第壱章 暁光
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夫の方の首が切れた。正確に言えば、鬼舞辻が夫の首を切ったのだ。
男性は一瞬何が起こったか分からずに首を押さえていたが、首の痛みに気付くと妻に倒れかかり、奥さんはその夫の様子に混乱し、心配の声を掛ける。
態々、そんな行動をする必要はあったのか。
関係ない人達を巻き込んでまで、起こした行動に意図は、意味はあったのか。
ぐるぐると考えを巡らせるが、理解出来ない鬼舞辻の行いに疑問がふつふつと湧き上がる。
暫くして妻に寄りかかっていた男が、顔を上げ、妻の肩を掴んだ。
その行動は、噛み付く行為だった。
鬼にされたんだ…。
実際に人が鬼になる場面など、見た事もなかったが、直感的に理解した。
それと同時に激情に駆られ、先程まで感じていた恐怖がまるで嘘のように、身体は動き、素早く屋根から飛び降りた。
その速さは誰の目にも入らず、風を巻き起こし、辺りに砂埃が舞う。
瞬きの間に、目の前に現れた少女に誰もが目を点にし、押さえ付けられている鬼でさえ、状況を理解出来ずに、目を見張って固まっていた。
一二三は、鬼が口を閉じれないよう、口を刀の鞘で押さえ付け、身動きの取れないように、鬼の体の上で馬乗りの状態だった。
数秒経って炭治郎が駆け寄ってきて数秒後、周囲の人々がかザワザワと騒ぎ始め、訝しげな眼差しを向けてくる者もいれば、興味深そうに目を向ける者がちらほら出てきた。
「一二三さん…!」
彼女の名前を呼び、駆け寄ってくる彼に鬼の事を任せ、刀を背中に隠す。
尻餅をつく妻の元へ歩み寄ると、彼女は首を抑えながら、呆然と夫の姿を見ていた。
『奥様、手荒な真似をしてしまい申し訳ございません。お怪我はありませんか?』
声を掛けるまで、じーっと夫を見詰めていた彼女が今度は一二三をまじまじと見詰める。
彼女の頸には、軽く切れた怪我のみで大きな怪我は見られない。
腰の鞄の中からハンケチを取り出し、失礼いたします。と言い彼女の首元に当てる。
『申し訳ございませんが、後ほど、ご説明させて頂きたく存じます。ですので、私と一緒においで頂けますか?』
一二三は、未だに何が起きたのか理解出来ずにいる女性に、ただ見つめられている。
だが、数秒経ってから、女性は漸くこくりと頷く。
彼女の手を引っ張り立ち上がらせる。
あの男は…。鬼舞辻を探そうと後ろを振り返れば、その先に見えたのは、小さくなった背中の姿。
逃げる事が狙いだったのか…!
理解すると同時に、鬼舞辻の卑怯な行動に奥歯をギリッと噛み締めた。
『………奥様、失礼いたします。』
一二三はしゃがみ、え?と言う表情を浮かべる女性の背中と膝の裏に、両腕を回し、持ち上げる。
所謂、お姫様抱っこというものである。
『炭治郎、私は彼女を安全な所に連れて行ってから、鬼舞辻を追う。後はお願い。』
「……っ。」
一二三は、女性にしっかりと掴まっててくださいと告げると、その場から一瞬にして消える。
『綴!!鬼舞辻がどこに行くのか、気付かれない程度で追ってて!危ないって、思ったらすぐに逃げてね!』
「ワカッタ!ワカッタ!」
自身の為に付けられた鎹鴉を呼ぶと、すぐに現れ、指示を受けると、すぐさま鬼舞辻の行った方向へと向かった。
近くにある藤の花の家紋の家まで、屋根の上を移動しながら素早く向かう。
その間、首に回された腕の力が、ぐっと強くなる。
女性の様子を見ようと覗き込むと、彼女の目は固く閉じられ、体は震えている。怖いのだろう。
今やる事は、一刻も早く彼女を目的地に連れて行き、預けて貰い、鬼舞辻の後を追う事だけだ。
未だに震えている彼女を強く抱え直し、見えてきた場所の門の前に降り立つ。
来ることが分かってたかのように、門の扉が開き、中から婦人が出て来る。
「ようこそ、いらしてくださいました。鬼狩り様。」
『いえ、休息に来た訳では無いのです。この御方の怪我の処置をお願い出来ますか?
