短編
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『やったー!』
スマホの当選と書かれたメールを見て思わず声を出す。
今度行われるオールマイトの特別展示会。
歴代衣装やアイテム、活躍のエピソードなど様々な展示がされるイベントだ。抽選前から当選倍率がエグいと話題になっていたが疑って目を擦って何度画面を見ても当選と書かれているし、振込番号も記載されている。
ルンルン気分でコンビニへと向かい、寮に帰って電話を掛ける。
『デクくんデクくん!チケット!チケット当たった!』
〈え!?オールマイトのだよね!?すごい!おめでとう!〉
『デクくんはどうだった?』
〈実は僕も当たったんだ。倍率すごいっていってたのにまさか二人とも当たるなんてびっくりだよ〉
『デクくんも当たったならチケット余っちゃうね。日時決まってるし、その日予定空いててクラスで行く!ってあんまり騒がない人がいいな...血を見ることになりそう...』
〈はは...確かに共有スペースとかお風呂でもハズレたって悔しがってる声聞いたし、行きたい人はいっぱいいるだろうからね。当たったって言ったら怒られた〉
『日時被っちゃってるからデクくんと別で入らなきゃだし、誰かいい人いないかなあ』
〈えっと...かっちゃんとかどうかな?〉
『え!?爆豪くん!?』
〈チケットはずれたみたいだし、すぐ声掛ければ予定も空いてると思うんだ。当たったこと内緒にしてって言えばしてくれるだろうし...〉
『まあ確かに...まさかデクくんから爆豪くんを推薦されるとは...』
〈僕が誘ってもキレられるだけだから...表立っては言わないけどかっちゃんもオールマイトが大好きなんだよ。だから三条さんがよければ誘ってあげて?〉
『デクくんがそこまで言うなら...』
と押し切られてしまったが爆豪くんとはあまり話したことがない。
仲良いわけじゃないのに突然誘ったら不審者すぎない?でもデクくんを裏切るわけにはいかないし勇気を出して誘うだけ誘ってみよ...
『爆豪くん!これ一緒に行かない...?』
爆豪くんが一人になったタイミングを見計らって話し掛けると少し驚いた顔をした後、爆豪くんは私を見た。
「ンだよ突然」
私の見せたスマホ画面を見て眉間に皺を寄せている爆豪くんにデクくん!やっぱり無理そう!と心の中で謝罪する。
「行く」
『え!?ほんとに!?』
「なんで誘っといて驚いてンだよ」
『いや、断られると思ってたから...』
「オレも応募したが抽選ハズレたし、行けるんなら願ってもねえ」
『そっか。それならよかった』
絶対誰がお前なんかとってキレられると思ったのに全然普通というか爆豪くんって案外普通な人?
授業の言動ととにかくキレてるイメージが強いため、失礼ながら勝手に会話が成立しないタイプの人だと思っていたが案外そうでもないのかもしれない。
「時間は14時の会か。誰かに会話聞かれるのも面倒だし、色々決めんのはラインでいいか?」
『うん!』
「じゃあコード出せ」
お友達欄に追加された爆豪くんの名前に感動していると、おいと低い声が聞こえ、慌てて爆豪くんの方を見る。
「他にどこか行きたい場所とかあるのか?」
『へ!?行きたいとこ!?』
「どうせ出かけるなら一回で済んだ方がいいだろ」
『もしかして付き合ってくれるってこと?』
全く予想していなかった言葉に自分の言葉の解釈が間違えているのでは?と改めて聞き直すと爆豪くんは視線を逸らした。
「そうだって言ってんだろ」
『えっと、今は特に浮かばないから浮かんだら言うね!爆豪くんも行きたいとこあれば言って!』
「オレは別に...お前、中華料理好きか?」
『中華料理?好きだよ!行きたいお店があるの?』
「展示会会場の近くにある店で」
「ああ!?爆豪が女子と二人きりで喋ってる!」
「ええ!?ってなんだ三条か」
『なんだとはなんだ瀬呂くん!』
「なんだってのはその...」
「で、でも珍しいよな!お前らが喋ってるイメージ全然ねえし、なんの話してたんだ?」
うずうずした様子の瀬呂くん、上鳴くん、切島くんにそういうことか苦笑する。
『生憎君たちが期待してるような内容じゃないよ。三条ユウさんはいつでもフリーで〜す』
「おお!だってよ!爆豪!」
「何がだってよだ!」
上鳴くんにキレる爆豪くんを見て、いつもの爆豪くんだと不思議な気分になる。
爆豪くんはボン!と掌を爆破させ、逃げていった3人を追いかけていった。
『ねえデクくん、爆豪くんって二重人格なの?』
「ええ!?突然どうしたの三条さん?」
『デクくんに言われた通り爆豪くんを展示会に誘ったんだけどさ。絶対キレて断られると思ったのにすごい普通な感じに行くって言って、更には私が行きたいとこあれば付き合ってくれるって...普通どころか気回るし全然いつものイメージと違うんだけど!?』
「それは.....あ!僕用事思い出したから行くね!」
『ええー...』
ピューっと駆けて行ってしまったデクくんの背を見つめる。
まあ放課後だしね...
