下
今日から1ヶ月間、うちの事務所に新人ヒーロー研修の一環として男の子がうちに1人来るらしい。色んな人とのチームアップの予行練習、事務所同士の親睦を深めるためだというが、とてもとても憂鬱だ。
やってくる男の子はどうやら既にあらゆるヒーローや関係者から注目されている超優秀な人物らしい。未だ個性の制御も満足に出来ない私とは大違いだ。
『やだなあ...』
集合の合図を受け、近くで例の彼を見ようと集まる先輩達の隙間から見えたのは、クリーム色のツンツン髪に意志の強そうな赤い目をした男の子だった。
優秀と聞いて、勝手に人当たりがいいものだと思っていたが、少し不機嫌な顔をし、めんどくせえとでも考えていそうな彼は愛想の欠片もなくとても近寄り難い。
こっそり先輩達に隠れるようにして所長の彼の紹介を聞く。
「今日から1ヶ月研修生としてうちに来ることになった爆豪勝己くんだ。ヒーロー名は...大爆殺神ダイナマイト?」
ネーミング...今まで誰も突っ込まなかったのだろうか...
「個性は爆破。彼にはみんなと同じように業務についてもらう。新人に負けるなよ〜」
爆破...相性最悪。私以外にいっぱい人いるし、彼には関わらないようにしよう...
「今日のところは誰に」
「私のとこで!」「ずりい!オレのとこに!」
すごい人気...彼のあの態度を見てよく立候補なんてするな。これがミーハーというやつか。
苦笑いを浮かべているリーダーの横で爆豪くんは早くしろよと呟き、眉間に皺を寄せ舌打ちをした。見た目通り尖ってんなと苦笑いを浮かべるとパッと彼と目が合った気がした。
そしてなんと彼がこちらに向かって歩いてきた。
マズイ!怒らせた!?
周りがザワつきどうしようとパニックになる中、彼は私の前に立ち指を指した。
「この人と組んでいいスか」
「じゃあ#三条#くん頼んだよ」
なんで?ええ!?とザワつく室内にもう私のメンタルはズタボロだ。私だってなんでと言いたいし、立候補した先輩達を差し置いてなんてとてもじゃないが無理だしやりたくない。しかし私に拒否権というものはないらしい。まあ流石に目の前に彼がいるこの状況で嫌ですなんて言う勇気ないけど...
『えっと...まずは自己紹介かな...?私の名前は#三条##ユウ#。ヒーロー名はウィル。個性は少し先のことが見えるっていう大したことない個性だよ』
「未来予知ってことだろ?ナイトアイほどじゃねえにしても十分すげえんじゃねえおおおの?」
『あはは...爆豪くんにすごいって言って貰えるなんて思わなかったよ。でも本当に全然使えないの。意図せず突然見えるだけで自分じゃ制御出来なくて...役に立てることもあるけど大概約立たずで終わっちゃう。そんなしょうもない人間なの私は。だから私に付いててもあんまり意味ないと思うよ?』
「別にいい。オレはアンタといたかっただけだし」
...ん?どういうこと?
『え...私どっかで君と会ったことある?』
「ねえ。初対面だ」
『ええー...じゃあなんで?』
「アンタに惚れた?っつーのか?よく分かんねえけど、運命みたいなもん感じた。だからオレと付き合え」
『へぇ!?なにそれなんで!?』
マジで謎すぎる!!私、一目惚れされるようなたいうjじゃないし!ええっ!全くそういうタイプには見えないけど軽い感じの子なのか?彼女いっぱいいるみたいな!
「言っとくが、オレが告白したのはアンタが初めてだ。浮ついた軽い気持ちで言ってんじゃねエ」
『そう言われちゃうと余計分かんないっていうか...なんで私なんか』
「オレもよく分かんねえ。でもアンタのこと見た時、やっと会えたって感じがしたんだ。そんでコイツと一緒にいなきゃって思った。人を好きになったことねえし正直オレには好きって気持ちは分かんねえ。でもそんな風に思ったって事はアンタはオレの特別なんだ」
『そ、そっか...』
なんだか大変なことになってしまったーー!人生で初めて告白されたのに全然ときめかないというか、なんで!?ってツッコミしかなさすぎてもう頭がパニックだ。
『じゃ、じゃあパトロール行こっか!早く仕事しないと怒られちゃう!』
無理矢理話題を逸らし、パトロールをしに街へと出る。基本私の仕事は、パトロールをして見えたこれから起こる事件を事前に察知、出来るなら防ぐという感じだ。個性が戦闘向きでないため、ヴィランが絡む事件は事務所に応援を頼むという形態だ。
「アンタ1人でヴィラン倒せねえならなんで1人で見回りすんだよ。アンタが見る未来ってのは、かもじゃなくて実際起こることなんだろ?」
『うん...でも制御出来ないからどうでもいいような事ばかり見えちゃうことがほとんどだし、見すぎると疲れちゃうから、私といるんじゃ効率悪いんだよ。私出来損ないだからさ』
「じゃあ見返してやろうぜ。今日はオレがついてる。取り逃すなんてヘマ絶対しねえ。どんどん行くぞ」
『ま、待って!』
先を歩いていく爆豪くんを急いで追いかける。
とんでもない後輩を持ってしまった...
