ゆーあーmyヒーロー*After story*

『かっちゃん!これどこに運ぶ?』

「待て!重いもんはオレが運ぶから軽いもん運べ」


何も置かれていない1LDKのアパート。今日からここが私とかっちゃんの家になる。



***


「...#ユウ#。どっちの部屋がいい?」

『え!もしかしてかっちゃん一人暮らしするの!?おお...私のいたアパートよりめっちゃ広い!リッチだね〜かっちゃん。どっちがいいって言われても私間取りとか全然わかんないしかっちゃんが住むんだからかっちゃんが決めなきゃ。ていうかそうじゃん!卒業したら寮出なきゃってことだよね!?ヤバい!私、物件なんにも探してない!卒業直後から路頭に迷っちゃう!』

「...一緒に住めばいいだろ」

『へ!?私とかっちゃんが!?』

「それ以外誰がいンだよ」

『えっあっ...かっちゃんはいいの...?』

「どうせいずれは一緒に住む事になんだから良いも悪いもねえわ。...一人暮らしだったらこんな広い部屋探してねえっつーの。2年の時に一緒に住むか?って言ったら卒業する時に気持ちが変わってなかったらもう1回誘えってお前が言ったんだろーが。自分で言って忘れてんじゃねーよ」

『私のこと変わらず好きでいてくれてありがとうかっちゃん。2人で住むの楽しみだね!』


***




『なんにもない部屋って新鮮だね〜不思議な感じがする』

「家電とか家具とかデケエもんはこの後届くが他は買いに行かねえとだな」

『トースターはお祝いだってお茶子ちゃんがくれたよ!あと透ちゃんと三奈ちゃんから食器かな?まだ開けてないけど!梅雨ちゃんとジロちゃんはギフトセットくれた!』

「調味料とか消耗品も助かるよな」

『そういえばかっちゃん、上鳴くん達におっきい箱貰ってたけどなんだったの?』

「まだ開けてねえ。そこにあるやつがそうじゃねえか?気になりゃ開けてみろよ」

『かっちゃんが貰ったんだからかっちゃんが開けなきゃ!』


ちょっと面倒くさそうな顔をしながら、かっちゃんがダンボールを開封するとテレビが入っていた。


『すごい!テレビだテレビ!』

「うるせえ。見りゃ分かるわ」

『だってテレビくれるってすごくない!?この横にあるクッションみたいなのなんだろ?なんかYESとNOって書いてある。クイズでもするのかな?』

「アイツら...!」

『貰っといてなんで怒ってるの...』


二人で荷解きを進めているとチャイムが鳴った。


『なんだろ?もしかしてもう来てくれたのかな』

「待て、オレが行く」


かっちゃんが玄関の扉を開くと聞き馴染みのある声が聞こえた。嬉しくなって、かっちゃんを掻い潜って顔を出すと、いずっくんとしょーとくんが立っていた。


『二人とも手伝いに来てもらっちゃってごめんね』

「オレにできることならなんでも協力するから遠慮なく頼ってくれ」

「力仕事は得意だから、僕にできることがあればなんでも言って!」

『頼りにしてます!』

「あとこれ、引越し祝いに蕎麦持ってきたからよければ食ってくれ」

『ありがとうって袋デカくない!?』

「なんで引越し祝いで蕎麦だ!普通オレらが配るもんだろソレ!」

「自分が貰ったら嬉しい物を選んだ」


流石しょーとくんだなと貰った大きな袋を覗くと如何にも高級そうな木箱に入った蕎麦と私の好きなお菓子とひよこのクッションが入っていた。


流石しょーとくんだ...!

