁から破片が落ちる。


無意識のうちに受身を取っていたようで、全身に痛みがあるものの、軽いかすり傷程度に怪我を治めることが出来た。




「可愛いお嬢さん。君の遊び相手は、こっちですよ。」



気配を探ると共に、周囲を一瞥する。
鬼が一体、二体、三体……。
指を弾いた瞬間に、一気に鬼を三体も呼び寄せられてしまっていたのだ。



一対三は流石に骨が折れるなぁ。と考えていたところ、鬼舞辻が鬼に指示を飛ばす。
その指示の内容とは、私を殺し、炭治郎の首を持ってこいとの事だった。



どうして、炭治郎だけの首を?
二人は何らかの関係があるのか。


けれど、今はそんな事考えてる余裕はない。



体に鞭を打ち、手を膝につけ、立ち上がる。
そのまま、目の前にいる鬼と目を合わせ、刀を構える。




『誰が相手でも、関係ない。
私は、あなた達によって引き起こされる哀しい連鎖を、終わらせるだけ。』


「やはり、君はとても可愛いらしい子だな。
強い信念を灯す美しい瞳に、体が蕩けてしまいそうだ。」




一体、この鬼は何を言っているのだろうか。
理解できないほどの変態っぷりに、全身に悪寒が走る。


しかし、聞くに値しない会話をしている間にも時間は過ぎ、現に先程、二三を囲んでいた二人の鬼は鬼舞辻の前に跪いており、この場から去ってしまった。




「おい。ここの処理をしておけ。」




その言葉を果てに、再び踵を返して歩みを進める鬼舞辻。




『駄目!待って!!』




反射的に逃げようとする鬼舞辻を追い掛ける。
しかし、目の前に立ち塞がったのは、鬼舞辻から命を受けたさっきの鬼だった。




『邪魔しないで!』




走る速度を緩めず、自身の最高速度で刀を振り、鬼の頸を斬る。
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