夕食を食べ終えて部屋でゴロゴロしていると爆豪くんからメッセージが届いた。
送られてきたのは美味しそうな中華料理の写真とマップで、これが言ってたお店かと、いいねのスタンプを送る。
[チケット代明日渡す]と送られてきたメッセージにいつでもいいよと送り返すと[分かった。おやすみ]というメッセージが送られてきて思わず至近距離で画面を見る。
爆豪くんっておやすみとか言うんだ!?
おやすみのスタンプを送り返し、ベッドに寝っ転がる。
爆豪くんってどんな人なんだろう...
イメージと違うことばかりで頭がこんがらがってきた。
お店の写真とかマップ送ってくれるなんて思ってなかったし。というか展示会会場で集合!解散!ってなると思ってたのに、当たり前のように一緒にお店行ってご飯食べるつもりなの今更だけどめっちゃ可愛いくない?爆豪くんのこともっと知りたい!
翌朝、教室に入り、自分の席から爆豪くんをじっと見ているとパチッと爆豪くんと目が合った。
がすぐに逸らされた。
やっぱり昨日の爆豪くん、おかしかったのかな?
今日は通常運転?日によって人格が変わる?
視線を感じるのか、その後も何度も目が合っては逸らされるのを繰り返している。
視線を感じて居心地が悪いであろう爆豪くんには申し訳ないが元々好奇心旺盛な性格のため、爆豪くんのことをもっと知りたいという欲が抑えられそうにない。
「三条、今日めっちゃバクゴーのこと見てない?」
「見てる!」
放課後、何故か嬉しそうにやってきた芦戸ちゃんと葉隠ちゃんに見てるよと答える。
『だって爆豪くんがどんな人か気になるんだもん』
「もしかしてそれってそれって!」
「爆豪くんのこと好きってコト!?」
『いや、好きとか嫌いって言えるほど爆豪くんのこと知らないし。単純に興味があるから見てるの』
「なーんだあ...」
「つまんないのー」
勝手にガッカリされても...と思いながら、爆豪くんの姿を探すが見当たらない。どうやらもう帰ってしまったらしい。
私も帰ろ。
夕飯の時間になり、食堂に向かうと爆豪くんが一人でご飯を食べていた。
これはチャンスだと正面の席に座ると、爆豪くんは一度私を見て、再びご飯を食べ始めた。
『爆豪くんって中華料理が好きなんだね』
「中華料理っつーか辛いもんが好きなンだよ」
『そうなんだ!そういえばあの中華料理屋さん、激辛麻婆豆腐とチャーハンが売りって書いてあったね』
「お前は辛いの苦手か?」
『あんまり辛いのは食べられないけど好きだよ。ねえ、爆豪くんはなんでヒーローになろうと思ったの?』
「...オールマイトの勝つ姿に憧れたから」
『そうなんだ。展示会楽しみだね』
「ああ」
ふわっと爆豪くんの表情が緩み、初めて見るその表情に私は釘付けになっていた。
「早く食わねえと飯冷めちまうぞ」
『うん...!』
「ご馳走様でした」
きちんと手を合わせ口に出された言葉に、ぽかんとしてしまう。
「じゃあな」
『爆豪くん!あのさ、一日1個君に質問してもいい?展覧会まででいいからさ!』
「好きにしろ」
そう言って爆豪くんは去っていった。
それから毎日、ラインで嫌いな食べ物や好きなアーティストなど、他愛のない質問をしてはその返事を貰うのが私の密かな楽しみとなっていた。彼も一日1個質問してくるのは予想外だったが、それに答えるのも楽しかった。でもそれも明日で終わりだ。何を送ろうか悩んでいると、彼からラインが来た。
[展覧会行きてえ奴はたくさんいたのになんでオレを誘ったんだ?]
今更そこ聞く!?デクくんに推薦されたからだけど、デクくんに僕の名前は出さないでって言われてるし...
[展覧会行くの秘密にしてって言ったらちゃんと秘密にしてくれそうだったから]
[じゃあ、なんでこんなことしてんだ?]
誘ったのは確かに推薦されたから。でも彼のことを知りたいと観察を始めたのも質問を始めたのも私だ。
[爆豪くんのこと知りたいって思ったから。どうして今更そんなこと聞くの?]
少し間が空いて[知りたいと思ったから]と返事が返ってきた。
そりゃそうだと明日に備えて早く寝ようと電気を消し、眠りについた。
『おはよう爆豪くん』
「はよ...」
珍しくまだ少し眠そうな爆豪くんと駅で待ち合わせして電車に乗り込む。
あくびしてるとこすら見たことないし眠そうな爆豪くん初めて見た
『昨日夜ふかししてたの?』
「ちょっと寝そびれた」
『起こしてあげるから、駅着くまで寝てていいよ』
「いや、いい。いい天気でよかったな」
『ふふっそうだね。一時期天気予報雨だったし』
最初に爆豪くんから出た話題が天気とか可愛いすぎるっ
「お前はよく休日出掛けたりすんのか?」
『滅多にしないかな。大体寝て終わっちゃう』
「どうりで休日に見かけねえわけだ。損な生き方してんな」
『よく言われるけど、寝るのが趣味みたいなものだから』
「初登校の朝から寝てたしな。わざわざ人の机で」
『イヤーー!爆豪くん覚えてるの...?』
「あれを忘れる方がムズいだろ」
入学初日に早く着きすぎてしまった私は中学の席の感覚で座って、そのまま寝てしまい、席の持ち主である爆豪くんに起こされるという大失態をやらかした。
あれ以降何も言われなかったし、忘れてると思ったのに!