「僕からはこれを」


いずっくんのくれた封筒にはテーマパークのロゴがデザインされており、中を見るとキャラクターの描かれたチケットが2枚入っていた。


『わ〜!テーマパークのチケットだ!』

「ヒーロー活動始めると多分ゆっくりできる時間ってないから今のうちに行っとくといいんじゃないかなって。やっぱりデートって言ったらテーマパークでクレープ半分こだし!」

「なんだそのクレープ半分こって」

『クレープ半分こって難しくない?』

「お前と分けると半分じゃねーしな」

『かっちゃんがくれるって言うからじゃん!』

(そういえばこの二人は付き合う前から半分こしてたなあ…)


駄べっている内にトラックが到着し、みんなで協力して荷物を運ぶ。


『かっちゃん、イスとか小さい物は運び終わったけど次はどれ運べばいい?』

「あとはオレらが運ぶから、お前はもう部屋の荷解きに戻れ。お前が落とすか下敷きになる気しかしねえ」

「ここで頑張らないと僕たちが来た意味ないし、#ユウ#ちゃんは部屋の片付けに集中して」

「一緒に運ぶのは身長差あると難しいしな」

『わかったー...』


身長はみんな結構バラバラじゃないか?と思いながら部屋に戻る。
程なくして全ての家具が運び込まれ、設置が終わった。


『はやーい!配達業者できるよみんな』

「やらねーよ」

「かっちゃんが事前に置く場所を決めてくれてあったから楽だったよ」

「腹減ってきたな」

『私もお腹空いた!』

「買い出しってまだしてないよね?外でご飯食べて食品以外も必要な物買って帰ってくれば僕たちも荷物運べるし効率いいんじゃないかな」

「そのつもりだっつーの」

『みんなでお買い物とか楽しそう!4人で行くのはオセオン以来?』

「二手に分かれてたからあんま一緒って感じじゃなかったけどな」

『確かに!じゃあ初?楽しみだね!』

「ああ」

(嬉しそうな轟くんと#ユウ#ちゃんに反してかっちゃんの不機嫌さがすごい…)



その後ショッピングモールに行き、ご飯を食べた後、小型家電やお米など重い物を多く買ったため流石に3人とも疲れてきたらしく、来た時より足取りが重い。

『やっぱり私ももっと荷物持つよ!』

「お前はチビなんだからトイレットペーパーとティッシュだけ持っとけや!」

『身長関係ない!』

「流石にもう車に荷物乗らないだろうし、今日の買い物はここまでって事でいいかな?ユウちゃん、かっちゃん」

『もちろんというか、いっぱい重いもの運んでもらってごめんね。とっても助かった!』

「来た甲斐があった」

「チッ!もう夕方だし家で飯食ってとっとと帰れ」

「え!?かっちゃんご馳走してくれるの!?」

「文句あんなら今すぐ帰れや!」

『誰も文句言ってないでしょ...多分かっちゃんなりのお礼の気持ちだから時間あるなら食べてって!』

「#ユウ#が爆豪の飯はめちゃくちゃ美味いって言ってた...!楽しみだ」






「すごい...!とっても美味しいよかっちゃん!」

「すごいな爆豪。店開けるんじゃねえか?」

『だよね!でも開かないんだって〜』

「誰が開くか」


天丼とお味噌汁としょーとくんが持ってきてくれたお蕎麦。とっても豪華だし美味しい。
雄英の学食に爆豪家のご飯。卒業後、舌が肥えすぎて何を食べても美味しく感じなくなってしまうのでは?と心配していたが、とてもありがたいことに今後も私の絶品ご飯生活は継続だ。


「#ユウ#は料理しねえのか?菓子は作ってたよな」

『かっちゃんが私がやると包丁で手切るし、食材が可哀想だって』

「食材が可哀想...」

「炭量産されても処理に困んだろーが」

『しないもん!』

「緑谷、明日早いんだろ?時間大丈夫か?」

「そうだね。そろそろ帰ろっか」

『今日は手伝いに来てくれてありがとう!また遊びに来てね!』

「ああ」

「うん!」


2人を見送りリビングに戻ると、かっちゃんが洗い物を始めた。


『洗い物くらい私がやるよ』

「こんくらい、すぐ終わる。もうすぐ風呂たまるから先入れ」

『ありがとう』


湯船に浸かり、天井を眺める。

まさかかっちゃんと同棲することになるなんて夢にも思わなかったな。

高校卒業したらかっちゃんと同棲するなんて中学生の私に言っても絶対信じないだろう。
ずっと一緒にいたいと思っていても、一緒に住むなんて考えもしなかったし、いずっくんとしょーとくんと別れても、この後お風呂から出ても、寝る時も、明日の朝もかっちゃんが一緒にいるなんてとても不思議な感じがする。
髪をタオルで拭きながらリビングに行くと、かっちゃんが荷物の整理をしていた。


『かっちゃん、お風呂あがったードライヤーってどこにしまったっけ?』

「さっき見つけて、そこに置いてある。ちゃんと髪乾かせよ?」

『はーい』


かっちゃんがお風呂に行っている間に髪を乾かし、ダンボールの中身とにらめっこをする。
個人の部屋はなく、部屋は全てかっちゃんと共用だ。となると私のぬいぐるみやグッズ達はどうすれば...

