hpmi
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
突然の停電。あらゆる機器がガラクタと化し、凍てつく寒さと深い静寂が街を包んでいた。それは屋内も同様で、静まり返った箱に二人だけが呼吸してるような夜だった。
「こっち、来い」
毛布にくるまりベットの上に座る左馬刻さんの目の前に呼ばれる。暖炉の炎に近づくような心持ちで吸い寄せられ、彼よりふた回りほど小さな身体がすっぽりと、彼の四肢の間に収まった。その様子に満足した左馬刻さんは、目の前の私ごと毛布でくるんだ。
「あー、クソサミィ」
頭上に左馬刻さんの顎が乗る。お互い口からは白い息が吐き出され、なお寒さを鮮明に感じさせた。
熱を分け合うように、お互いの指を絡ませた。
まるで背後の左馬刻さんの熱だけが、この世界で唯一の拠り所だ。あまりの暗闇と静寂に心細くなったのか、ふと湧き上がった感情がおかしくて笑みが溢れた。突然笑う私に、左馬刻さんは怪訝な顔をしている。
「いえね、世界にふたりぼっちみたいだなって」
私たち以外のみんないなくなってしまったんじゃないかって、そんな錯覚を覚える夜だなって。
「ウザってェもんが全部見えなくなって、その方が好都合だわ」
1/3ページ