「寝るのが好きなのは分かるけどよ、もうちょいマシな趣味見つけろよ」
『ええー...でも休日にまで運動したくないし』
「読書って柄でもなさそうだしな」
『爆豪くんひどーい』
そんな会話をしているうちに目的地に着いた。
「オープン前なのに並んでるな。やっぱ早く来て正解だったな」
『流石爆豪くん!いい読みだったね』
「人気店って時点ですぐ入れるわけねーだろ。授業見てても思うが、お前は計画性ってもんを学んだ方がいいと思うぞ」
『うっ...先生と同じことを』
お店がオープンし、席に着いてメニュー表を広げる。
『私、プレーンパンケーキとメロンソーダ!』
「プレーンパンケーキとコーヒー」
『はーい』
爆豪くんもパンケーキ食べるんだ!と感動しながら注文すると少ししてパンケーキが運ばれてきた。
『美味しそう...!いただきます!』
「いただきます」
きちんと手を合わせ、綺麗に切って食べ始めた爆豪くんを見て、いきなりかぶりついてしまったことが恥ずかしくなる。
うう...こんなだからダメなんだよな...
てか食べ方ほんと綺麗だし爆豪くんの方が女子力高くない?え?私あのキレ散らかしてる爆豪くんにも女子力負けちゃうの?
「お前、案外シンプルなヤツ頼むのな」
『ん?』
「パンケーキ、生クリームとかフルーツいっぱい乗ってるヤツ何種類もあったろ」
『だってシンプルなのが一番美味しくない?...あ〜!女らしくないって言いたいんでしょ』
「そんなつもりねえわ」
『どうせ私は女らしくない脳筋ゴリラですよ!』
「ンなこと一言も言ってねーだろ...」
呆れた顔で見てくる爆豪くんを睨みながら、大きく切ったパンケーキを口に入れる。
『ねえ、爆豪くんはどんな女の子がタイプなの?』
「なんだ急に」
『気になったから!』
「...オレを退屈させない女」
『うわあ...なんか爆豪くんらしいね』
興味ないとか釣れない事を言われると思っていたため、答えてくれたのは意外だったが、なんとも爆豪くんらしい答えだ。
「なに引いた顔しとんだ!そういうお前はどうなんだよ!」
『私?私はねーありのままの私を受け入れてくれる人!』
「そんなんがタイプか?」
『そんなんって酷い!とっても重要なことなんだから!もー次行くよ!』
「おいっ」
次に向かったお店は猫カフェ。
『猫ちゃん超可愛い〜』
「おい!この噛むって注意書きされてるヤツすげえ寄ってくるぞ」
『爆豪くん好かれてるねえ〜良かったじゃん』
「よくねえわ!カフェ来てまで噛まれてたまるか!」
膝に乗った猫を撫でながら、噛むらしい目付きの悪い猫から距離を置こうと動く爆豪くんを眺める。そんな爆豪くんにジリジリ寄っていく猫と逃げる爆豪くんを見ているのは正直めちゃくちゃ面白い。
時間が終わり、外に出ると爆豪くんはげんなりした顔をしていた。
「なんであんな危険な猫置いてんだ!頭おかしいだろあの店!」
『まあまあ。噛まれなくてよかったじゃん』
「次行くぞ次!」
次に来たのは爆豪くん希望の大型スポーツ店。
色々買いたい物があるらしい。
『爆豪くん、ランニングとかもしてるのに部屋でも筋トレするんだね』
「逆にお前はしねえんか」
『しないよー部屋は休むための場所ですから!』
「筋トレはともかく予習復習はやれ」
『また先生みたいなことを...』
真面目だなあ爆豪くん
普段オラついてはいるが根はかなり真面目なのだろう。
爆豪くんのことなんにも知らなかったんだなあ私...
買い物が終わり、爆豪くんご希望の中華屋へと向かい、爆豪くんが注文した激辛麻婆豆腐を見てひっと思わず声が出る。とても人が食べれるような色をしていない。
めちゃくちゃ赤いしグツグツなってるし溶岩みたいなんだけど!?
『これ...食べれるの?』
「メニューにある以上食えるに決まってんだろーが」
『いや、まあ...』
そう言って躊躇なく食べ始めた爆豪くんを見ながらチャーハンを口に運ぶ。
『美味しい!爆豪くんのはどう...?』
「辛くてうめえ...!」
『それならよかった』
黙々と食べる爆豪くんをすごいなと思いながら見ていたが、少し赤らんだ顔や首筋に流れていく汗がだんだん色っぽく見えてきてしまい、慌ててチャーハンへと視線を移す。
「そろそろ時間だな」
レジに向かっていった爆豪くんの後を追いかける。会計別にしてくれると思いきや普通に会計を済ませてしまった爆豪くんを慌てて追いかける。
『いくらだった?』
「いらねえ。今回の礼だ」
『礼ってチケット代貰ってるし、そんな』
「四の五の言わず奢られとけや」
『ハイ...アリガトウゴザイマス』
圧に押されてお礼を言ってしまったが、本当に奢ってもらうような事何もしていないのにいいのだろうか?