かっちゃんも飾りたいものあったりするよなあ...そもそも部屋の趣味全然違うだろうし...どうしよう...

「ちゃんと髪乾かせって言っただろーが」


首に掛けていたタオルでわしゃわしゃ頭を拭かれ、ドライヤーがある場所に連れていかれる。


『ちゃんと乾かしたもん〜』

「こんなん乾いたって言えねーわ。お前は雑すぎんだよ」


私の髪を乾かし始めたかっちゃんに何を言ってもダメだろうとドライヤーの音が止むのを待つ。


『ねえ、かっちゃん。私のぬいぐるみとかグッズどうすればいい?かっちゃんも飾りたいものあるよね?』

「オレは少ししか物ねえし好きにしろ。まだ場所あるし、飾り棚でも買えばいいんじゃねえの」

『飾っていいの...!』

「別にお前の趣味にとやかく言うつもりはねえし、オレの家じゃなくて二人の家だからな。あの可愛くねえヒヨコが発生することは想定済みだ」

『可愛いもん!』

「明日はまた買い物と旅行の計画も練らねえとだな。活動始まる前っつったってもう時間ねえっつーの」

『いずっくんのくれたテーマパークのチケットだね!行ったことないから楽しみ!』

「せっかく遠征だし、泊まりにするか」

『泊まりの旅行初だね初!』

「ホテル探したり新幹線取ったり色々しねえとだな。探し出したら時間かかるし、疲れてるから今日はもう寝るぞ。歯ブラシそこに出してあったろ」

『うん!かっちゃん黒い方でいい?』

「どっちでもいいから寄越せ」


かっちゃんに黒い歯ブラシを渡し、白い歯ブラシの封を開ける。歯を磨きながら、かっちゃんに新しく買ったひよこのプラカップを見せてドヤるとしらーっとした目で見られた。


ベッド大きい...!

おニューのダブルベッドは、当たり前だが今まで使っていたベッドよりかなり大きくてテンションが上がる。早速ベッドにダイブし、ゴロゴロ転がっていると寝室に入ってきたかっちゃんは何故かほっとした顔をした。


『ベッド大きいねかっちゃん!』

「ダブルベッドだから当然だろ」


ベッドの奥に寄るとソワソワした様子でかっちゃんは布団へと入った。

ベッドを選ぶ際もソワソワしてたし、寝るのに何かこだわりがあるのかな?...ハッ!

『ごめんかっちゃん!私自分の寝相のこと全然考えてなかった!どっちがいい?って聞いてくれたけどかっちゃん本当はシングルベッド二つが良かったんだね!?私はソファで寝るからかっちゃんはベッドでゆっくり休んで!』


ベッドから起き上がるとグイッとかっちゃんに布団に引き込まれた。


「それじゃデケえベッド買った意味ねーだろーが。...お前はオレと寝るの嫌だったりしねえか?」

『かっちゃんも寝相悪かったっけ?まあ、二人とも寝相悪いならお互い様ってことで!』


ぽかんとした顔をした後、かっちゃんはふっと笑った。


「そうだな。電気消すぞ」


ああ...そうか。

二組ずつある食器や歯ブラシ、順番に入るお風呂。隣に感じる温もり。どれも何故か不思議な感じがしていたけど今分かった。

誰かと暮らすのが久しぶりで一人じゃないから不思議な感じがするんだ。


そっと、かっちゃんの手に触れ、遠慮がちに握ると握り返された。


『おやすみ、かっちゃん』

「おやすみ、#ユウ#」


疲れていたのか安心感からか目を閉じると私はすぐに眠ってしまった。





新たな始まり






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