今日はとても騒がしい1日になりそうだ。
やってくる男の子はどうやら既にあらゆるヒーローや関係者から注目されている超優秀な人物らしい。未だ個性の制御も満足に出来ない私とは大違いだ。
『やだなあ...』
集合の合図を受け、近くで例の彼を見ようと集まる先輩達の隙間から見えたのは、クリーム色のツンツン髪に意志の強そうな赤い目をした男の子だった。
優秀と聞いて、勝手に人当たりがいいものだと思っていたが、少し不機嫌な顔をし、めんどくせえとでも考えていそうな彼は愛想の欠片もなくとても近寄り難い。
こっそり先輩達に隠れるようにして所長の彼の紹介を聞く。
「今日から1ヶ月研修生としてうちに来ることになった爆豪勝己くんだ。ヒーロー名は...大爆殺神ダイナマイト?」
ネーミング...今まで誰も突っ込まなかったのだろうか...
「個性は爆破。彼にはみんなと同じように業務についてもらう。新人に負けるなよ〜」
爆破...相性最悪。私以外にいっぱい人いるし、彼には関わらないようにしよう...
「今日のところは誰に」
「私のとこで!」「ずりい!オレのとこに!」
すごい人気...彼のあの態度を見てよく立候補なんてするな。これがミーハーというやつか。
苦笑いを浮かべているリーダーの横で爆豪くんは早くしろよと呟き、眉間に皺を寄せ舌打ちをした。見た目通り尖ってんなと苦笑いを浮かべるとパッと彼と目が合った気がした。
そしてなんと彼がこちらに向かって歩いてきた。
マズイ!怒らせた!?
周りがザワつきどうしようとパニックになる中、彼は私の前に立ち指を指した。
「この人と組んでいいスか」
「じゃあ#三条#くん頼んだよ」
なんで?ええ!?とザワつく室内にもう私のメンタルはズタボロだ。私だってなんでと言いたいし、立候補した先輩達を差し置いてなんてとてもじゃないが無理だしやりたくない。しかし私に拒否権というものはないらしい。まあ流石に目の前に彼がいるこの状況で嫌ですなんて言う勇気ないけど...
『えっと...まずは自己紹介かな...?私の名前は#三条##ユウ#。ヒーロー名はウィル。個性は少し先のことが見えるっていう大したことない個性だよ』
「未来予知ってことだろ?ナイトアイほどじゃねえにしても十分すげえんじゃねえおおおの?」
『あはは...爆豪くんにすごいって言って貰えるなんて思わなかったよ。でも本当に全然使えないの。意図せず突然見えるだけで自分じゃ制御出来なくて...役に立てることもあるけど大概約立たずで終わっちゃう。そんなしょうもない人間なの私は。だから私に付いててもあんまり意味ないと思うよ?』
「別にいい。オレはアンタといたかっただけだし」
...ん?どういうこと?
『え...私どっかで君と会ったことある?』
「ねえ。初対面だ」
『ええー...じゃあなんで?』
「アンタに惚れた?っつーのか?よく分かんねえけど、運命みたいなもん感じた。だからオレと付き合え」
『へぇ!?なにそれなんで!?』
マジで謎すぎる!!私、一目惚れされるようなたいうjじゃないし!ええっ!全くそういうタイプには見えないけど軽い感じの子なのか?彼女いっぱいいるみたいな!
「言っとくが、オレが告白したのはアンタが初めてだ。浮ついた軽い気持ちで言ってんじゃねエ」
『そう言われちゃうと余計分かんないっていうか...なんで私なんか』
「オレもよく分かんねえ。でもアンタのこと見た時、やっと会えたって感じがしたんだ。そんでコイツと一緒にいなきゃって思った。人を好きになったことねえし正直オレには好きって気持ちは分かんねえ。でもそんな風に思ったって事はアンタはオレの特別なんだ」
『そ、そっか...』
なんだか大変なことになってしまったーー!人生で初めて告白されたのに全然ときめかないというか、なんで!?ってツッコミしかなさすぎてもう頭がパニックだ。
『じゃ、じゃあパトロール行こっか!早く仕事しないと怒られちゃう!』
無理矢理話題を逸らし、パトロールをしに街へと出る。基本私の仕事は、パトロールをして見えたこれから起こる事件を事前に察知、出来るなら防ぐという感じだ。個性が戦闘向きでないため、ヴィランが絡む事件は事務所に応援を頼むという形態だ。
「アンタ1人でヴィラン倒せねえならなんで1人で見回りすんだよ。アンタが見る未来ってのは、かもじゃなくて実際起こることなんだろ?」
『うん...でも制御出来ないからどうでもいいような事ばかり見えちゃうことがほとんどだし、見すぎると疲れちゃうから、私といるんじゃ効率悪いんだよ。私出来損ないだからさ』
「じゃあ見返してやろうぜ。今日はオレがついてる。取り逃すなんてヘマ絶対しねえ。どんどん行くぞ」
『ま、待って!』
先を歩いていく爆豪くんを急いで追いかける。
とんでもない後輩を持ってしまった...
今日はとても騒がしい1日になりそうだ。