『爆豪くんやっぱり』
「あ゛?」
『ナンデモナイデス』
怖!
すごい顔で睨まれ、口を閉じる。
そうだよ!忘れてたけど爆豪くんってこういう人だよね!?
『爆豪くんって二重人格なの?』
「ああ゛!?」
『なんでもない!冗談です冗談!』
展覧会会場に入り、ワクワクしながら展示品を見る。
うわあ〜!この時のコスチュームまだ残ってるんだ!この映像見たことない!等身大フィギュア!?すごい!!
あまりの情報量に興奮しすぎて、爆豪くんの存在をすっかり忘れてしまっていた私は途中で正気に戻り、慌てて爆豪くんを探した。
少し遠くに爆豪くんがいるのを発見し、声をかけようとして立ち止まる。
子どものようにキラキラした目。憧れに満ちた表情。
爆豪くんってこんな顔もするんだ
それからは展示物を見ていたのか爆豪くんを見ていたのかよく分からない。
大好きなオールマイトの貴重な展覧会だったのに何やってるんだろう私...
「展覧会見終わったってのに何暗い顔してんだよ。目当てのグッズが売り切れてんのか?」
『あ!グッズ!早く買いいくよ爆豪くん!』
「なんなんだよ...」
『あーお金なんにもなくなっちゃった...』
「買いすぎだろ。マジで計画性ねえな」
『でも後悔はしてない!』
「そうかよ」
雄英の最寄り駅に着き、インターン頑張らないとなと考えながら歩いていると、おいと爆豪くんが声をかけてきた。
「質問、今日まで一個ってお前言ったよな?」
『言った』
「なんかねえのかよ」
突然言われてもと思ったが、今日のことを思い返してすぐに質問が浮かんだ。
『もっと爆豪くんのこと知ってもいいですか』
「いいぜ」
挑発的に笑う爆豪くんは私が前から知っている爆豪くんのはずなのに、なんだかドキドキする。
前までこんなことなかったのに。ただ爆豪くんがどんな人か興味があっただけで、好きとかそういうのじゃなかったはずなのに。
「オレからも質問だ。オレは今までちゃんと質問に答えてきた。だからお前もはぐらかさずに答えろよ?」
改めて念押ししてくる彼に何を聞かれるのだろうと息を吞む。
「オレのことどう思ってる?」
登校初日、なぜかオレの座席で知らない女が寝ていた。自分が間違えたのか?と事前配布された座席表を改めて見るが、間違いなくオレの座席だ。
「おい。おいっつってんだろ」
全く起きる気配がなく、イラついて椅子を蹴ると、やっと女は顔をあげた。
「なにオレの席で寝てやがる」
『へ?………ごごごめんなさい!』
顔を真っ赤にし、慌てて立ち上がった所を見るに、他意はなく本当に間違えていただけらしい。初日の全員がざわつき、緊張しているような時に人の座席で爆睡しているなんてかなり変わった奴だなと見ていると気まずそうに女がオレを見てきた。
『あの、私の席ってわかります?』
「は?」
知るか!と全力で叫びたかったが、座席表を手で持っていたため、女に見せると『ありがとうございます』と言った後、鞄を持った。
てっきり前後間違えたのかと思っていたが女は前後左右間違えたどころではない離れた場所に移動していった。なんでだよ!!思わず口に出してツッコミそうになるのをなんとか堪える。
移動した席を座席表で確認すると、三条ユウと書かれていた。
それからどんな奴なのか気になってソイツを観察していたが、何かと変な失敗やよく分からない行動をしていて見ていて面白く、デクへの苛立ちを誤魔化すのにちょうど良かった。
ただの暇つぶし。気分転換。本当にそれだけだったはずなのに、気付けば目で追っていて、いつからか「ずっと見てるし、好きすぎだろ」なんて冷やかしの言葉に動揺するようになって、でも見ることをやめられない。
見ているだけじゃ分からないことも知りたい。でも今更どう関わりを持てばいいか分からない。分がないまま告白する勇気はない。
だから展覧会に誘われた時、オレの計画は始まった。
オレに好意がないのは、ずっと見ていたからわかっていた。
0からのスタート。
でも生憎オレには計画性というものがある。
お前が好奇心旺盛で一度興味をそそられれば食いついてくるのは分かってる。まだお前がオレのことを全然知らないということも、押すより引く方が効果的なタイプということも、学食で中華を頼むことが多いということも知っている。
オレから目が離せなくなるまであと1週間。
オレの気持ちを知るまであと1ヶ月。
1ヶ月経った今日、お前の出す答えは___
リクエストありがとうございました!