少し用がありまして、その用が終わりましたらお迎えに参ります。』
「畏まりました。武運長久を祈っております。」
頭を深く下げる麗人に、力強く返事をし、また、屋根の上に登り、綴を呼びながら、先程の道程に戻ろうと次の屋根に飛ぶ。
数秒後、現れた鴉に場所を聞くと、鬼舞辻はそこまで遠い距離には行けていないとの事だった。
鬼舞辻はどこで何をしていたのか聞けば、商店街の外れで、彼は人間の家族を車まで送り届けていたらしい。
『そっか…。綴、案内よろしくね。』
鳴きながら、案内してくれる鴉の後に続いて、自身の最高速度で鬼舞辻の元へ向かった。
男性は一瞬何が起こったか分からずに首を押さえていたが、首の痛みに気付くと妻に倒れかかり、奥さんはその夫の様子に混乱し、心配の声を掛ける。
態々、そんな行動をする必要はあったのか。
関係ない人達を巻き込んでまで、起こした行動に意図は、意味はあったのか。
ぐるぐると考えを巡らせるが、理解出来ない鬼舞辻の行いに疑問がふつふつと湧き上がる。
暫くして妻に寄りかかっていた男が、顔を上げ、妻の肩を掴んだ。
その行動は、噛み付く行為だった。
鬼にされたんだ…。
実際に人が鬼になる場面など、見た事もなかったが、直感的に理解した。
それと同時に激情に駆られ、先程まで感じていた恐怖がまるで嘘のように、身体は動き、素早く屋根から飛び降りた。
その速さは誰の目にも入らず、風を巻き起こし、辺りに砂埃が舞う。
瞬きの間に、目の前に現れた少女に誰もが目を点にし、押さえ付けられている鬼でさえ、状況を理解出来ずに、目を見張って固まっていた。
一二三は、鬼が口を閉じれないよう、口を刀の鞘で押さえ付け、身動きの取れないように、鬼の体の上で馬乗りの状態だった。
数秒経って炭治郎が駆け寄ってきて数秒後、周囲の人々がかザワザワと騒ぎ始め、訝しげな眼差しを向けてくる者もいれば、興味深そうに目を向ける者がちらほら出てきた。
「一二三さん…!」
彼女の名前を呼び、駆け寄ってくる彼に鬼の事を任せ、刀を背中に隠す。
尻餅をつく妻の元へ歩み寄ると、彼女は首を抑えながら、呆然と夫の姿を見ていた。
『奥様、手荒な真似をしてしまい申し訳ございません。お怪我はありませんか?』
声を掛けるまで、じーっと夫を見詰めていた彼女が今度は一二三をまじまじと見詰める。
彼女の頸には、軽く切れた怪我のみで大きな怪我は見られない。
腰の鞄の中からハンケチを取り出し、失礼いたします。と言い彼女の首元に当てる。
『申し訳ございませんが、後ほど、ご説明させて頂きたく存じます。ですので、私と一緒においで頂けますか?』
一二三は、未だに何が起きたのか理解出来ずにいる女性に、ただ見つめられている。
だが、数秒経ってから、女性は漸くこくりと頷く。
彼女の手を引っ張り立ち上がらせる。
あの男は…。鬼舞辻を探そうと後ろを振り返れば、その先に見えたのは、小さくなった背中の姿。
逃げる事が狙いだったのか…!
理解すると同時に、鬼舞辻の卑怯な行動に奥歯をギリッと噛み締めた。
『………奥様、失礼いたします。』
一二三はしゃがみ、え?と言う表情を浮かべる女性の背中と膝の裏に、両腕を回し、持ち上げる。
所謂、お姫様抱っこというものである。
『炭治郎、私は彼女を安全な所に連れて行ってから、鬼舞辻を追う。後はお願い。』
「……っ。」
一二三は、女性にしっかりと掴まっててくださいと告げると、その場から一瞬にして消える。
『綴!!鬼舞辻がどこに行くのか、気付かれない程度で追ってて!危ないって、思ったらすぐに逃げてね!』
「ワカッタ!ワカッタ!」
自身の為に付けられた鎹鴉を呼ぶと、すぐに現れ、指示を受けると、すぐさま鬼舞辻の行った方向へと向かった。
近くにある藤の花の家紋の家まで、屋根の上を移動しながら素早く向かう。
その間、首に回された腕の力が、ぐっと強くなる。
女性の様子を見ようと覗き込むと、彼女の目は固く閉じられ、体は震えている。怖いのだろう。
今やる事は、一刻も早く彼女を目的地に連れて行き、預けて貰い、鬼舞辻の後を追う事だけだ。
未だに震えている彼女を強く抱え直し、見えてきた場所の門の前に降り立つ。
来ることが分かってたかのように、門の扉が開き、中から婦人が出て来る。
「ようこそ、いらしてくださいました。鬼狩り様。」
『いえ、休息に来た訳では無いのです。この御方の怪我の処置をお願い出来ますか?
少し用がありまして、その用が終わりましたらお迎えに参ります。』
「畏まりました。武運長久を祈っております。」
頭を深く下げる麗人に、力強く返事をし、また、屋根の上に登り、綴を呼びながら、先程の道程に戻ろうと次の屋根に飛ぶ。
数秒後、現れた鴉に場所を聞くと、鬼舞辻はそこまで遠い距離には行けていないとの事だった。
鬼舞辻はどこで何をしていたのか聞けば、商店街の外れで、彼は人間の家族を車まで送り届けていたらしい。
『そっか…。綴、案内よろしくね。』
鳴きながら、案内してくれる鴉の後に続いて、自身の最高速度で鬼舞辻の元へ向かった。