遅くなって大変申し訳ありません(>ω<;)
全然ほのぼのにも甘夢にもなってないかもですが、目指して書いたのでお読み頂けましたら嬉しいです( ˊᵕˋ ;)
スマホの当選と書かれたメールを見て思わず声を出す。
今度行われるオールマイトの特別展示会。
歴代衣装やアイテム、活躍のエピソードなど様々な展示がされるイベントだ。抽選前から当選倍率がエグいと話題になっていたが疑って目を擦って何度画面を見ても当選と書かれているし、振込番号も記載されている。
ルンルン気分でコンビニへと向かい、寮に帰って電話を掛ける。
『デクくんデクくん!チケット!チケット当たった!』
〈え!?オールマイトのだよね!?すごい!おめでとう!〉
『デクくんはどうだった?』
〈実は僕も当たったんだ。倍率すごいっていってたのにまさか二人とも当たるなんてびっくりだよ〉
『デクくんも当たったならチケット余っちゃうね。日時決まってるし、その日予定空いててクラスで行く!ってあんまり騒がない人がいいな...血を見ることになりそう...』
〈はは...確かに共有スペースとかお風呂でもハズレたって悔しがってる声聞いたし、行きたい人はいっぱいいるだろうからね。当たったって言ったら怒られた〉
『日時被っちゃってるからデクくんと別で入らなきゃだし、誰かいい人いないかなあ』
〈えっと...かっちゃんとかどうかな?〉
『え!?爆豪くん!?』
〈チケットはずれたみたいだし、すぐ声掛ければ予定も空いてると思うんだ。当たったこと内緒にしてって言えばしてくれるだろうし...〉
『まあ確かに...まさかデクくんから爆豪くんを推薦されるとは...』
〈僕が誘ってもキレられるだけだから...表立っては言わないけどかっちゃんもオールマイトが大好きなんだよ。だから三条さんがよければ誘ってあげて?〉
『デクくんがそこまで言うなら...』
と押し切られてしまったが爆豪くんとはあまり話したことがない。
仲良いわけじゃないのに突然誘ったら不審者すぎない?でもデクくんを裏切るわけにはいかないし勇気を出して誘うだけ誘ってみよ...
『爆豪くん!これ一緒に行かない...?』
爆豪くんが一人になったタイミングを見計らって話し掛けると少し驚いた顔をした後、爆豪くんは私を見た。
「ンだよ突然」
私の見せたスマホ画面を見て眉間に皺を寄せている爆豪くんにデクくん!やっぱり無理そう!と心の中で謝罪する。
「行く」
『え!?ほんとに!?』
「なんで誘っといて驚いてンだよ」
『いや、断られると思ってたから...』
「オレも応募したが抽選ハズレたし、行けるんなら願ってもねえ」
『そっか。それならよかった』
絶対誰がお前なんかとってキレられると思ったのに全然普通というか爆豪くんって案外普通な人?
授業の言動ととにかくキレてるイメージが強いため、失礼ながら勝手に会話が成立しないタイプの人だと思っていたが案外そうでもないのかもしれない。
「時間は14時の会か。誰かに会話聞かれるのも面倒だし、色々決めんのはラインでいいか?」
『うん!』
「じゃあコード出せ」
お友達欄に追加された爆豪くんの名前に感動していると、おいと低い声が聞こえ、慌てて爆豪くんの方を見る。
「他にどこか行きたい場所とかあるのか?」
『へ!?行きたいとこ!?』
「どうせ出かけるなら一回で済んだ方がいいだろ」
『もしかして付き合ってくれるってこと?』
全く予想していなかった言葉に自分の言葉の解釈が間違えているのでは?と改めて聞き直すと爆豪くんは視線を逸らした。
「そうだって言ってんだろ」
『えっと、今は特に浮かばないから浮かんだら言うね!爆豪くんも行きたいとこあれば言って!』
「オレは別に...お前、中華料理好きか?」
『中華料理?好きだよ!行きたいお店があるの?』
「展示会会場の近くにある店で」
「ああ!?爆豪が女子と二人きりで喋ってる!」
「ええ!?ってなんだ三条か」
『なんだとはなんだ瀬呂くん!』
「なんだってのはその...」
「で、でも珍しいよな!お前らが喋ってるイメージ全然ねえし、なんの話してたんだ?」
うずうずした様子の瀬呂くん、上鳴くん、切島くんにそういうことか苦笑する。
『生憎君たちが期待してるような内容じゃないよ。三条ユウさんはいつでもフリーで〜す』
「おお!だってよ!爆豪!」
「何がだってよだ!」
上鳴くんにキレる爆豪くんを見て、いつもの爆豪くんだと不思議な気分になる。
爆豪くんはボン!と掌を爆破させ、逃げていった3人を追いかけていった。
『ねえデクくん、爆豪くんって二重人格なの?』
「ええ!?突然どうしたの三条さん?」
『デクくんに言われた通り爆豪くんを展示会に誘ったんだけどさ。絶対キレて断られると思ったのにすごい普通な感じに行くって言って、更には私が行きたいとこあれば付き合ってくれるって...普通どころか気回るし全然いつものイメージと違うんだけど!?』
「それは.....あ!僕用事思い出したから行くね!」
『ええー...』
ピューっと駆けて行ってしまったデクくんの背を見つめる。
まあ放課後だしね...
夕食を食べ終えて部屋でゴロゴロしていると爆豪くんからメッセージが届いた。
送られてきたのは美味しそうな中華料理の写真とマップで、これが言ってたお店かと、いいねのスタンプを送る。
[チケット代明日渡す]と送られてきたメッセージにいつでもいいよと送り返すと[分かった。おやすみ]というメッセージが送られてきて思わず至近距離で画面を見る。
爆豪くんっておやすみとか言うんだ!?
おやすみのスタンプを送り返し、ベッドに寝っ転がる。
爆豪くんってどんな人なんだろう...
イメージと違うことばかりで頭がこんがらがってきた。
お店の写真とかマップ送ってくれるなんて思ってなかったし。というか展示会会場で集合!解散!ってなると思ってたのに、当たり前のように一緒にお店行ってご飯食べるつもりなの今更だけどめっちゃ可愛いくない?爆豪くんのこともっと知りたい!
翌朝、教室に入り、自分の席から爆豪くんをじっと見ているとパチッと爆豪くんと目が合った。
がすぐに逸らされた。
やっぱり昨日の爆豪くん、おかしかったのかな?
今日は通常運転?日によって人格が変わる?
視線を感じるのか、その後も何度も目が合っては逸らされるのを繰り返している。
視線を感じて居心地が悪いであろう爆豪くんには申し訳ないが元々好奇心旺盛な性格のため、爆豪くんのことをもっと知りたいという欲が抑えられそうにない。
「三条、今日めっちゃバクゴーのこと見てない?」
「見てる!」
放課後、何故か嬉しそうにやってきた芦戸ちゃんと葉隠ちゃんに見てるよと答える。
『だって爆豪くんがどんな人か気になるんだもん』
「もしかしてそれってそれって!」
「爆豪くんのこと好きってコト!?」
『いや、好きとか嫌いって言えるほど爆豪くんのこと知らないし。単純に興味があるから見てるの』
「なーんだあ...」
「つまんないのー」
勝手にガッカリされても...と思いながら、爆豪くんの姿を探すが見当たらない。どうやらもう帰ってしまったらしい。
私も帰ろ。
夕飯の時間になり、食堂に向かうと爆豪くんが一人でご飯を食べていた。
これはチャンスだと正面の席に座ると、爆豪くんは一度私を見て、再びご飯を食べ始めた。
『爆豪くんって中華料理が好きなんだね』
「中華料理っつーか辛いもんが好きなンだよ」
『そうなんだ!そういえばあの中華料理屋さん、激辛麻婆豆腐とチャーハンが売りって書いてあったね』
「お前は辛いの苦手か?」
『あんまり辛いのは食べられないけど好きだよ。ねえ、爆豪くんはなんでヒーローになろうと思ったの?』
「...オールマイトの勝つ姿に憧れたから」
『そうなんだ。展示会楽しみだね』
「ああ」
ふわっと爆豪くんの表情が緩み、初めて見るその表情に私は釘付けになっていた。
「早く食わねえと飯冷めちまうぞ」
『うん...!』
「ご馳走様でした」
きちんと手を合わせ口に出された言葉に、ぽかんとしてしまう。
「じゃあな」
『爆豪くん!あのさ、一日1個君に質問してもいい?展覧会まででいいからさ!』
「好きにしろ」
そう言って爆豪くんは去っていった。
それから毎日、ラインで嫌いな食べ物や好きなアーティストなど、他愛のない質問をしてはその返事を貰うのが私の密かな楽しみとなっていた。彼も一日1個質問してくるのは予想外だったが、それに答えるのも楽しかった。でもそれも明日で終わりだ。何を送ろうか悩んでいると、彼からラインが来た。
[展覧会行きてえ奴はたくさんいたのになんでオレを誘ったんだ?]
今更そこ聞く!?デクくんに推薦されたからだけど、デクくんに僕の名前は出さないでって言われてるし...
[展覧会行くの秘密にしてって言ったらちゃんと秘密にしてくれそうだったから]
[じゃあ、なんでこんなことしてんだ?]
誘ったのは確かに推薦されたから。でも彼のことを知りたいと観察を始めたのも質問を始めたのも私だ。
[爆豪くんのこと知りたいって思ったから。どうして今更そんなこと聞くの?]
少し間が空いて[知りたいと思ったから]と返事が返ってきた。
そりゃそうだと明日に備えて早く寝ようと電気を消し、眠りについた。
『おはよう爆豪くん』
「はよ...」
珍しくまだ少し眠そうな爆豪くんと駅で待ち合わせして電車に乗り込む。
あくびしてるとこすら見たことないし眠そうな爆豪くん初めて見た
『昨日夜ふかししてたの?』
「ちょっと寝そびれた」
『起こしてあげるから、駅着くまで寝てていいよ』
「いや、いい。いい天気でよかったな」
『ふふっそうだね。一時期天気予報雨だったし』
最初に爆豪くんから出た話題が天気とか可愛いすぎるっ
「お前はよく休日出掛けたりすんのか?」
『滅多にしないかな。大体寝て終わっちゃう』
「どうりで休日に見かけねえわけだ。損な生き方してんな」
『よく言われるけど、寝るのが趣味みたいなものだから』
「初登校の朝から寝てたしな。わざわざ人の机で」
『イヤーー!爆豪くん覚えてるの...?』
「あれを忘れる方がムズいだろ」
入学初日に早く着きすぎてしまった私は中学の席の感覚で座って、そのまま寝てしまい、席の持ち主である爆豪くんに起こされるという大失態をやらかした。
あれ以降何も言われなかったし、忘れてると思ったのに!
「寝るのが好きなのは分かるけどよ、もうちょいマシな趣味見つけろよ」
『ええー...でも休日にまで運動したくないし』
「読書って柄でもなさそうだしな」
『爆豪くんひどーい』
そんな会話をしているうちに目的地に着いた。
「オープン前なのに並んでるな。やっぱ早く来て正解だったな」
『流石爆豪くん!いい読みだったね』
「人気店って時点ですぐ入れるわけねーだろ。授業見てても思うが、お前は計画性ってもんを学んだ方がいいと思うぞ」
『うっ...先生と同じことを』
お店がオープンし、席に着いてメニュー表を広げる。
『私、プレーンパンケーキとメロンソーダ!』
「プレーンパンケーキとコーヒー」
『はーい』
爆豪くんもパンケーキ食べるんだ!と感動しながら注文すると少ししてパンケーキが運ばれてきた。
『美味しそう...!いただきます!』
「いただきます」
きちんと手を合わせ、綺麗に切って食べ始めた爆豪くんを見て、いきなりかぶりついてしまったことが恥ずかしくなる。
うう...こんなだからダメなんだよな...
てか食べ方ほんと綺麗だし爆豪くんの方が女子力高くない?え?私あのキレ散らかしてる爆豪くんにも女子力負けちゃうの?
「お前、案外シンプルなヤツ頼むのな」
『ん?』
「パンケーキ、生クリームとかフルーツいっぱい乗ってるヤツ何種類もあったろ」
『だってシンプルなのが一番美味しくない?...あ〜!女らしくないって言いたいんでしょ』
「そんなつもりねえわ」
『どうせ私は女らしくない脳筋ゴリラですよ!』
「ンなこと一言も言ってねーだろ...」
呆れた顔で見てくる爆豪くんを睨みながら、大きく切ったパンケーキを口に入れる。
『ねえ、爆豪くんはどんな女の子がタイプなの?』
「なんだ急に」
『気になったから!』
「...オレを退屈させない女」
『うわあ...なんか爆豪くんらしいね』
興味ないとか釣れない事を言われると思っていたため、答えてくれたのは意外だったが、なんとも爆豪くんらしい答えだ。
「なに引いた顔しとんだ!そういうお前はどうなんだよ!」
『私?私はねーありのままの私を受け入れてくれる人!』
「そんなんがタイプか?」
『そんなんって酷い!とっても重要なことなんだから!もー次行くよ!』
「おいっ」
次に向かったお店は猫カフェ。
『猫ちゃん超可愛い〜』
「おい!この噛むって注意書きされてるヤツすげえ寄ってくるぞ」
『爆豪くん好かれてるねえ〜良かったじゃん』
「よくねえわ!カフェ来てまで噛まれてたまるか!」
膝に乗った猫を撫でながら、噛むらしい目付きの悪い猫から距離を置こうと動く爆豪くんを眺める。そんな爆豪くんにジリジリ寄っていく猫と逃げる爆豪くんを見ているのは正直めちゃくちゃ面白い。
時間が終わり、外に出ると爆豪くんはげんなりした顔をしていた。
「なんであんな危険な猫置いてんだ!頭おかしいだろあの店!」
『まあまあ。噛まれなくてよかったじゃん』
「次行くぞ次!」
次に来たのは爆豪くん希望の大型スポーツ店。
色々買いたい物があるらしい。
『爆豪くん、ランニングとかもしてるのに部屋でも筋トレするんだね』
「逆にお前はしねえんか」
『しないよー部屋は休むための場所ですから!』
「筋トレはともかく予習復習はやれ」
『また先生みたいなことを...』
真面目だなあ爆豪くん
普段オラついてはいるが根はかなり真面目なのだろう。
爆豪くんのことなんにも知らなかったんだなあ私...
買い物が終わり、爆豪くんご希望の中華屋へと向かい、爆豪くんが注文した激辛麻婆豆腐を見てひっと思わず声が出る。とても人が食べれるような色をしていない。
めちゃくちゃ赤いしグツグツなってるし溶岩みたいなんだけど!?
『これ...食べれるの?』
「メニューにある以上食えるに決まってんだろーが」
『いや、まあ...』
そう言って躊躇なく食べ始めた爆豪くんを見ながらチャーハンを口に運ぶ。
『美味しい!爆豪くんのはどう...?』
「辛くてうめえ...!」
『それならよかった』
黙々と食べる爆豪くんをすごいなと思いながら見ていたが、少し赤らんだ顔や首筋に流れていく汗がだんだん色っぽく見えてきてしまい、慌ててチャーハンへと視線を移す。
「そろそろ時間だな」
レジに向かっていった爆豪くんの後を追いかける。会計別にしてくれると思いきや普通に会計を済ませてしまった爆豪くんを慌てて追いかける。
『いくらだった?』
「いらねえ。今回の礼だ」
『礼ってチケット代貰ってるし、そんな』
「四の五の言わず奢られとけや」
『ハイ...アリガトウゴザイマス』
圧に押されてお礼を言ってしまったが、本当に奢ってもらうような事何もしていないのにいいのだろうか?
『爆豪くんやっぱり』
「あ゛?」
『ナンデモナイデス』
怖!
すごい顔で睨まれ、口を閉じる。
そうだよ!忘れてたけど爆豪くんってこういう人だよね!?
『爆豪くんって二重人格なの?』
「ああ゛!?」
『なんでもない!冗談です冗談!』
展覧会会場に入り、ワクワクしながら展示品を見る。
うわあ〜!この時のコスチュームまだ残ってるんだ!この映像見たことない!等身大フィギュア!?すごい!!
あまりの情報量に興奮しすぎて、爆豪くんの存在をすっかり忘れてしまっていた私は途中で正気に戻り、慌てて爆豪くんを探した。
少し遠くに爆豪くんがいるのを発見し、声をかけようとして立ち止まる。
子どものようにキラキラした目。憧れに満ちた表情。
爆豪くんってこんな顔もするんだ
それからは展示物を見ていたのか爆豪くんを見ていたのかよく分からない。
大好きなオールマイトの貴重な展覧会だったのに何やってるんだろう私...
「展覧会見終わったってのに何暗い顔してんだよ。目当てのグッズが売り切れてんのか?」
『あ!グッズ!早く買いいくよ爆豪くん!』
「なんなんだよ...」
『あーお金なんにもなくなっちゃった...』
「買いすぎだろ。マジで計画性ねえな」
『でも後悔はしてない!』
「そうかよ」
雄英の最寄り駅に着き、インターン頑張らないとなと考えながら歩いていると、おいと爆豪くんが声をかけてきた。
「質問、今日まで一個ってお前言ったよな?」
『言った』
「なんかねえのかよ」
突然言われてもと思ったが、今日のことを思い返してすぐに質問が浮かんだ。
『もっと爆豪くんのこと知ってもいいですか』
「いいぜ」
挑発的に笑う爆豪くんは私が前から知っている爆豪くんのはずなのに、なんだかドキドキする。
前までこんなことなかったのに。ただ爆豪くんがどんな人か興味があっただけで、好きとかそういうのじゃなかったはずなのに。
「オレからも質問だ。オレは今までちゃんと質問に答えてきた。だからお前もはぐらかさずに答えろよ?」
改めて念押ししてくる彼に何を聞かれるのだろうと息を吞む。
「オレのことどう思ってる?」
登校初日、なぜかオレの座席で知らない女が寝ていた。自分が間違えたのか?と事前配布された座席表を改めて見るが、間違いなくオレの座席だ。
「おい。おいっつってんだろ」
全く起きる気配がなく、イラついて椅子を蹴ると、やっと女は顔をあげた。
「なにオレの席で寝てやがる」
『へ?………ごごごめんなさい!』
顔を真っ赤にし、慌てて立ち上がった所を見るに、他意はなく本当に間違えていただけらしい。初日の全員がざわつき、緊張しているような時に人の座席で爆睡しているなんてかなり変わった奴だなと見ていると気まずそうに女がオレを見てきた。
『あの、私の席ってわかります?』
「は?」
知るか!と全力で叫びたかったが、座席表を手で持っていたため、女に見せると『ありがとうございます』と言った後、鞄を持った。
てっきり前後間違えたのかと思っていたが女は前後左右間違えたどころではない離れた場所に移動していった。なんでだよ!!思わず口に出してツッコミそうになるのをなんとか堪える。
移動した席を座席表で確認すると、三条ユウと書かれていた。
それからどんな奴なのか気になってソイツを観察していたが、何かと変な失敗やよく分からない行動をしていて見ていて面白く、デクへの苛立ちを誤魔化すのにちょうど良かった。
ただの暇つぶし。気分転換。本当にそれだけだったはずなのに、気付けば目で追っていて、いつからか「ずっと見てるし、好きすぎだろ」なんて冷やかしの言葉に動揺するようになって、でも見ることをやめられない。
見ているだけじゃ分からないことも知りたい。でも今更どう関わりを持てばいいか分からない。分がないまま告白する勇気はない。
だから展覧会に誘われた時、オレの計画は始まった。
オレに好意がないのは、ずっと見ていたからわかっていた。
0からのスタート。
でも生憎オレには計画性というものがある。
お前が好奇心旺盛で一度興味をそそられれば食いついてくるのは分かってる。まだお前がオレのことを全然知らないということも、押すより引く方が効果的なタイプということも、学食で中華を頼むことが多いということも知っている。
オレから目が離せなくなるまであと1週間。
オレの気持ちを知るまであと1ヶ月。
1ヶ月経った今日、お前の出す答えは___
リクエストありがとうございました!
遅くなって大変申し訳ありません(>ω<;)
全然ほのぼのにも甘夢にもなってないかもですが、目指して書いたのでお読み頂けましたら嬉しいです( ˊᵕˋ ;)
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